2022年12月31日土曜日

『海炭市叙景』

佐藤の小説を原作とした、
いわゆる「函館3部作」。
順に

『海炭市叙景』
『そこのみにて光り輝く』
『オーバー・フェンス』

の3本です。
2作見たので、3本目も見ることにしました。
(順番的には、3,2,1の順で見たことになります。)
で、今回見たのは、

『海炭市叙景』


3作の中では、
いわゆるストーリー的には、一番ゆるく作られていますが、
もともと「叙景」とあるので、
むしろ当然と感じられました。
わたしはこういう感じ好きです。
(小説の場合の、
断章形式まではいかないんですが。)
そして多くの登場人物たちの中には、
例の、
壊す男と壊れた女、
も登場します。
ただここでは、男も女も、
それについての自覚が(おそらく)ない。
そこが、他2作と決定的に違うと感じました。
つまりこの作品の人物たちは、
自意識が低めというか。
そこもわたしは好きでした。

また、父親と息子、という組み合わせが、
少なくとも4組、登場します。
(父親であり、子でもある人物も1人います。
それが壊す男です。)
そして、なんということでしょう、
どの父子もうまくいっていません。

(『そこのみにて~』にも登場した場所は、
すでにこの映画で撮られていました。
螺旋状の階段。
大きな電光の広告。)

そしてこの映画では、
汽笛の音も良かった。
(まったく調べてませんが、
汽笛がよかったというコメントは、
多分とても多いのだろうと想像しています。)
わたしたちなどは、
つい『ペペ・ル・モコ』のラストを思い出してしまいますが。

というわけでわたしは、
3作の中ではこれが一番好きでした。

(小林薫、『ふぞろいの林檎たち』から、
ほとんど変わらないなあ、
と思いました。)

2022年12月30日金曜日

「朔太郎と歩く」

生田キャンパス内で行なわれた

「朔太郎と歩く」展

無事終了しました。
(コロナ禍で、一般の入場はできませんでしたが。)

中は、こんな感じです。


いいですよね!

で、「朔太郎と歩く」という冊子も作りました;


わたしもここに、詩を寄稿しました。
わりと長い詩で、
こんなに推敲したのは初めて、
というくらい直しました。
(もう、最初の形がなくなってしまうくらい。)

というわけで、2022年の記念に、
ここで発表してしまいましょう。
朔太郎の言う「群集」と、
今の渋谷の「群集」は同じじゃない、
という詩です。
長いですが、よろしければ。

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これはきみの群集ではない

 

私はいつも都会をもとめる

都会のにぎやかな群集の中に居ることをもとめる

                   (「群集の中を求めて歩く」)

 

米粒をはらはらと膝に散らしながら

倦み果てた若い人は

半ば閉ざされた目蓋の裏に映写する

遠き東京の明らむ街路

その日陰に陶然とたゆたう群集の浪に

爪先立ちで

溺れ込んでゆく甘い夢を

 

聖なる売淫はしない

(私の魂は空席じゃない)

植民地に君臨する神父はいない

(群れの「方角」は知らない)

浪は街路を塞いで横たわる

春の腫れぼったい海星にも似た

ヴィジオネールな巨体となって

まだ明るんだままの空の下

半透明なその輪郭と二重写しになった

うつろな女たちが

うろんな男たちが

ほの白く火照る街路の底を

言葉の形で歩いて行く

 

美しい東京

家郷を憎むものとして

西欧の異都に降り立てなかったものとして

若い人はやわらかい指を弄びながら

街の夜に裏切られる

もつれた足で凭れた真っ青な扉は

廃れた暗い廻廊に続き

じめじめした胎内めぐりのその果てにこそ

家郷はうずくまっていたのだから

 

米粒を膝に散らせ

食慾は口中を濡らす

桃色に輝く若い歯茎に指先が触れたとき

滲み出た血の味が舌を刺したとき

若い人の内に沸き上がってきたものは何か?

