2018年10月16日火曜日

『無防備都市』

イタリアン・ネオリアリズモの代表作の1つ、
ロッセリーニの

『無防備都市』(1945)

を、大学院のゼミで見てみました。
タイトルは「無防備」ですが、
第2次世界大戦末期、
ローマ側のそうした宣言は実質上無視され、
ローマはドイツ軍の支配下にありました。
その時代の「恐怖」(ロッセリーニ)が描かれています。

https://www.youtube.com/watch?v=nmpAlVam8Uw

これを見たのは、
40年ぶり? くらいですが、
さすがの傑作だと感じました。
同じころに見た『自転車泥棒』も、
もう一度見たくなりました。

2018年10月14日日曜日

『ヴェニスの商人』

ヴェニスと言えば、
中世の封建時代においては、
代表的な自由都市であり、
自治的で、独立的な空間でした。
特に14、15世紀ごろには、
その最盛期を迎えたとされています。

シェークスピアの『ヴェニスの商人』は、
この自由都市を舞台として、1596年に発表されました。
16世紀末ですから、最盛期ほどではなく、
かといってナポレオンに征服されるのはまだ200年も先であり、
十分に自治都市として機能していた時代です。
自由都市なので、
各地で迫害されたユダヤ人もやってきたし、
キリスト教徒と言っても、
他の地域の信者とはまた一味違っていたという指摘もあります。

『ヴェニスの商人』を読んだのは30年以上前で、
ほぼまったく覚えていません。
で、今回は、
映画版を見てみました。
(繰り返し映画化されるシェークスピア作品ですが、
この『ヴェニスの商人』だけは、
ほとんど映画化されてきませんでした。)


物語の中心にあるのは、
クリスチャンの貿易商、アントーニオと、
ユダヤ人の金融業者、シャイロックとの対立です。
前者は今、全財産を貿易船に投じています。
上手くいけば大金を手にするだろうし、
船が難破したりすればすべてを失います。
一方後者は、ユダヤ人共同体の中で生き、
当然娘のジェシカもユダヤ人です。
けれどこのジェシカが、ある男と駆け落ちを企てていることを、
シャイロックは知りません。
そして前者は後者を、
「猿」だの「犬」だのと言って蔑んでいます。
利息を取るのは許せない、というわけです。
(自分たちは奴隷を使っているのですが。)
しかし……

ある時アントーニオは、
年下の友人バサーニオから、
資金援助を要請されます。
バサーニオには借金があり、
それを一気に片付けるため、
莫大なお金を相続したポーシャを射止めるため、
軍資金がいるのです。
しかしアントーニオには、手持ちのお金がありません。
彼は仕方なく、
ふだんは蔑んでいるシャイロックに借金を申し込みます。
シャイロックはあきれながら、
利息なしで貸してやろう、
その代わり期限に遅れたら、
おまえの肉を1ポンドもらう、と言い放ちます。
アントーニオは承諾します。

その後バサーニオの作戦は成功します。が、
期限内にお金を返却することはできず、
アントーニオは肉をはぎ取られることになります。
けれどその裁定の場に、ある博士が登場し、
一休さん風の裁定を下します。
肉は取っていい、が、血はダメだ、と。
もちろんそんなことはできませんから、
シャイロックは仕方なく、
(やっと用意できた)お金の受け取りで済まそうとしますが、
博士は、シャイロックが肉に固執したことを言い募り、
元金も返却する必要はない、と言い出すのです。
そしてついには、
アントーニオの命を脅かした罪で、
シャイロックの財産を没収するとまで。
(この博士とは、実は変装したポーシャでした。)

その後、アントーニオが「慈悲」を見せ、
シャイロックの財産没収は撤回されます。
でも、死後は、駆け落ちしたジェシカとその夫に、
財産が渡ることになります。
そしてその夫とは、
バサーニオの友人なのです……

『ヴェニスの商人』については、
おそらく膨大な先行研究があるのでしょうから、
ずぶの素人がなにかを書くのはかなりためらわれるのですが、
とにかく、いくつも疑問が残りました。

たとえば、バサーニオという人物。
高等遊民というのか、
消費的、快楽主義的で、
とくに何もしておらず、
金満世界をうまく泳いでいる男が、
大金を相続し、
男選びだけに専心している女と結びついたということ、
それは何を意味しているのか?
背景の家父長的な社会構造と、
どんな関係にあるのか?

また、変装したポーシャが裁定を下すというのは、
あまりに荒唐無稽で、
隠された意味があるのでしょうけれど、
それが何なのか、すぐにはわかりません。
今の目から見れば、
単なる大金持ちのお嬢さんの、
単なるデタラメです。
コメディということなのかもしれませんが、
これも現代の目から見れば、
ユダヤ人シャイロックが可哀そうすぎます。
まあ、民族差別的なわけだし。
(シャイロック自身もお金持ちだから、
経済的な格差による差別とは言えませんが。)
にもかかわらず、
ポーシャやアントーニオが麗しく、
清廉に描かれている。
これって皮肉?
それとも書き手が、
当時の時流に合わせた?

