2020年1月24日金曜日

『ケイン号の叛乱』

敬愛する川本三郎さんの本を読んでいて、
とても見ないではいられない紹介のされ方をしていた映画、

『ケイン号の叛乱』(1954)

を見てみました。
公開年は、『ゴジラ』と同じ年です。

https://www.youtube.com/watch?v=q1rTU9oXroM

wiki に、わりと長いストーリー紹介がありました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ケイン号の叛乱

要は、
プリンストン大学出で、
たった3か月の研修を受けたキースが、
少尉としてケイン号に乗り込み、
そのたたき上げの艦長(ハンフリー・ボガード)と対立。
その結果、
船員たちと艦長の間に軍法裁判沙汰が持ち上がり……、
というお話なんですが、
実は見どころは、
この裁判の結果出たあとに訪れます。

<以下ネタバレです>
艦長は、船が台風に会った時、
船員たちによって急遽その任を解かれたのですが、
それを反乱罪として訴えていました。
実はこの艦長は、
緊迫した場面で取り乱す人間で、
また偏執狂的な側面も強くあったのですが、
裁判自体は、艦長が勝利するものと思われていました。が、
船員たちに優秀な弁護士が付いたことで、
彼らの側が勝利するのです。
そして彼らが勝利の美酒に酔っていた会場に、
くだんの弁護士が現れます。
そしてなんと、かれらに言うのです、
本当は艦長の弁護をしたかった、
わたしが法律を勉強し、
君たちがプリンストンにいたころ、
艦長(的な人たち)は、銃を取って戦っていたのだ、
しかも君たち(インテリ)の中には、
裏切り者がいるじゃないか、と。

この演説は、
映画の中で浮いています。
でもだからこそ、
ここは重要なのです。

これは川本さんの本(『映画の戦後』)の受け売りですが、
この大演説の背後には、
あの「赤狩り」があるのだそうです。
そう、この作品の監督エドワード・ドミトリクは、
あの「ハリウッド・テン」の一人で、
出所後は「転向」し、
「密告者」となった人です。

船員たちは、「赤」だとされた「インテリ」たちの比喩、
船長は、彼らを糾弾した「大衆」。
映画内で、
ドミトリクはあえて「インテリ」に勝利させ、その上で、
本当は「大衆」の応援をしたかった、
と言っていることになります。
自分を「転向者」「裏切り者」と呼んだ「インテリ」たちに対し、
自分の中にある「大衆」へのシンパシーを提示してみせたと。

おもしろい指摘で、
実際見てみて、
なるほどと思いました。
つまり、「赤狩り」は、
単なる左右の対立ではなく、
東部の裕福なインテリと、
南部などの大衆の対立だったわけですね。

Wozniacki, Serena, Naomi...

オーストラリア・オープン、
今日は、朝から楽しみにしていた、

大坂ナオミ vs. ココ・ゴフ

の試合がありました。
ココはステキだけど、
まあ勝つことはないだろうと思っていましたが、
なんと、圧勝でした。

フォアハンド、
見ていると、
ナオミは、後ろが小さくてフォロースルーが大きく、
ココは逆に、後ろを大きくとってその勢いで振ってきます。
今、男子プレーヤーのほとんどは、
ナオミ的なスイング。
実際ナオミは、
フェデラーのように振りたいと言っていたことがありました。

ただ今日のナオミは、
ミスが多かった。
チャンスボールを何度も、
ネットしたりオーヴァーしたり。
テニスにおける最大の真理は、
「ミスしたほうが負ける」でしょうから、
今日は勝ち目がなかったですね。

それにしてもココのサーブは早い。
180km以上出てたので、
それこそフェデラー並みです。
(まあフェデラーは、全力で振らず、
コースを狙ってそのスピードですが。)

そして、
これも驚きでしたが、
セレーナとウォズニアッキも負けてしまいました。
女子は、群雄割拠の戦国時代と言われていますが、
まさにそんな感じですね。
次の興味は、準決勝で当たるはずの、
バーティ― vs. クビトバ。
この勝者とココが決勝で当たるようなことがあったら、
これは大注目ですね。

2020年1月23日木曜日

C'est mon frère qui joue.

昨日、弟が打ち合わせにきました。
で、ついでに演奏もしてもらいました!
曲は自作。
ギターは 愛用の Gretsch。
画像はイマイチですが、曲だけでも。



2020年1月21日火曜日

パリ13区に「デヴィッド・ボウイ通り」!

東京にも作って!

https://www.francetvinfo.fr/culture/musique/david-bowie/bientot-une-rue-david-bowie-a-paris-annonce-le-maire-du-13e-arrondissement_3780459.html

Life on Mars を奏でる教会の鐘も出てきます!
誕生日のお祝いだったようですね。

"Sex Education"

https://twitter.com/brutofficiel/status/1218473605094182913

フランス語字幕付いてます。

"L'éducation sexuelle, c'est un truc qu'on n'a presque pas à l'école. Du coup, comme ressources, il y a quoi ? Il y a le porno. C'est pas ouf." 「セックスについての教育って、学校じゃほとんどやってくれない。 じゃあ、どっから学ぶ? ポルノでしょ。それじゃだめじゃん」

至近距離からゴム弾

フランス警察が、デモ隊に対して、
至近距離からゴム弾を発射している現場を捉えているヴィデオです。

https://www.lemonde.fr/police-justice/video/2020/01/10/video-le-tir-de-lbd-a-bout-portant-d-un-policier-pendant-la-manifestation-du-9-janvier-a-paris_6025477_1653578.html

こんな警官に、
こんな武器を持たせること自体、
ダメでしょう。
(罪には問われないようです。)

2020年1月19日日曜日

De sas en sas

Zita Hanrot つながりでもう1本、

De sas en sas     (2016)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=B-ExdPmMYjc

監督は、なんとラシダ・ブラクニ。
彼女にとっては、初の監督作品です。
出演はしていません。

この映画は、いわゆる群像劇で、
映画内のほとんどの時間は刑務所内です。
看守以外の登場人物たちは受刑者ではなく、
受刑者に面会にやってきた人たち。
で、彼らは、2人以外すべて女性。
アラブ系の女性が多く、
ヴェールをしている女性
(彼女は、義理の母親に連れられて、
まだ会ったこともないフィアンセに面会するのです)、
妊娠中の女性、
ちいさな女の子をつれた白人女性もいます。
で、
彼らは酷暑の中予定を合わせて面会に来たわけですが、
なぜか、なかなか面会にたどりつかない。
(タイトルの sas は、おそらく「エアロック」のことで、
エアロックにとざされた空間を移動させられる感じでしょう。)
こちらで待たされ、あちらで待たされ、
どこかで騒動が起き、
看守は姿を消し……
というわけで、
映画は次第に不条理劇の様相を呈し、
その中で、
女性同士の小競り合いが、
そして大げんかが勃発し……
という映画です。

演劇的な感じは、
たとえば『ガザの美容室』に似ているところもあります。
あちらも、出られなくなる物語でした。
『出口なし』、の系譜ですね。

2020年1月18日土曜日

Rally for Relief

もうすぐ、
オーストラリアOPが開幕します。
ナオミもココもクビトバもセレーナも出ていて、
楽しみです。が、
オーストラリアといえば、
気になっているのが火事。
ビデオなどで見ると、
たしかに、こんなにひどい燃え方は、記憶にない気がします。
人間にとっても植物にとっても動物たちにとっても、
なにもいいことはない。
早く大雨が降ることをずっと願っています。