それをこそ聞きたかった

聞いてみたかったのに

 

さあ

これが二十一世紀

スクランブル交差点の宙空には

今夜も稲妻がひしめく

(軋む音が聞こえるだろう)

傾ぐ突端に堰き止められたものたちは

見えない竜巻が吹き上がる谷底へと

一斉に鎖を解かれる

渋谷の谷を旋回する靴音

影と影は翻り

透過しては交じり合う

(色彩の海が生まれる)

孤独は

ささやき声の火花のように騒ぎ立つ

あるいはチェンバロの

息もつけないフーガのように

影たちは動き続ける

とりどりの花弁を体内に宿して

その背中で燃えている声

呼び寄せる声

(遠くから、ここへ)

とめどなく湧き出るものたち

押し寄せてくるものたち

殺到してくるものたち

見よ

これはきみの群集ではない

さざめきではなく叫びだ

微光ではなく熱波なのだ   

 

群集の背に乗って

渋谷川を渡れば

もう家郷は見えない





『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』

今年の5月に公開された

『ドクター・ストレンジ/マルチバース……』

を見てみました。
まあ、気分転換ということで。


話は、いつも通り(!)やや分かりにくいです。
いわゆるMCU
(マーベル・シネマティック・ユニバース)
も、ここまで複雑化してくると、
ちょっとフォローしきれません。
特に今回は、「悪役」となったスカーレット・ウィッチの過去が、
ドラマ『ワンダヴィジョン』で説明されているようで、
これをまだ見てないので、
今ひとつ思い入れができないのでした。
(映画ならまだいいんですが、ドラマだと、
かなり時間がかかり、追い切れない……)
またわたしが、アヴェンジャーズ系より、
X-MENシリーズのほうを好んでいることもあります。

ただ、この映画のポイントの一つは、
ものすごいパワーを持った少女が、
ヒスパニック系だという点でしょう。
その名も、アメリカ・チャベス。
劇中では、「アメリカ」を呼ばれ、容姿はもちろんヒスパニック。
ここに、新しいナショナル・アイデンティティーの提示を見ることは、
不可能じゃないでしょう。
(ただし、この映画内では、彼女はまだまだかなり受け身。
最後に少しだけ意思を見せますが、
まだ一人前じゃなく、その後修行に入ります。)

今年もあと2日!

『そこのみにて光り輝く』

原作小説について、
先日見た『オーバーフェンス』とともに、
いわゆる「函館3部作」の1本、

『そこのみにて光り輝く』(2014)

を見てみました。


これ、構造は『オーバーフェンス』とよく似ています。
つまり、
壊れた女と壊した男、
の恋愛です。
そしてこの二人の周囲には、
さまざまな顔ぶれが配されています。

よくできてるし、
たしかにいいショットもあると思います。
ただ、特に後半が、
ちょっと失速した感がありました。
2時間の作品ですが、
あと20分くらいは短くてもいいような気も。
いいショットがある分、
意味ではなく、ショットを見せたいんだろうな、
と感じられる部分が目に付き、
そこでの時間が長すぎると感じられたわけです。

菅田将暉はとてもよかった。
『ああ、荒野』もよかったですが、違う意味でよかったです。


池脇千鶴もよかったんですが、
彼女に対する演出が、
その着せられている衣装も含めて、
性的存在であることの指示が強すぎるかもと感じました。
(セックス・シーンも長すぎるし。)
で、主役が、いまひとつピンと来ませんでした。
なぜこの俳優を選んだのか?
わたしには、魅力が感じられませんでした。

ただ、この映画は函館の話なんですが、
ある普遍性を感じたのも事実です。
どんな国の、どんな地域にも、
こういう物語が潜んでいるという感じはしました。
その意味では、成功作なんだろうと思います。

2022年12月29日木曜日

『息の跡』

日本のドキュメンタリー作品、

『息の跡』(2017)

を、
これは先週の大学院ゼミで見てみました。
(院生の推薦による選択です。)
見終わったときに、
ああ、いい映画を見たなあ、
という気持ちになりました。


なにしろ、
主人公である男性が魅力的。
カメラも、距離を変化させながら、
でもつねにいい距離で、彼を追って行きます。
無駄に意味ありげなショットなどはなく、
なんというか、誠実だと感じました。
小森はるか監督、ほかの作品も見ようと思います。

(少し、日本映画を見る量を増やそうかなと思っています。)