たしかに、
全財産を貿易に投じたアントーニオの不安は現代的だとか、
シャイロックの内面的多層性が現代的だとか、
バサーニオの消費的性向が現代的だとか、
一見かしずいているようで、
実際は主導している女性たちが現代的だとか、
は言えるでしょう。
でも、どうでしょう、
書き手の隠されたメッセージは、
わたしなどには読み取りにくいままです。

もっと勉強しないと。

2018年10月12日金曜日

『人生スイッチ』

アルモドヴァルが製作に加わっている映画、

『人生スイッチ』()

を見てみました。
まあ、Amazon Prime で無料だったので、
気軽に見てみたわけです。

https://www.youtube.com/watch?v=m5Zyf_J_ylE

舞台はアルゼンチン、ブエノスアイレス。
6つの物語から成る、
短編集のような映画なんですが、
どれもストーリーがおもしろくて、
感心しました。
監督と脚本を担当したダミアン・ジフロンは、
1975年生まれの若手です。
ブラックな面もあるのですが、
それは悪意というのとはちがって、
見ていてイヤになりませんでした。
(ただそれは、
やや甘い、という印象を与えないでもないのですが。)
俳優たちも全体に演技が正確で、
総じて、楽しめる作品だと思いました。

「タイキョの瞬間」

各方面から批判が噴出しているので今さらですが、
でもほんとにひどいです。
メディアの劣化、
というのは今では決まり文句になってしまいましたが、
これは単に質が落ちたという話ではなく、
マイナスに加担するという、
なんならフジテレビは消えてくれた方が人々のためになる、
という気持ちにさえさせるものですね。

https://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2018/181005-i380.html

特に副題の、
「出て行ってもらいます!」
というのは、サイテーだと感じます。
(まあ、他のチャンネルでも、
同じ精神で作られた番組を見た記憶はあります。
強権的で排外的な態度をとることに、
優越的で陰湿な喜びを感じる、
そういう心理を助長する態度、
ということです。)

2018年10月10日水曜日

『はじめてのおもてなし』続

もう、巷で言われていることなんでしょうが……

この映画は、
ナイジェリアからの移民の青年を、
ミュンヘンに住むブルジョワ家庭が受け入れる、
という話なわけですが、
この受け入れ家庭は、
医師のリヒャルトと、
もと校長先生であるアンゲリカの夫婦が中心です。
で、
リヒャルトと言えば、
そう、まずはリヒャルト・ワーグナーが思い出されます。
そして、彼が反ユダヤ的だったこと、
彼のオペラのでは、
ファルス中心主義的な人物が目立っていたことを考えれば、
この映画のリヒャルトは、
作曲家のリヒャルトをモデルにしたものだろうと考えられます。
ヒトラーも、ワグネリアンでした。

そしてアンゲリカですが、
彼女の思想のバックボーンにはキリスト教があり、
難民受け入れに熱心で、
まぎれもない「西洋の女」(←と自分で言うのです)であり、
名前が「天使」がらみだということを考えれば、
これは、
どうしてもアンゲラ・メルケルを考えないわけにはゆきません。
だとすると……
なんとこの夫婦は、
夫がリヒャルト・ワーグナー、
妻がアンゲラ・メルケルなのです!

ドイツで大ヒットしたというのは、
このあたりのこともあったのだろうと、
推察しています。

(そして実は、
映画のリヒャルトは性的に不能です。
これは……
彼のファルス中心主義は、
もう内部から崩壊しているということなのでしょう。
そう言えば、ウェルベックの小説では、
主人公の不能が、
ヨーロッパの衰退を象徴していました……)


2018年10月8日月曜日

『はじめてのおもてなし』

今日の大学院のゼミでは、ドイツ映画

『はじめてのおもてなし』(2016)

を見ました。
(この邦題、ちょっと「キモイ」です。
『ハートマン家へようこそ』ですね。
そもそも、「おもてなし」なんかじゃありません。)

https://www.youtube.com/watch?v=tmklOzR8LgI

ナイジェリア出身の難民ディアロが、
かなりのブルジョワであるハートマン一家に迎えられる、
というお話です。
が、
映画として、かなり大きな欠陥があると思いました。
要は、ディアロ君の描き方と、
ブルジョワ家庭のメンバーのそれとの間に、
大きな差があるのです。
かたやステレオタイプ、
かたや屈託ある内面を抱えた近代人。
というわけで、この映画は「問題あり」なんですが、
それはそれとして、
描かれていることがらの構造や意味などについて、
みっちり議論しました。
おかげで、終わったのは7時近かったのですが、
なかなか充実していて、楽しかったです。

2018年10月7日日曜日

Pattaya

フランク・ガスタンビッドと言えば、
俳優としての長編デビューはこれ、


そして監督としてのデビュー作は、


でした。
で、今日見たのは、
監督としての第2作目である

Pattaya (2016)