で、
その応援のためのイヴェント、Rally for Relief。

https://www.youtube.com/watch?v=rrXBj5mpt8U&t=2405s


La fête est finie

Fatima で注目された、ジャマイカ系の父親を持つ Zita Hanrot と、
Clémence Boisard が共演した、

La fête est finie (2017)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=B4TNIxLTWpk

これはなかなかハードな内容でした。
まず、セレストゥ。
まだ19歳の彼女は、薬物依存症です。
あらゆる薬物に手を出し、
深く依存し、
母親や友人に暴力をふるっていました。
そしてシエム。
26歳になる彼女は、
アラブ系の知的な家庭で育ちました。
父親も、自分を含めた三姉妹も、
みな法律を勉強し、
妹は実際企業弁護士として活躍しています。
でもシエムは、
勉強を半年で放棄し、その後、
薬物依存となり、
恋人の子どもを妊娠したものの、
摂取していた薬物のせいで妊娠を継続することができませんでした。
物語は、
セレストゥとシエム、
この二人が、たまたま同じ日に、
薬物依存治療のための収容所に到着するところから始まります。

幼い闘士のようなセレストゥと、
プライドの高いシエムは、
最初誰とも打ち解けなかったのですが、
同室になった二人は、
このセンターへの反発を共有し、
しだいに仲良くなってゆきます。
で、一緒にお風呂に入っている姿に、
同性愛行為を疑われ、
その他の逸脱行動とも合わせ、
出て行かされるのです。
(このセンターでは、性的な行為はご法度です。)
そして、本当に大変なのは、
町に戻ってからでした……

正直言って、
やや重い映画です。
薬物依存者たちの会合が繰り返し登場し、
また基本的に二人も重荷を抱えている状態だからです。
(会合の場面は、
ローレンス・ブロックのマット・スカダー・シリーズの、
アルコール依存者の集会を思い出させます。)
そしてそう感じながら見ていたのですが、
ラストは、よかった。
決して「これでよし」というようなものではないのだけれど、
たとえ失敗しながらでも、
なんとか二人はやっていくだろうと思えたからです。
女性の友情を描いた映画って多くはないですが、
これは、間違いなく(やや特殊ですがですが)その1本です。

(「女性の友情を描いたフランス映画」というテーマで、
論文が書けそうな気もしますね。
すぐに思い浮かぶのは、
『女はみんな生きている』や、

http://tomo-524.blogspot.com/2015/06/cheba-louisa.html

http://tomo-524.blogspot.com/2015/06/bande-de-filles.html

http://tomo-524.blogspot.com/2011/02/blog-post_21.html

くらいですが、もうこれだけでも書けそう、かな?)


女優二人も、ともによかったです。
クレマンス・ブワサールのほうは、
これにも出ていました。

http://tomo-524.blogspot.com/2016/07/gare-du-nord.html

これもまた見たいです。

Frères ennemis

レダ・カテブとマティアス・スーナールツ主演の映画、

Frères ennemis    (2018)

を見てみました。
よかったです。

https://www.youtube.com/watch?v=iQQ75Pa5mNI

まず、舞台の中心となるのは、ここ。


背後に、特徴あるTDF の姿が見えています。
で、TDF 周辺の Leader Price をグーグル・マップで探してみると、
ありました。
リラとロマンヴィルの境界あたりのシテです。
(このあたりは以前、
Cheba Louisa という映画のフィールドワークで歩きました。)
このシテで、
主人公たちは兄弟のように育ち、
やがて、ドリス(レダ・カテブ)は麻薬取締官となり、
マニュはディーラーとなりました。
その二人が「対決する」という宣伝文句でしたが、
実際にはもっと複雑で、
勝ち負けを決めるような単純なものではありませんでした。

イムラーヌは、マニュの相棒でしたが、
同時にドリスに情報を提供するスパイでもありました。
そして、ある日麻薬を運搬中に、
イムラーヌが撃たれて死にます。
マニュは命からがら逃げ出したものの、
この犯行の首謀者だと周りから思われ、行き場をなくしてしまいます。
そこに現れたドリスは、
警察に協力すれば助けてやると申し出ます……

先日見た潜水艦の映画の中で、
レダ・カテブは優秀な艦長でした。
そこでは、彼がアラブ系であるかどうかはまったく問題にならず、
それをあえて指摘することは、
過剰なラベリングにさえ感じられるほどでした。
でも、今回は違います。
まず映画冒頭、
別の事件でとあるアジトに踏み込んだドリスたちが、
現行犯でディーラーたちを逮捕するシークエンス。
捕まったアラブ系の犯人の一人は、
ドリスに向かって、
アラビア語で声高に叫ぶのです。
そのときドリスはフランス語で、
「おれはアラビア語なんかわからないよ、バカ野郎」
と返すのです。
そうか、そういう世代のアラブ系なのだな、
と思うのですが、
映画の後半、
ある時、苦しい思いを抱えたドリスは、
どうやらかなり疎遠になっている実家を訪れます。
父親は冷たく、何しに来た、と突き放し、
ドリスは「会いたかったんだ」と返すのですが、
このシークエンスでの会話はすべて、
アラビア語で行われるのです。
ドリスは、アラビア語がちゃんとできるのです。
そして考えてみれば、
この映画の大きな主題の1つは、
自分の出身コミュニティーから出て、
なおかつ、
それと対峙する仕事を選んだドリスの、
深い葛藤なのでした。
シテ出身であることを生かして麻薬捜査部に入り、
かつての仲間を「情報源」となることを強い、
それがためにその「情報源」が殺され、
なおコミュニティーで生きる父親とは断絶状態。
でもドリスは、
友人も父親も愛している……

フィルム・ノワールが、
(加藤幹朗氏が言うように)
「映画が始まった時にはすでに失われているもの」
を巡る物語であるとすれば、
ここではそれは、
ドリスの古いアイデンティティーだということになるのでしょう。

監督は、以前この映画を撮った人です。

http://tomo-524.blogspot.com/2016/08/loin-des-hommes.html

こちらもやはり、レダ・カテブでした。

2020年1月17日金曜日

セルフ・メイド・マンとリバタリアン

今週の大学院のゼミでは、
クリント・イーストウッド監督の話をしました。
まず、
このところゲストで遊びに来ている学部4年生に発表してもらって、
みんなでそれについて話すという感じで。

彼のこのところの映画は、
レイシストでセクシストでいい人、
という主人公が登場するわけですが、
これは、どんな文脈に置けばいいのか。
クリント・イーストウッドの場合、
もちろんその出発点は西部劇で、
となれば、そこで提示されるのは、
いわゆるセルフ・メイド・マン、
独立不羈で、
自分のことは自分で片を付けるぜ、という人間。
これこそが、
イーストウッドの映画的ペルソナの出発点だと言えるでしょう。
これはまた、「アメリカ国民」の理想の原像だとも言えそうです。

彼の初監督作品は『アウトロー』で、
これは、妻と息子を無残に殺した北軍とその一味に、
イーストウッドがやがて復讐を果たす物語です。
この北軍と、敗れた南軍の対立の構図は、
図式的に言えば、その後は、
東部的インテリ&リベラル&小金持ち vs. 大衆、
の対立とパラレルに考えることができるでしょう。