2022年12月28日水曜日

『シー・ハルク:ザ・アトーニー』

ディズニー+ のドラマ、

『シー・ハルク:ザ・アトニー』

を見てみました。
なかなか波に乗れない弁護士のジェニファーが、
ある交通事故を起こしたとき、
従兄弟であるハルク(!)の血に触れてしまい、
彼女もまたシー・ハルクになる、というお話です。


女性のスーパー・ヒーローものですから、
とりあえずわたしは「合格」にしちゃう(!)んですが、
実際いろいろおもしろい点もあります。
中で、なんといっても目立つのは、
このドラマの強烈なメタ感です。
『デッド・プール』も『ハウス・オブ・カーズ』も『フリーバッグ』も、
主人公が画面越しにわたしたちに話しかけてきます。
これはおもしろかった。
でも今回のジェニファー/シー・ハルクは、
話しかけてくるだけじゃなく、
物語世界とは別の「現実」(ドラマの制作部とか!)に入りこんで、
「現実」の人間達と話したりもするんです。
(ここで「第四の壁」なんていう言い回しも使われますから、
あきらかに意識してこんなことをやっているわけです。)
で、わたしたちはそれを見るわけですが、
こうなってくると、これはフィクションと現実の二重構造ではなく、
三重構造になっているのが分かります。
つまり、現実と、「現実」と、フィクションです。
こういうものそれぞれにも名前はあるのでしょうけど、
わたしは知りません!

『クルエラ』もそうだったんですが、
女性が内包する二層性、
みたいなことがテーマの1つになっています。
『クルエラ』の場合、
それは「型破りだけどやさしい娘」と、
「強烈な才能を開花させる自己本位な女性」です。
(ただ、後者が最後「やさしく」なるのが、ちょっと日和ってるかも。)
そして『シー・ハルク』の場合は、
「がんばってるに報われない善良な女性」と、
「強烈な能力を獲得した善良な女性」でしょう。
こちらは、後から獲得した能力であること、
そしてキャラがもつ価値観は変わらないこと、
が、『クルエラ』とは違います。
この辺、詳しく比較すると、
もっとおもしろいかもですね。

2022年12月26日月曜日

『クルエラ』

ディズニー映画の『クルエラ』、
院生がこれについて書きたいというので、
見てみました。
『101匹ワンチャン』の前日譚で、
悪役のクルエラの誕生秘話、だそうです。


エマ・ストーンは役に嵌まっていて、
物語も一応おもしろいと言っていいと思うんですが、
(オイディプスの物語の女性版で、
それにヒネリを加えたという感じではありますが)
ただ、時間の進み方が単調で、
ちょっと必要以上に長い気がしました。
往年のヒット曲
(パープルありクイーンありストーンズあり……)
を流すために、
その部分での物語の進行がほぼ止まるので、
それもあるのでしょう。
もっと緩急が欲しいところです。
あとは、クルエラが「悪い」女ってことなんですが、
そんなに悪くもない。
なんかもっと、もっとキレタ感じも欲しかったかな。

2022年12月24日土曜日

Paris résonne

ちょっと古いですが。

橋の手すりなどにクリップを付けて、
音階が出るようにして、

『キャン・ユー・ヒア・ミー』saison 2終了

モントリオールを舞台にしたこのドラマ、
Saison 2 まで見終わっています。
明らかに続きがあるんですが、
まだ 3 は見られません。
早く見せて!

ヒロインは3人。
アダは、イタリア系の売春婦の娘で、
父親は誰かも分からず、
自分もときにはそれ的なことでお金を稼ぎ、
とにかく怒りっぽくて、直情径行。
そしてすごく、友だち想い。
白人のカロは寡黙で、本が好き。
でもDVの父親に育てられ、
(ということは、仲良しである母親もまた、
DVのパートナーと暮らしているわけです)
今のカレシもひどいDV。
でも「愛し合ってる」って思ってる……。
ファブはアフリカ系の、大柄な女性。
姉がヤク中で、幼い娘をほったらかすので、
彼女がその子の世話をしています。
とても大切にして。
敬虔なクリスチャンで、歌がとっても上手。

そして3人それぞれが、
男問題を抱え、
それ以外の問題も抱え、
うまく未来を描くことができない、
社会のシステムからこぼれ落ちてしまった女性なのです。
(『わたしは、ダニエル・ブレイク』のケイティのように。)

あまり出番は多くないですが、
実は第4の女性もいます。
アダが通っているクリニックの、
若くてきれいで、
いつもかっちりしたスーツを着ているセラピストです。
彼女は、ビジネスライクに見えて、
彼女なりにアダに親身になっているように見えます。
Saison 3 で、彼女の出番が増えればいいなと思っています。
(でもそもそも、配信はいつ!?)

2022年12月22日木曜日

4兆円

4兆円の「防衛増税」だという話が、
1月ほど前に唐突に浮上しました。
この先まだ2年半以上選挙がないわけですから、
今は、まあ、自民党の一番本音が出る時期なんでしょう。
どうせ選挙の頃には忘れてるだろう、「あんな人たち」は、
というわけでしょうか。

日本のすべての大学の学費を無料化するために必要な金額は、
3兆円
だと言われています。


『オーバー・フェンス』

昨日のゼミではもう1本、
佐藤泰志原作、山下敦弘監督、高田亮脚本の、

『オーバー・フェンス』(2016)

も見ました。
2016といえば、『シンゴジラ』と『君の名は』の年です。


これはもう、いい映画だったな、という余韻が残る作品でした。
離婚して、東京から函館に戻った男は、
大手ゼネコンをやめた今、
職業訓練校に通っています。
「壊れてる」と自分を呼ぶ若い女性は、
昼間は遊園地(動物園?)で、夜はパブで働いています。
この二人が、
奇妙な出会い方をし、
奇妙は関係をもつれさせていく物語です。
ただ、二人にとって関係を深めることは、
そうでしかなかった、と感じられてきます。
そこが、いい映画である理由なんでしょう。
印象的なエピソードもいくつかあるし。

ラスト近く、ラスト近く、
女性が、動物園の動物たちを逃がそうとするシークエンスがあります。
けれども、ハクトウワシだけは、
その鉄格子のケージから出ようとしないのです。
そしてその格子の向こうには、
あの男の顔が見えるのです。
男もまた、囚われているのです。
でもなにに?
それは、家族や、愛や、親子とも呼ばれることのある、
深い「幻想」のようにも見えてくるのです。

『マイレージ・マイライフ』

ジョージ・クルーニーが、
リストラの宣告を代行するという、
なんというか地獄のような仕事をする会社で活躍する映画、

『マイレージ・マイライフ』(2009)

を、ゼミで見てみました。
この映画を選んだのにははっきりした理由があるんですが、
それは、

『fimlmaler's eye   映画のシーンに学ぶ構図と撮影術』

という本の冒頭で紹介されていたあるエピソードを、
実際に試してみたかった、ということなんです。
そのエピソードとは、
著者が映画仲間たちとこの『マイレージ・マイライフ』を見たとき、
映画の評価はさまざまだったものの、
一番いいショットは?
という質問に対しては、全員が一致したというものです。
そして、ゼミでもそれを見て、
同じ結果になるかどうか、
試したみたのです。

結果は、おもしろいものでした。
わたしは、2つのショットが特にいいと感じました。
Mくんも、2つのショットが。
Nくんは、1つのショットがよかったと言いました。

もちろん、本と同じになるのが「正解」というわけじゃありません。
それはもちろんそうなんですが。

わたしとMくんの「2つ」は、同じショットで、
その内一方が、本で示されているモノでした。
そしてNくんが挙げたのは、
わたしとMくんの、本じゃない方のショットと同じだったんです。
つまり、3人は、同じショットを挙げていたわけです。

ちょっとびっくりしました。
そのショットは、いわばサブストーリーに関わるもので、
まったく派手なものではなかったからです。

映画好きって言うのは、こういうものなんでしょうか?

2022年12月19日月曜日

Presque !