そして、変化してゆく現実の世界、
管理が強まってゆく拝金的資本主義時代において、
セルフ・メイド・マンは生きにくさを感じます。
(イーストウッドはいつも不機嫌です。)
で、
アメリカ国民の理想にして大衆でもある「イーストウッド」は、
ダーティー・ハリーとして「正義」を体現し、
また『グラン・トリノ』などでも老退役軍人として、
やはり「正義」を実現しようとします。
この、生きにくさと「正義」の結託が、
大衆としてのイーストウッドのテーマなのでしょう。

わたしが興味を惹かれるのは、
イーストウッドのセルフ・メイド・マンは、
リバタリアンにはならなかった、
という点です。
もちろん彼は共和党支持だし、
銃規制には反対だし、
オバマを揶揄したりもしてましたが、
『アメリカン・スナイパー』はアメリカ軍の話だし、
ダーティー・ハリーは警察官(公務員)だし、
マイノリティーを助けたりもするわけです。
リバタリアンは、
公務員は減らせ、という立場でしょうから、
彼を主人公にしはしないでしょう。
この点、
論理的にはリバタリアンに繋がるセルフ・メイド・マンを描きながら、
そこまではには至らなかったのはなぜなのか、
そこに興味がわきます。

明日(というか今日)は、
イーストウッドの新作の公開日です。
院生たちは、初日に見る、と言ってました。

2020年1月14日火曜日

Les Invisibles

今日見たのは、

Les Invisibles (2018)

つまり「見えない者(物)たち」というタイトルの映画です。
この映画も、去年の「フランス映画祭」において、
『社会の片隅で』というタイトルで、
4日間だけ公開されたようです。

https://www.youtube.com/watch?v=NaYUuvYXN_I

ベルギーとの国境に近いアンザン。
ここは、『ジェルミナール』の元になった事件のあった土地で、
明らかにその文脈が感じられます。
この町にある、
女性ホームレスたちのための、
日中の収容施設が舞台です。
この施設で身を粉にして働いているのは、
職員のオドレーと、
施設長のマニュ、
そしてヴォランティアのエレーヌです。
そしてここには、日中を過ごすため、
あるいは食事やシャワーのために、
女性たちが集っています。
ヨーロッパ系白人も、
アラブ系も、
アフリカ系もいます。
ただ、この施設に来ている女性たちは、
社会復帰率がとても低い。
それは職員たちが甘やかすからだ、という理由で、
この施設は閉鎖されることになります。
そしてここから、物語が動き始めます。

マニュたちは、
閉鎖どころか、
上層部に隠れ、
この施設で寝泊まりすることを許します。
ただそれはあくまで、
女性たちが社会復帰するのを助けるため。
つまり、
社会と向き合うための尊厳を取り戻させるためです。
もちろん、求人も限られてはいます。
それでもより重要なのは、
女性たち自身の尊厳なのでしょう。
(マニュには、アフリカ系の養女がいます。
彼女も、幼いホームレスでした。)

映画の中で、こうした女性たちを演じているのは、
実際にホームレスだった人たちです。
だから、と言っていいのかどうかわかりませんが、
部分部分は、とてもドキュメンタリー風です。
こうした「見えない」存在の女性たちにスポットを当てること、
それがこの作品のキモであるのは、誰が見ても明らかでしょう。

ただ一方で、
オドレーの葛藤、
つまり、こんなに安い給料でこんなに尽くして、
カレシも家もお金もなくて、
わたしには何にもないじゃない!
という嘆きも描かれます。
またエレーヌも、
実は夫が離婚したがっていて、
でも自分は別れたくないという状況の中で、
ヴォランティアに打ち込んでいるわけです。
(オドレーを演じるのは、
Tout ce qui brilleの体操コーチ、
あるいは『パリ未成年保護特別部隊』の、
赤ちゃんを揺すって補導されるお母さん、
を演じた彼女です。
そしてエレーヌは、
『カミーユ、恋はふたたび』に主演していた、
ノエミ・ウヴォヴスキです。

ケン・ローチの『ダニエル・ブレイク』と並べると、
英仏の「貧困」が置かれた状況が見えてきます。
日本版DVDが出れば、授業で使いたいです。
(ぜひ出してください!)

2020年1月13日月曜日

Le Chant du Loup

オマール・シー、
レダ・カテブ、
マチュー・カソヴィッツ、
という、珍しい組み合わせのキャスティングの映画、

Le Chant du Loup  (2019)

を見てみました。
アントナン・ボードリ監督にとっては、
初の長編作品です。
あくまでエンターテインメント映画としてですが、
かなりよくできていると思いました。
軍事用語が多くて、フランス語は難しかったです。
(日本では、フランス映画祭で、1日だけ公開されたようです。)

https://www.youtube.com/watch?v=0-LTTNiGgUA

潜水艦もの、というと、
『レッド・オクトーバーを追え』とか、
『Uボート』とかを思い出しますが、
今ちょっと調べてみると、
実際には、かなり作られていました。

主人公は、「黄金の耳」を持ったショーセット。
(靴下を忘れてことがあって、このあだ名。)
彼は、音を聞けば、その実体が分かるという特殊能力があり、
しかも、それを使って分析官の仕事をする訓練を受けた若者です。
たとえば、
キーボードにパスワードを打ち込む音を聞いて、
あとからそれを再現できちゃったり。
そんな彼が潜水艦に乗り込み、
敵の動きに耳を澄ますわけです。

2時間超の映画は、およそ3部に分かれていて、
最初は、シリア沖でフランス兵を迎える予定が、
なんとショーセットの判断ミスにより、
大変な危機に陥る物語です。
中盤は陸の上。
いろいろ調べるうち、
あれは判断ミスではなく、
そもそもの軍のリストにエラーがあったことが判明。
その実体は、旧ソ連の潜水艦でした。
そして終章は、
原子力潜水艦と、それを見送る潜水艦が出航し、
その後なんと、
ベーリング海峡からフランスに向けて、
核ミサイルが発射されたという情報が入り、
一気に緊張が高まり……

潜水艦という閉鎖空間は、
それだけである緊張をもたらしますが、
その緊張が高まるような演出がなされていて、
飽きるところがありません。
エンタメとして成功している所以です。
ただ、
この手の映画の判断はいつもビミョーです。
どうしても、フランス国家に奉仕するものたちの美学、
ないし、
軍人として生きる潔さ、
みたいなものがにじみ出てしまい、
それに完全に乗ることは不可能だからです。
ただこの映画は、
たとえば『ゼロ・ダーク・サーティー』ほどの、
露骨なプロパガンダ感はなく、
「アクション映画」に徹している感じはあります。

ちなみに、
褒めている批評が多い中、
ヌーヴェル・オプスは、
ストーリーが馬鹿げてるばかりじゃなく、
キャスティングも全然ダメ、
と切り捨てていました。

2020年1月12日日曜日

Les Hommes du Feu

ロシュディ・ゼム主演の映画、

Les Hommes du Feu (2017)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=3o465FtbhfM