午前3時、なんだか、120分の激闘の後にしては、
少しあっけない終わりでした……

前半が終わったときには、
このまま終わるんじゃあまりに……と思いましたが、
さすがにそんなことはありませんでした。
2-2 に追いついたあのシュートは、
素晴らしかったですね。
でも、まあ……
とにかく、最後の試合まで、
つまり一番多く試合を見せてくれました。
お疲れさまでした。
(今日学生と話したら、
さすがに見てる人が多かったです。)

(それにしても、あの表彰式でのマルティネスの振る舞い。


フランスのネット民たちは、
「刑務所に送れ」だの、
「トロフィーを剥奪しろ」だの、
かなり憤慨しています。
特に、あそこがイスラム圏であることを考えると、
とんでもなく破廉恥と言わざるを得ないでしょう。
かなり残念。
アルゼンチンのためにも。)

2022年12月18日日曜日

「ジェンダー格差の改善を阻むものとは」

大学のHPで紹介されていたこの記事、
知っていたけど知らない概念で、
勉強になりました。


そしてわれらが大澤先生も!


「ポスト」とは言うけれど、
フェミニズムはまだまだ役割があると感じています。

2022年12月17日土曜日

Ça ne m’intéresse pas 💥

ベンゼマのインスタが話題ですね。


興味ない、っていうわけですが、
問題は、Ça が何を指しているか、です。
体調は回復した、というニュースもありますが……

2022年12月16日金曜日

激突!

それにしても……
フランス vs. モロッコ、おもしろかったですね。
ムバッペやグリーズマンのプレーはもう1試合見たいし、
モロッコにも勝って欲しいし、
どちらを応援したらいいのかわからないまま見てましたが、
やっぱり、2点目、
あの密集地からあのパスを出すムバッペには、
感嘆しました。
(これでベンゼマがいたらどうなってたんでしょう!?)

明日の夜はモロッコを応援します。
(クロアチアもゼンゼン嫌いじゃないですが。)
明後日の夜は、体調を整えて、がっつり見ないと!
メッシとムバッペがワールドカップであたるなんて、
しかも決勝戦だなんて。
こんなものが見られるとは!

(ただ、ウクライナのニュースも毎日見てるので、
完全に浮かれることはできませんが。)

2022年12月15日木曜日

Douce nuit

今日の東京は寒かったですね。

12月に入り、
1年生のフランス語は条件法も登場し、
終わりが見えてきました。
で、
以前一般向けのフランス語講座で、
授業の後にクリスマス会をやったときには、
みんなでDouce nuit (きよしこの夜)を歌ったのを思い出し、
授業でもやってみることにしました。

この歌、歌詞が何通りもあるみたいなんですが、
使ったのはこれです;


Douce nuit


Douce nuit, sainte nuit 

Dans les cieux ! L’astre luit.

Le mystère annoncé s’accomplit.

Cet enfant sur la paille endormi,

C’est l’amour infini ! C’est l’amour infini !

 

Saint enfant, doux agneau !

Qu’il est grand ! Qu’il est beau !

Entendez résonner les pipeaux

Des bergers conduisant leurs troupeaux

Vers son humble berceau ! Vers son humble berceau !

 

C’est vers nous qu’il accourt,

En un don sans retour !

De ce monde ignorant de l’amour,

Où commence aujourd’hui son séjour,

Qu’il soit Roi pour toujours ! Qu’il soit Roi pour toujours !

 

Paix à tous ! Gloire au ciel !

Gloire au sein maternel,

Qui pour nous, en ce jour de Noël,

Enfanta le Sauveur éternel,

Qu’attendait Israël ! Qu’attendait Israël !


で、このままだと1年生には難しいので、
ヒントも付けて宿題にしました。
こんな感じです;

cieux cielの複数形。詩的な表現。(意味は単数と同じ。)

luit luire(輝く)

s’accomplit < s’accomplir (実現する、起こる)

Cet enfant sur la paille endormi ←通常の語順ならCet enfant endormi sur la paille ここは、前の行と脚韻( [ i ])を踏むために、語順が変わっています。

Qu’il est grand ! Qu’il est beau ! <Que +節 !>は、感嘆文。

Entendez résonner les pipeaux 命令文。通常の語順ならEntendez les pipeaux résonnerで、<entendre +モノ+動詞原形>=「モノが~するのを聞く」。ここでは、les pipeauxに、後に続く2行が全部かかっていて長いので、順番が入れ替わっています。

conduisant < conduire の……?

C’est vers nous qu’il accourt ←○○構文(c’est que ... という形です。)

accourt < accourir(「(~の方へ)駆けつける、走ってくる」

En un don sans retour !  en は前置詞で、ここでは「~として」。

De ce monde ignorant de l’amour ここは、2行下のRoi から繋がっています。Roi de ce monde ... ということです。詩なので、音の数を合わせるために、語順が入れ替わっています。

ignorant  もともとは動詞 ignorer の……?(今はもう形容詞扱いです。)

Où commence aujourd’hui son séjour 通常の語順なら、Où son séjour commence aujourd’hui

Qu’il soit Roi pour toujours ! <Que +接続法 !>で、祈願文です。soitは、êtreの接続法現在形です。

Roi  ふつうにroiといえば「王」のことですが、ここは大文字で始まっているので、固有名詞です。(絶対的な)「王」という感じ。

Qui pour nous, en ce jour de Noël, / Enfanta le Sauveur éternel  pour nous en ce jour de Noëlは、それぞれ挿入句なので、カッコに入れて考えてください。

Enfanta enfanter(「(作品・子どもなどを)産み出す」)の単純過去形。訳としては、ふつうに過去でOK。文頭のQuiは関係詞。先行詞はciel=sein。(同じモノを言い換えているだけなので、単数とみなしています。)

attendait attendre の○○形。

Israël ここでは、古代のイスラエル王国のこと。ダビデ王、ソロモン王の後、良き王が現れなかったイスラエルでは、メシア(救世主)の到来が待たれていたました。

ただし、キリスト教において「イエスがキリスト(=メシア)であるのは、彼が王の権力をもってこの世を治めるからではない。自ら僕(しもべ)として苦難の道を歩み、十字架による処刑の死にまでわたされることによって、人間の罪を贖(あがな)い、罪からの解放、救いを人々に与えた。この点にキリスト教的メシア思想の特質がある。」(コトバンク)


そこそこ親切で、
そこそこ不親切、
つまりある程度調べないと分からない程度のヒントにしてあります。
できるかな?

2022年12月11日日曜日

「中央フリーウェー」

明日の「東京詩」の授業では、
ユーミンの「中央フリーウェー」が登場します。
で、授業プランを確認してたんですが、
流れとしては、

64  東京オリンピック
70  大阪万博
73  オイルショック
74  日本初のコンビニ
76  「中央フリーウェー」/中央高速と首都高連結
77  「渚のシンドバッド」「勝手にしやがれ」
78  「勝手にシンドバッド」/池袋サンシャイン・シティー開業
79  「テクノポリス」/渋谷PARCO「デザイナーズ・ブランド」
80  「TOKIO」
83  ディズニーランド開園

という感じかな、となりました。
キーワードは「消費」と「世界へ」。
前者は、コンビニからDCブランドを経て「TOKIO」へ繋がる流れ。
後者は、五輪~万博
(というのは、都市が国際デビューするときのお決まりのコース。
ただし万博は「大阪」でしたが)
から、Yellow Magic
(「テクノポリス」は、トキオ、という坂本龍一の言葉で始まる)
の席捲、そしてやはり「TOKIO」からディズニーランドへ、という流れ。
で、ジュリー&糸井の「TOKIO」だけは、
2つの流れを両方飲み込んでいるように見えるわけです。

という感じの授業でいきたいと思います!
(この時代は、自分が学生だったので、
リアルに体験していて、話しやすいですね。)

2022年12月9日金曜日

『キャン・ユー・ヒア・ミー』

ネトフリのドラマ、

『キャン・ユー・ヒア・ミー』(2020)

を見始めました。
これ、このタイトルを見るとまったく気づきませんが、
フランス語の映画です。


無体はモントリオール。
3人の女性たちの物語、なんですが、
この3人が、それぞれ個性的。
とりわけ主役のアダは、
売春婦である母親と暮らし、
自分も、お金がなくなると売春をし、
また、アンガー・マネージメントのためにクリニックに通っています。
(で、そこの女性医師が気に入らないので、
隙を見てその医師の観葉植物の鉢で用を足します!)

というわけで、ほんとに下品極まりないドラマなんですが、
意外なのは、3人の女性たちが、
ストリートで歌を歌って稼ぐこと。
歌、うまいんですね。
特に、アフリカ系の女性が。

この後どうなるか心配なので、
ちゃんと見守ってあげることにします(!)