舞台は、南フランスの Bram。
(Toulouse の近くです。)
その人口800人強の村の、消防隊が描かれます。

これが、思いのほかよかったです。
今までに見た Pierre Jolivet 監督の作品の中では、
これが一番よかったかな。
消防隊の物語ですから、
いわゆる「ヒューマン・ドラマ」みたいなものかな、
と思って見始めたんですが、
(実際、ゼムが出ていなければ、
DVDを買ったりしなかったでしょう。)
むしろフランス南部の日常が垣間見えるように作られていて、
そこが魅力です。
たとえば、
ワイン醸造所から、タンクに落ちた人を救って欲しい、
と連絡があったり、
もっとも “sensible”  な地区の消火活動では、
「荒れるワカモノたち」に邪魔されたり、
アフリカの民族衣装を着た女性たちばかりが暮らすアパルトから救援要請があり、
行ってみるとそこには、
今にも出産してしまいそうな女性がいたり。
そしてこの最後のケースでは、
彼女も周囲の女性たちも、
一言もフランス語が話せず、
彼女を救急車に乗せて搬送する途中、
赤ちゃん(しかも双子!)が生まれてしまうのですが、
そのときの隊員たちの必死さは特筆ものでした。
そして二人の若い男性隊員は、
二人の赤ちゃんの名付け親になるのですが、
彼らはそれをとても自慢にして、
赤ちゃんたちの写真をみんなに見せて回るという、
ほほえましくて感じのいいシークエンスもありました。
(隊員の中には、
完全な性差別主義者で、しかもいい人、もいます。)

そういえば、
落ち込んだ女性隊員を励ますために、
隊長がある歌の歌詞を引用するのですが、
それが、
(映画の中でバンド名は示されないのですが)
レーナード・スキナードのこの曲でした。


レーナード・スキナードといえば、
あれは高校生の頃、
「セカンド・ヘルピング」というアルバムをよく聞きました。
まあ、サザンロックは「田舎臭い」ということになっていますが、
その時期はよく聞いていました。
(チャイコフスキーも、ちょっとそんな感じ?)
このバンドの曲が選ばれたのは、
フランスとアメリカの「南部繋がり」なんだろうと想像しています。

2020年1月9日木曜日

紙を選ぶ

今日、
写真集の打ち合わせのため、
池袋の近くにある印刷会社に行ってきました。

幹線道路から少し引っ込んた、
中くらいのビルが立ち並んでいる地区。
目指す印刷会社のビルも同じくらいの大きさで、
ただし、
ビルの前の、
車3台分ほどの駐車スペースに入った途端、
インクのにおいが漂ってきました。
1階で、実際に印刷が行われているのが、
チラリと見えました。

ここは、写真集を多く手掛けている印刷会社で、
担当の方も、
知識豊富でいろいろ教えてくれます。
打ち合わせをしたスペースには、
何本も本棚があり、
そこは写真集で埋め尽くされています。
今日は特に、
紙を選びに行ったのですが、
実際のさまざまな写真集を見せてくれて、
この紙は○○、こちらは○○……
と言う感じで説明してくれるのです。
いろんな要素がありますが、
やはり、「黒」のノリ具合は、
重要なポイントなのでしょう。

もちろん、
たとえば参考書を作るときでも、
編集者と一緒に紙選びをしたことはありますが、
それは読者にとっての見やすさ、使いやすさ、
がポイントでした。
今回はそれが、
たとえば「黒」の表現力、
ということなので、
やっぱり同じではなかったです。

おもしろい経験でした。

2020年1月6日月曜日

スト

フランスでは、
鉄道ストが長引いています。
仕事明けにちゃんと電車が動いていなくて、
イラッとすることも当然あるでしょう。
でも、
今朝のフランスのニュースでの、
街頭インタヴューを見た限りでは、
もちろん「さっさとやめて」と言う人もいましたが、
「こっちも大変だけど応援する」と答えていた人も少なくなく、
このへんはさすがだと思いました。
このストが、引いては自分や、
自分の子どもを含む若い世代にも、
いい条件を作ってくれるだろう、と言うのです。
その通り。
ことは、スト決行者だけの問題ではないわけです。
こういう発想が、
日本でも広まるといいと思います。

夜郎自大な

お正月早々から、
アメリカによる「テロ攻撃」のニュースがありました。
行為そのものは言うまでもなく、
驚きだったのは、
まずアメリカの情報収集能力。
その場所にイランの司令官がいて、
彼と通じているイラクの人間もいる。
この瞬間を、ピンポイントで、しかも無人機で攻撃できる。
これは他の国々に対する強い威嚇にもなるのでしょう。
また、
トランプ大統領の暴走ぶりも、相当な感じ。
どこかで指摘がされていましたが、
彼の手に、核爆弾発射装置が握られていることは、
とても怖いことです。
今回の攻撃が、
選挙活動の一環であり、
弾劾から目を逸らせるためだったとしても、
とにかく「やる」人なわけです。
彼はしばしば「サイコパス」だと指摘されますが、
これもマイナスの情報でしょう。

それにしてもアメリカは、傍若無人&夜郎自大です。
ビン・ラディンの時だって、
パキスタン政府を無視して作戦を決行したわけですし。

トランプ大統領は、
「覇権」からじりじり後退し、
多極化構造を目指しているのでは?
とも言われてきていますが、
そう簡単には、
覇権の味は忘れられないのかもしれません。

2020年1月5日日曜日

最低賃金

年末のニュースですが、
イギリスは、
「最低賃金」を6%以上引き上げるようです。

https://www.huffingtonpost.fr/entry/smic-royaume-uni-boris-johnson_fr_5e0b1994e4b0843d360b98f6?ncid=other_twitter_cooo9wqtham&utm_campaign=share_twitter

で、フランスの最低賃金は抜かされることに。
ちなみに、フランスもイギリスも、
1200円を超えています。

まずはここから

今日は1日かけて、
「まいにちフランス語・3月号」のテキストの、
ゲラ直しでした。
放送はまだ折り返しに差し掛かったところですが、
テキストのほうはもう3月号。
終わりが近づいてきました。
(3月号もおもしろいです。期待してください!)
「仕事はじめ」、
という感じです。


今年は、
早ければ3月、遅くとも5月くらいまでには、
パリの写真集を出す予定です。
タイトルは、

Paris / Diaspora  (『パリ/ディアスポラ』)

としました。
「ディアスポラ」というのは、
もともとは、ユダヤ人の「離散」のことだったのですが、
今では、もっと一般的な「離散」に使うことのほうが多いようです。
フランス語の diaspora なら、
離散してきた人が作るコミュニティ、
の意味にもなります。
自分としては、
なかなかいいデキだと思っているのですが……。

それから3月には、
これは大学の紀要なのですごく地味ですが、
論文が1つ掲載されます。

「クレテイユ映画の前線」

という題で、
パリ郊外クレテイユを舞台にした映画を、
まずは網羅的に見て整理し、
それから中でも画期的だと思える作品

Tellement proches

について、詳しく論じました。
この映画は、残念ながら日本未公開なんですが、
監督は、『最強のふたり』をとった二人組です。
しかも、『最強のふたり』の直前の作品で、
オマール・シーも出演しているコメディーです。

https://www.youtube.com/watch?v=cMOqwjo5_-U&t=6s

クレテイユに住む夫婦と子どもたち、
そしてパリの、モンマルトルの裏手に住む妹夫婦と子ども、
この2組の家族が、
仕事、宗教、教育、恋愛……を巡ってさまざまに対立したり、
また和解したり。
広く言えばファミリー映画だとも言えますが、
わたしは映画の中の空間の構造に注目して書きました。
少ししたら、
ネット上で読めるようになると思いますので、
もしよろしければ!
(100枚ほどなので、ちょっと長いです。)

まずは、ここまでちゃんと仕上げたいと思っています。
今年の前半の目標、ということにします!

2020年1月3日金曜日

初対戦

今日、義弟と将棋を指しました。
彼とは、もう何度も会っていて、
かなりいろいろ話してもいるんですが、
今日は、ふとした流れで将棋の話になり、
じゃあちょっと指してみよう、ということになったのでした。

わたしは、ほぼ毎日、
1~2局は(モバゲーで)指すので、
このところ、明らかに力は下降気味ですが、
まあ指し慣れてはいます。
(中学の時は将棋部でした。)
一方彼は、もう10年ぶり? という感じなので、
正直なところ、
あまり本気でやらないほうがいいかな?
くらいのノリで始めたんですが、
まったく予想と違って、
彼は強いのでした!

で、指しながら訊いてみると、
なんと、稚内での小学校時代は、
将棋の道場に通い、
そこには、
後の「永世クイーン名人」、中井広恵名人もいらしたとか。
しかも、彼女に勝ったことがある!
(まあ、相手は「角落ち」だったそうですが、それでも、ね。)

相矢倉戦からのシーソーゲームの末、
今回だけはわたしが辛勝したのですが、
ちょっと勘を取り戻せば、
彼のほうが明らかに強いと感じました。
それにしても、稚内の道場の話は、
驚きでした。

2020年1月2日木曜日

2020年1月1日水曜日

Bonne année !


明けましておめでとうございます。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします。
みなさんにとって、よい年になりますように……。

で、
2020年最初にコメントする映画は、

Joueurs

です。

https://www.youtube.com/watch?v=7IJrElxp4Tc


タハール・ラヒム主演、
しかも彼が「博打打ち(joueur)」を演じるということで、
期待して見始めました。

パリの、なかなかいい感じのビストロ。
シェフと二人の娘、そして従業員も7,8人。
繁盛してる店です。
そこに、一人の若者が、ホール係のバイトとして採用されます。
彼、アベル(ラヒム)は、
ある夜の閉店後、
シェフの娘エラと二人になった時、
レジのお金を持って逃げ出します。
エラは追いかけ、メトロまでも追いかけ、
でも結局、アベルに引きずられるように、
とある秘密カジノにやってきます。
アベルは言葉たくみにエラを誘い込み、
ビギナーズラックでちょっとした大金を得ます。
アベルは、根っからの賭け事師だったのです。
そしてここから、
「かたぎ」の生活をしていたエラの、
愛と転落の物語が始まります……

前半、エラが賭け事とアベルの魅力に引き込まれていくくだりは、
なかなかよかったです。
ラヒムは、こういう、やさしげなワルを演じさせると天下一品。
惚れてしまう女性たちは少なくないだろうな、と思います。
ただ、映画としては、
中盤から後半がやや精彩を欠く、というか、
まとまりがない、というか、
ベタである、というか。
収斂して盛り上がっていく感じが足りないと思いました。
そこが、『ボニーとクライド』になれなかった点でしょう。

パリのカジノは、今はほとんど閉鎖されていて、
残っているのは、
クリシー広場近くの、
クラブ・モンマルトル、くらいのようです。
これです。


で、もちろんこのカジノも、映画の中に登場します。

また出てくる場所は、
サン=ドニ、サンティエ、クリシー、レピュブリック、などで、
しかもその「夜」の世界が中心です。
そこには、アラブ系はアフリカ系の人たちも多く、
その辺は、「メイン・ストリーム」とは違っています。
ただしこの流れ自体は、
2000年以前から始まっていましたね。
(たとえば『チャオ・パンタン』にも、
アラブ系もユダヤ系もいました。)

エラを演じたステイシー・マーティンは、
今調べたら、
リドリー・スコットの『ゲティ家の身代金』にも出てるんですね。
見てみましょう。

2019年12月31日火曜日

『15時17分、パリ行き』

昨日見た『運び屋』が……だったので、
これを見るのは迷ったんですが、
まあ、「パリ行き」ということでもあるし、
一応見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=Wlrbb8-75Ok

案の定、というべきか、
わたしにはピンとこない作品でした。
さすが、銃規制に反対する監督です。
俗化したキリスト教は批判し、
でも本質的にはキリスト教(精神)を擁護し、
(そういえば、大統領就任式は、
聖書に手を置いて行われるんでしたね、「アメリカ」では。)
暴力は否定しつつも、
「力」への憧憬、信奉は強烈で、
男性原理優位で、
そうしたもろもろと家族愛が融合する……
まあ、『運び屋』と、
本質的にはなにも変わらないわけですね。











2019年12月30日月曜日

『運び屋』

C・イーストウッドの監督作品、
『運び屋』
を見てみたんですが……

https://www.youtube.com/watch?v=MFvM7wcCuk4

ずいぶん評判がいいようなんですが、
わたしは「?」でした。
監督自身が、自分の人生を重ねてるとか、
実話に基づいているとか、
老いと向き合って負けてないとか、
家族愛が麗しいとか、
そういうのはみんな、
Et alors ? だから? という感じ。

まず主人公が、
人種差別主義者で、
性差別主義者で、
自己中心主義的で、
(麻薬を運ぶのって、不幸をまき散らしているわけですが、その辺の)
想像力もない、
でも、「いい人」、
という設定なんですが、
(で、たしかにそういう人っているんですが)
違和感があるのは、
この設定が「透けて見える」わけじゃなく、
そのまま露骨に描かれていること。
これって、開き直り的じゃないでしょうか?
オレはそういう人間だけど、
結局は「いい人」だからそれでもいいでしょ?
それがオレの生き方なんだから!
と言われているようで、
そのやや幼稚で自己愛的なところが、
わたしは乗れませんでした。
しかもダメ押しのように、
そんな主人公を想い続けている妻がいる、という設定。
これって、
完全に自己愛の裏返しにしか見えません。

これがエンタメとして成功しているなら、
こういうメンタリティーが人々の中に今も残っている、
ということを示しているのでしょう。

2019年12月27日金曜日

四六時中

四六時中、という言葉があって、
なんでも 4×6 =24(時間) だっていうのですが、
そうなんでしょうか?

パリの写真集、
タイトルも決定し、
再校も出てきて、
あとがきも、
簡単なキャプションも入り、
かなり体裁が整ってきました。
このところ、四六時中、
そのことを考えています。

昨夜は、夢の中に「あとがき」の文章が浮かんできて、
あ、こことここを、こういう風に直したほうがいいな、
となると次の文のこの部分も、
こういう風になるな、
という感じで推敲していて、
でも、
それは夢の中でのことなので、
目が覚めたら、
内容はまったく思い出せません!
ただ、夢の中とはいえ、
具体的に推敲した感覚ははっきりあったのですが。

で、
さっき、
なんとどこをどう直したのか思い出しました!
やっぱり、ほんとに推敲してたんですね。
四六時中とは、このことでしょうか!?
(ただし、テニス中は除く!)