『すずめの戸締まり』

院生がこの作品について語りたがる(!)ので、
一応、(あまりアニメは得意じゃない)わたしも見てきました。

『すずめの戸締まり』

です。


で、
さっき院生に送ったメールはこんな感じ。

(ネタバレ、というほどじゃありませんが、
でも、少しバレます。注意!)

*****************

『すずめ』、見てきました。見てる間はなかなか楽しめたんですが、なにか言おうとすると、言いにくい感じがしますね。それは1つには、ストーリーの曖昧さがある気がします。一番分かりにくいと感じたのは、猫たちです。どういう存在なのか? なぜ「猫」なのか?また、白猫の視点でこの物語を見直すと、けっこうきびしい悲恋ものですよね? それはどうかんがえればいいのか?また、「常世」には、あらゆる時間が存在すると言っていて、時系列を無効化してしまうのがちょっとビミョーな気も。ロードムーヴィー的なところ、冒頭、いきなり物語を始めるところ、絵のクロースアップとワイドの切り替えがリズミカルなところ、などは「いい」とは思うんですけどね。

*************************

続きはゼミで話すことになるでしょう!

2022年12月8日木曜日

しわす

12月に入り、
あわただしい日々になってきました。
授業も残り数回で、
最後の着地地点を見定めながらの授業だし、
修士論文の予備登録は始まるし、
来年度の大学院の受験希望者への対応はあるし、
博士課程の院生の論文チェックはあるし、
12月末が締め切りの原稿はあるし、
来年度の担当授業のシラバスの作成は、明日が締め切りだし!
まあそうは言っても、
今日の午前中にテニスするくらいの余裕はあるんですが。
(ランチには、久しぶりに、ピザ屋さんで、

「アボカドとスモークサーモン わさび醤油風味の豆乳クリームソース 生スパゲッティ」

を食べました。
やっぱりおいしい!)

そして4月刊行予定だった新書は、
1ヶ月早まって、
3月刊行になりそうです。
先月は新しい教科書ができて嬉しかったですが、
新書もまた楽しみです!
今、イラストも入れたらどうかな、
なんて話しています。
ただ新書は、スペースが限られていて……

2022年12月3日土曜日

「朔太郎と歩く」

できました!


わたしも詩で参加しました。
タイトルは、

「これはきみの群集ではない」

です。
「きみ」とは、朔太郎のことです。

2022年12月2日金曜日

デンベレ

ちょっと古くなってしまいましたが、
そう言えば先週、
このヴィデオの字幕を起こし、
和訳とヨミガナをつける、
という宿題を、
1年生のフランス語のクラスで出しました。


ただこのヴィデオ、

L'Allemagne vient de perdre contre le Japon.

の直前に、字幕のない1文が入っています。
(正確には「文」ではないですが。)
5語です。
学生に聞き取りを挑戦してもらいましたが、
ちょっと難しかったようです! 

ヒントは、今回最初に起きた波乱です。

総合芸術系「成果発表会」

今日は、
総合芸術系の芸か発表会がありました。
これ、コロナのために2年間対面ではできなかったのですが、
あらためて「対面」でできて、
やっぱりよかったな~、と感じました。

発表は、
木村伊兵衛、
増村保造、
ジョン・ケージ、
クリムト、
岡本太郎、
などが登場し、
変化に富んでおもしろかったです。
これ以外に、
作業療法と芸術、
みたいなのもあり、
さすが「総合芸術系」と思ってしまいました。

そして対面だと、
しばしば指摘されるように、
聴衆の反応というものが目の前にあり、
発表者もそれに呼応する部分が当然あるわけです。
ああ、雰囲気みたいなものって、
こうやって醸成されるのね。
来年も、ぜひ対面で。

『ホーム・フォー・クリスマス』シーズン2終了


ノルウェーのドラマ、

『ホーム・フォー・クリスマス』

シーズン2まで見終わりました。
やっぱりこれは、
わたしの好きなタイプのドラマで、
最後までおもしろかったです。
やや「甘い」というか、「ロマンチック」というか、
そういうところもあるのですが、
他の部分がリアルで、許せます。
『フリーバッグ』の北欧版、という感じもしますが、
あそこまで挑戦的ではないかな。

次は、今人気の、『ウェンズデー』にしようかと思っています。