Zero dark thirty 再び

以前、この映画については、
厳しいことを書いた記憶があります。

http://tomo-524.blogspot.com/2016/12/zero-dark-thirty.html

で、
そんな映画をもう一度見てみたのは、
ただ、ジェシカ・チャステインの演技がどうだったか、
確認したかったからです。
当時は、それほど印象に残らなかった、というか、
映画の浅さに気が行ってしまって、
そこまで見てられなかったからです。

彼女は、たしかに時々、とても印象的な表情を見せます。
ただ、それよりも、
彼女の出演映画は、
「アメリカ」ものが多いという気がしてきました。
今回も、
『女神の見えざる手』のような場合も、
描かれているのはアメリカの「良心」なのですね。
でこの「良心」には、
どうしてもカッコが付く感じ。

彼女は、アメリカ映画における「マリアンヌ」なのかもしれません。

2019年12月26日木曜日

(一応)第3位

2019年、白水社の売り上げベスト10が紹介されています。

https://www.hakusuisha.co.jp/news/n32943.html

『フラ語入門(改訂新版)』は、
「改訂版を含めた」場合の第3位のようです。

今年も、ありがとうございました!
ちゃんとお役に立っていればいいんですが。

2019年12月25日水曜日

クリスマスに優勝!?

無事授業も終わりました。
この秋学期は、風邪をひくこともまく、
わりと安定した体調で終わることができて、
よかったです。
毎週やっているテニスのおかげ、かな?

そして今日、
テニス・クラブで、年末恒例のゲームがあったのですが、
なんと、優勝!
ちっちゃなちっちゃなトロフィー
(時価2億万円、と主催者は発表!)
をもらい、
考えてみたら、トロフィーなんて名の付くものをもらったのは、
生涯で初めてかも、と思いました。

……と書くと大げさですが、
なんのことはない、いつものクラスでのゲームであり、
そのクラス自体、
入門に毛が生えた程度なので、
まあ、こんなことを話題にすること自体、
ほほえましい勘違い、というところでしょう。
トロフィーも、言ってしまえば、百均で買えそうなやつだし!

でもまあ、テニスは楽しいです。
守り時間のない野球、という感じ。
休みに入ったので、明日も行こうかな!?

2019年12月21日土曜日

Impossible

なんとまあ、ありえないことの多いこの頃の国内ニュースですが、
これもまた、驚かされました。

https://twitter.com/yamanoikazunori/status/1206536417699979264/photo/1

マジか!?

パリ写真集

前々から、出せたらいいなあ、と思っていた、パリの写真集。
ついに具体的な検討に入りました。
これは、刊行までこぎつけたいです。
今のところいい感触なので、
ご期待いただけるとうれしいです!

で、ふと考えてみて、
今までにも書名に「パリ」がつく本を、
いくつか出してきたことに気づきました。
最初が、これは共著の教科書の、
『パリ24時間』
装幀が好きでした。


手元に原画もあります。

それから、

『エキゾチック・パリ案内』
『パリ移民映画』

の2冊。
どちらも、明治に着任してからの本ですが、
明治に来てなければ、書くことはなかったと思います。
同僚たちや環境に恵まれ、ラッキーでした。
今度写真集を出せたら、この2冊と合わせて、
「パリ3部作」と呼びたい気持ちです。
もちろん、そんな立派なものではまったくないんですが、
パリへの愛情の表現として、という感じです。

そしてもちろん、これも共著の詩集、
『敷石のパリ』
もあります。
こちらは今、CDの作製(!)が計画されています。
というか、少しずつですが進んでいます。

写真集の「アート・ディレクション」的な仕事を、
デザイナーである弟にやってもらっています。
家族を褒めるのもナンですが、
とてもセンスがいいので、かなり頼っています。
来年の目標は、まずはこの写真集の刊行です!

2019年12月19日木曜日

オルゲルビュッヒライン

今年聞いたCDの中で印象にのこっているのは、
これです。

https://ebravo.jp/archives/53544

バッハは、もちろん好きなんですが、
このオルゲルビュッヒラインは、
どちらかというとあまり聞いてこなかった曲なので、
このCDでずいぶん馴染みになりました。
最初に聞き始めて数秒で、
大きな教会の中に踏み込んだかのような気持ちになりました。
1730年代、
つまりバッハが生きていた当時に製作された名器、
ミュラー・オルガンの響きは、圧倒的です。
もちろんそれが、
演奏者の技術とエネルギーあってのことであるのは、
言うまでもありません。

曲は違いますが、このオルガンです。

https://www.youtube.com/watch?v=YX0QD4lAcI4

リバティー・アカデミー秋学期、終了

今期も、
無事に&楽しく講座を終えることができました。
いつも、脱線の多い授業に付き合ってくれる生徒さんたちに感謝……
で、
最後は、恒例となった感のある持ち寄りランチ会です。
いつものことながら、豪華です。
キッシュもサラダもパンもケーキも、
なかなか手に入らないお菓子なども、
みんなおいしいです!

今回も、ありがとうございました!

2019年12月17日火曜日

『ラブストーリーズ エリナーの愛情』

という映画は、
3部作(?)の1本で、
主演は(先週2本見た)ジェシカ・チャステインです。
またもや、Amazon Primeの無料の作品です。

https://www.youtube.com/watch?v=lZY1Xn3mLBI

赤ちゃんを失った悲しみから、
家を出て行ったエリナー。
彼女を愛し、探し出し、戻って欲しいと願う夫、コナー。
ジェシカの演技はいい感じだし、
1つ1つのシークエンスの作りも丁寧だし、
セリフもなんというかソリッドで、印象的です。
でも……
映画空間の中の空気が、重いまま動かない感じ。
いわゆる、風を通す場面が巡ってこないのです。
セリフはよく練られている分、
二人の人間が会話する場面が多く、
となるとそこには、動きは生まれにくい。
「風」を感じさせる登場人物もいない。
それどころか、
エリナーの母親役のイザベル・ユペールは、
今回ばかりはミスキャストな印象で、
朝から昼からいつもワイングラスを手にしているという、
やや異様な「フランス」感を背負わされています。
また彼女の夫の役はウイリアム・ハート。
演技派と言われる彼は、
ここでも落ち着いた身のこなしですが、
やはりちょっと重い印象。

決してできの悪い映画ではないと思いますが、
やはり、風通しを作って欲しかった気がします。

(邦題は、いつものことながら、いただけない感じ。
原題は、すっきり、

The Disappearance of Eleanor Rigby: Her

です。)

2019年12月16日月曜日

「ラットやウサギにも新しい家を」

動物実験、
化粧品会社などがやっとやめたため、
数自体は減っているのでしょうけど、
もちろんまだまだ行われていて……

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191216-00010006-reutv-eurp

ポーランド、ですね。


2019年12月15日日曜日

Miss France

ミス・コンに興味はないし、
基本的には「問題あり」だと思っています。
ただ、たまたま(Yahoo France のニュース内で)見かけた tweet が、
今回、ミス・フランスにミス・グラドループが選ばれたことで、
今年は、

Miss Monde Miss Univers Miss USA Miss France

は全員、黒人女性が選ばれたことになる、
という指摘をしていて、
ああそうなんだ、と思いました。

https://twitter.com/johan_tweet_/status/1205993980065984513/photo/1?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1205993980065984513&ref_url=https%3A%2F%2Fs.yimg.com%2Faaq%2Fyc%2Fhtml%2Fembed-iframe-min.2d7457d4.html

この事実の意味するところは?

2019年12月14日土曜日

今日です!

総合芸術系の同僚である鞍田さんのコーディネートによる、 ★映画「からむしのこえ」上映会
2019/12/14(土)  17:30-20:00  *開場17:10
明治大学 駿河台校舎(お茶の水)
リバティタワー1031教室
参加無料・申込不要

上映後、監督の分藤大翼さん、撮影・録音の春日聡さんの舞台挨拶あり。 先日、少しだけ見せてもらったのですが、 魅力的でした。 楽しみです!

2019年12月12日木曜日

一日

ふだんは、
一日になにか1つやればいいか!
というのをモットーにしているわけですが、
それでも、
まあ年に何回かですが、
いろいろ重なる日もあります。
今日もそんな感じでした。

まず午前中にテニスをして、
しょーもないボレーのミスもし、
数えるほどのいいサーブもあり、
その後クルマでちょっと移動して、
ピザとパスタのランチ。
ここでは新メニューの渡り蟹パスタ・ランチを選んだのですが、
なかなかおいしい。
この店、なんでもない店なんですが、
焼きたてのピザがおいしくて、
時々来ちゃうわけですね。
でその後、やっぱりよく行くカット・ハウスで、
仲良しのCさんに切ってもらい、
近くの店をちょっと冷やかしてから家に戻り、
ちょっとゲラ直しをし、
それから着替えて、渋谷へ。
そこでちょこっと仕事をして、
(ほんとにちょこっとではあるんですが、
必要なやつです。)
その後、歩いて移動します。
こんな道も通りました。


(青の洞窟、って言うんだと、後で知りました。)
で、着いてのはインド料理屋。
飲み会です。
参加者は8人。
なかなか盛り上がりました。
仕事の「チーム」ではあるんですが、
ふだんはだべっている時間もないので、
こういう機会は貴重です。
久しぶりにパナシェを飲んで、
季節外れの夏気分でした……

2019年12月9日月曜日

&ジョーダン!


先日いただいたパリ土産です。
Magnifique !
いいでしょ!
Merci beaucoup !

しかも、プレゼントしてくれたナイス・カップルは、
PSG vs. Real
バルセロナ vs. ドルトムント
を両方見てきたと!
それからオペラも!

PSGの試合は、
わたしも(有料)テレビで見て、
これ、最高の組み合わせじゃん、
この試合見られる超ラッキーな人もいるんだよな~、
と思っていたばかりなので、
これはびっくりでした。
いいなあ~

2019年12月8日日曜日

ジェシカ・チャステイン

ジェシカ・チャステインが主演する映画を、
2本見てみました。
(両方とも、Amazon Prime で無料で見られたので。)

『女神の見えざる手』(2016)

https://www.youtube.com/watch?v=WxGc__LCTWg

『モリーズ・ゲーム』(2017)

https://www.youtube.com/watch?v=7TIuP8sd0QU


エンタメとして、両方ともおもしろかったです。
そしてそのおもしろさの大半は、
ジェシカ演じる女性の魅力に関わっているように感じました。
(まあ、たいていの人が、そう感じると思いますが。)
彼女の姿は、
『ゼロ・ダーク・サーティー』や、
『X-MEN エンド・ゲーム』でも見ていますが、
まったく違う印象でした。

アメリカ映画を見ると、
「アメリカ映画」の文法や、
それに見合う評価方法のことを思い出させられます。
今回の2本は、そういう位相においては、
洗練されているのは間違いないのでしょうね。

2019年12月5日木曜日

【書評】ベンギギ『移民の記憶:マグレブの遺産』

「ふらんす」12月号の書評、
ネットで読めるようになりました。

【書評】ベンギギ『移民の記憶:マグレブの遺産』

なんというか、
やや力んだ感じの文章になってしまったのですが、
この本にみなぎる何物かが、
こういう文体を呼び込んだ気がして、
「洒脱」な感じを目指したりはせず、
あえてそのままにしました。


2019年12月4日水曜日

『アルジェの戦い』

先日引用した、
ケン・ローチによる「見るべき映画」に入っていた1本、

『アルジェの戦い』(1966)

https://www.youtube.com/watch?v=V_0h-8mX-q4

を(ゼミで)見てみました。
アルジェリア独立戦争を、
戦争終結からわずか4年後に描いた作品です。
わたしは、5,6年前に見たんですが、
(で、「ブログ内検索」したんですが、
書かなかったようです。)
あたらめて。

結論から言えば、
前回よりもずっといい印象でした。
ドキュメンタリー・タッチなんですが、
いわゆる映画文法的にもちゃんとしていて、
緩急もあって。
とはいえもちろん、この映画の核は、
もっと切実なものです。
それは、独立への意志、には違いないのですが、
なにかもっと、
生に近いものを感じました。

きっと、世界中に、
ケン・ローチの言葉を受けて、
この映画を見ている人たちがいるでしょう。

2019年12月2日月曜日

「経済学者(私も含む)はグローバル化の何を見誤ったか」

これは、重要。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/post-13509.php

あのグルーグマンが。

アメリカの「経済学」っていうのは、
アメリカの国益を最大にする方法を考える学問、だって言われていて、
そういう前提で読むと、
より分かりやすい気がします。

2019年11月27日水曜日

『バジュランギおじさんと、小さな迷子』

大学院のゼミでは、
このごろ「ハード」な映画を見ていたので、
(先週はファスビンダーの『自由の代償』)
たまには柔らかめを、ということで、

バジュランギおじさんと、小さな迷子

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=F4JrMk1iyb0

2時間半ほどの、
comme il se doit, 歌あり踊りありの映画でしたが、
楽しく見られました。
イスラムとヒンドゥーという、
ヨーロッパ映画などにはない対立軸が中心にあり、
それを再認識する意味でも、
やはりインド映画などもときに見るほうがいいと感じました。
もしも「ボーダー映画」というジャンルがあるなら、
必ず入る1本でしょう。
(ゼミでは、
この「ボーダー」がなくなる日は来るのか?
その条件は?
というようなことを話しました。)

きっと多くの方が言ってることだと思いますが、
主役のサルマン・カーンが、
空手の喜友名諒選手に似ているなあと感じました。

2019年11月26日火曜日

映画「からむしのこえ」上映会

■映画「からむしのこえ」上映会

https://karamushinokoe.info/?fbclid=IwAR1Im0j7mSuPb46SFG-pmXICUgl1TQF58J8bW7TFYt8TxT1a3AgzNs5t3iA


・日時:2019年12月14日(土)17:30-20:00 *開場17:10

・会場:明治大学駿河台キャンパス
                リバティタワー1031教室(3階)

・定員:250名(参加無料・申込不要)

・プログラム
  17:10 開場
  17:30 主催者挨拶:鞍田崇
  17:45 映画「からむしのこえ」上映
  19:30 舞台挨拶:分藤大翼さん(監督)・春日聡さん(撮影・録音)
  19:40 フロアとの意見交換

***************************************

総合芸術系の同僚である、鞍田崇さんが主催する企画です。
ぜひ!

2019年11月23日土曜日

誰のために

消費税を上げたので、
その代わり、
法人税は下げたい、と。

https://mainichi.jp/articles/20191122/ddm/008/020/070000c

つまり、企業の税金を、
庶民が肩代わりすればいいと。
そして企業の株主は、
外資系のファンドも多いわけですから、
つまり消費税は、
そうしたファンドの顧客である富裕層の預金口座に振り込まれる、
それがいいんだ、と。



Ma fille

ロシュディ・ゼム主演の映画、

Ma fille (2018)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=o6uCtk__u3Y&t=24s

ロシュディ・ゼムだけではなく、
あのネドラ・アヤディ()の、
初監督作品だという点でも、注目していました。
で……
とてもいい映画だと思いました。

スイスとの国境近くの町に住むアラブ系の3人の家族。
製材所で働く父親(ロシュディ・ゼム)、母親、
そして娘ネジマは高校生くらいでしょう。
ただこの家族にはもう一人、パリで暮らす長女レイラがいます。
彼女は、美容学校に通いながら、
インターンとして働いてもいる、はずだったのですが……
クリスマス前に、
どうしてもレイラに会いたいという母親の願いを聞き入れ、
なかなか連絡の来ないレイラを連れ帰りに、
父親とネジマがパリを訪れます。
けれども、働いているはずの美容室に彼女はおらず、
通っているはずの学校はやめているのでした。
父親と妹は、必死にレイラを探し始めますが、
彼女はどうも、夜の世界に入ってしまったようで……

これは偶然ですが、
「ふらんす」の書評で取り上げた『移民の記憶』と、
深く呼応する作品の1つでした。
寡黙で、自分たちの苦労をなかなか語らない第一世代の父と母、
そして彼らから見れば、
まぶしいくらいの独立を自由を生きる第二世代。
でも彼らにとってもまた、
周囲の視線はいつも暖かいわけじゃありません。
そしてパリ。
ここで華やかな生活を求めすぎてしまうことは、
いつも危険と隣り合わせです。
このあたりのことが、
丁寧に、きめ細かく描かれていたと思います。

というわけで、ネドラ・アヤディ監督、
第1作は上々のデキでした。
むろん私小説的ではあるのでしょうが、
完全に「普遍」に触れていると思います。
第2作以降を期待します!

それにしても、ロシュディ・ゼムは素晴らしい。
労働者の「身体」が彼の中にあると感じます。
彼の映画的ペルソナの原点には、

Vivre au paradis

があると思います。

http://tomo-524.blogspot.com/2013/02/vivre-au-paradis.html

ほんとにいい俳優だと思います。

2019年11月22日金曜日

『サンバ』の中のパゾリーニ

以前からちょっと気になっていて、
でもあまりちゃんと調べなかったもの、
それは、映画『サンバ』の冒頭近く、
メトロのローマ駅のホームの壁に貼ってあるポスターです。
その大きなポスターには、小さな文字で、

Pasolini       Rome

とあるのです。
パゾリーニには、『マンマ・ローマ』という作品がありますが、
『ローマ』という作品はないため、
これは?
と思っていたのでした。
で、
ふと思い立って調べてみたら、
意外に簡単にコメントが見つかりました。

When Samba is sitting in the Metro waiting for a train, 
behind him is a poster with the heading 'Pasolini Roma'. 
This is an advertisement for an exhibition 
that examined the works of writer and filmmaker Pier Paolo Pasolini 
and in particular, his interactions with Rome. 
The exhibition was not limited to his cinema work 
but also included poetry, politics, his commitment to city life, sex, and friendship. 
It was held in three cities - Barcelona, Paris and Berlin, 
with the Paris exhibition at the La Cinémathèque Française 
running form 16th October 2013 t0 26th January 2014.

そういうことだったんですね。
両監督がパゾリーニを敬愛しているのは、
まず間違いないですね。

ケン・ローチは言いました、

左翼として見なければならない3本の映画、それは、

『チリの闘い』
『アルジェの戦い』
『自転車泥棒』

https://www.nouvelobs.com/culture/20191023.OBS20172/ken-loach-liste-les-trois-films-qu-il-faut-avoir-vus-quand-on-est-militant-de-gauche.html?utm_term=Autofeed&utm_medium=Social&utm_source=Twitter#Echobox=1571809339

『自転車泥棒』は、
40年前に見たきりなので、
また見たいと思っていたところでした。
見ます。



『ふらんす』12月号

『ふらんす』12月号、発売になりました。
今回はわたしも、
ヤミナ・ベンギギの本の書評を書かせてもらいました。
お隣には、澤田直さんの書かれた書評もあります。

よろしければ!

(そういえば以前、
「まいにちフランス語・入門編」を担当していたとき、
澤田さんが、「応用編」を担当なさっていて、
お隣のスタジオで録音されていたこともありました。)

『殺意は薔薇の香り』

なぜか見逃していた映画、

『殺意は薔薇の香り』

を(Amzaon Primeで)見てみました。
原題は Avant l'hiver 、
『冬が来るまえに』くらいでしょうか。

https://www.youtube.com/watch?v=tVsEFXUp70U

(日本語版の「予告編」は、単なる「冒頭」なので、
何の話かわからない。)

人生の「冬」が近づいた夫婦、
ポールとリュシー。
(ダニエル・オートゥイユとクリスティン・スコット・トーマス)
夫は優秀な脳外科医で、
パリ郊外の豪邸に住んでいます。
息子のヴィクトールは、
バリバリのネオリベ銀行員で、
父親と価値観が合いません。
また、この夫婦には、共通の友人ジェラールがいます。
(リシャール・ベリ。さすがの存在感。)
これが三角関係であることは、
徐々に分かってきます。
ここまでが設定。
で、ここに一人の若い女性が絡んできます。
このルーを演じるのは、レイラ・ベクティ。
モロッコ系、という設定です。

タイトルの印象から、
あまり期待してなかったのですが、
意外に(と言ってはなんですが)、
悪くないなあと思いました。
いわゆる「偽善」や「身勝手」を、
さらっと描くのですが、
そこがいいところであり、
悪いところでもあると感じました。

1つとてもよかったのは、
端役で登場するユダヤ人女性。
彼女は大手術を前に、
アウシュビッツから戻らなかった家族の「名前」を、
ポールに「託し」ます。
それはむろん、記憶のことです。
で、やがて、このエピソードが、
メインのストーリーと共鳴し出すのです。

キーになる挿入歌の、元歌はこれ。

Comme un p'tit coquelicot

https://www.youtube.com/watch?v=gJqIzH36e6E

劇中では、ビユーナとレイラが歌っています。

*******************

追記

そして一日経って思うことは、
やはりこの映画は、
ブルジョワ白人たちの憂鬱、葛藤、ミドルエイジ・クライシス、
を描いた作品であり、そこで、
アラブ人女性やユダヤ人女性は、
彼らの生の「意味」を補強する「道具」的な位置に置かれている、
ということです。
特にレイラ演じるルーについては、
言ってみれば、
フランス映画のメイン・ストリームに「伝統的」な描き方であり、
むしろそれがひどくなっている、
さらには、
彼女がある種の「恐怖」の根源となっている点には、
「外国人嫌い」の気配さえ感じられるでしょう。
監督のフィリップ・クローデルは、有名作家であり、
誠実な人であるという印象があるのですが、
この映画については、
上記のような批判が可能だと感じました。