です。
これ、LES KAÏRA 同様の「郊外」のノリで、
辞書に出てない単語が満載の映画でした。
(ちなみに第3作目が Taxi 5)


ガスタンビッド自身が演じるフランキーは、
恋人(サブリナ・ウアザニ)にフラレタばかりで、
でも未練満載です。
彼のダチであるクリモもまた、
ぜんぜんカノジョができず、
ふたりは、もうこんな街出ていきたい!
と思っていました。
で、クリモのいとこのレザ(ラムジーが演じます)が、
タイのパタヤで「チョー楽しい」暮らしをしているのを知り、
どうしても行きたくなりますが、お金がない……
そこで目を付けたのが、
パタヤで行われる「小人タイ・ボクシング選手権」です。
ダチの小人であるカリムを選手に仕立て上げ、
主催者から招待してもらうことに成功します。
ただし、小人のカリムはまじめなムスリムで、
そんなことはまったく知らされていません。
「メッカに巡礼に行く」と聞かされています。
(3人ともアラブ系です。)
で、パタヤに着いたはいいのですが、
もちろん、本当の混乱はここから始まるのでした……

ノリはいいし、
それなりにスピード感もあるので、
まあ楽しんでみられるのですが、
単におバカなだけでもありませんでした。
小人のカリムは、
実はふたりの企みに気づいていたのですが、
彼らにいつか「敬意」というものを教えようと、
あえて企てに乗っていたのです。

この映画は、
「まじめ」な日本では公開の可能性はごぼゼロでしょう。
でも、これもフランスなのでしょう。

「全員野球」の「あの珍言」

新しい閣僚について、
今までの発言をまとめた記事がありました。
なかなか勉強になるので、
読めなくなる前に全文コピーして、
忘れないようにします。

ネタ元はここです。

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/「杉田水脈さんは国家の財産ですよ」ほか、“全員野球”安倍内閣の“あの珍言”をもう一度/ar-BBO0oVi?li=BBfTvMA&ocid=spartanntp#page=2

書き手は大山くまお氏です。

**********************************************

「杉田水脈さんは国家の財産ですよ」ほか、
“全員野球”安倍内閣の“あの珍言”をもう一度


大山 くまお 2018/10/06 07:00 


 102日、安倍晋三首相が内閣改造と自民党役員人事を行った。初入閣が12人にも及ぶ第4次安倍改造内閣について、「実務型の人材を結集した」と語った安倍首相は「全員野球内閣」と命名したが、評判は上々とは言えないようだ。さっそく新閣僚からはさまざまな発言が飛び出している。過去の発言もあわせて振り返ってみたい。



柴山昌彦文科相


「(教育勅語について)アレンジした形で、今の道徳などに使える分野があり、普遍性を持っている部分がある」

 初入閣した柴山昌彦文科相は就任会見で、戦前の教育で使われた教育勅語について「今の道徳などに使える」「普遍性を持っている部分がある」などと語った。「同胞を大事にするなどの基本的な内容について現代的にアレンジして教えていこうという動きがあり、検討に値する」とも述べた。


 教育勅語とは明治天皇の名前で1890年に発布されたもので、戦前から戦中にかけて思想面で国家総動員体制を支えた。「君主」である天皇が「臣民」の国民を諭す形をとっており、国民主権、個人の尊重を掲げた現在の日本国憲法とは根本から相容れない。1948年に衆参両院で排除と失効が決議された。衆議院の決議では教育勅語が基本的人権を損ない、憲法に反するものだと明確に位置づけている。


 教育勅語には親孝行や友愛などの徳目も含まれるが、ならば親孝行や友愛について教えればいいことであり、教育勅語にこだわる理由は1ミリもない。近現代史研究者の辻田真佐憲氏は、教育勅語が成立した歴史と内容について論じつつ、「部分的に評価できるところがあるからといって、『教育勅語』全体をそのまま公的に復活させようなどという主張はまったくのナンセンス」と結論づけている(現代ビジネス 2017123日)。


 柴山氏は5日の記者会見で「現在に通用する内容もあるが、政府として教育勅語の活用を(学校現場などに)促す考えはない」と語ったが(産経ニュース 105日)、そんなの当たり前のことだ。





過去に教育勅語を“推した”政治家たち



下村博文 自民党・憲法改正推進本部長


「(教育勅語には)至極まっとうなことが書かれており、当時、英語などに翻訳されて他国が参考にした事例もある」


産経ニュース 201449


稲田朋美 自民党・筆頭副幹事長・総裁特別補佐


「教育勅語に流れている核の部分は取り戻すべきだと考えている」


日本経済新聞 電子版 201738


 近年、積極的に教育勅語について発言していたのは、下村博文氏と稲田朋美氏だ。


 下村氏は文科相だった201448日の参院文教科学委員会で「(教育勅語を)学校で教材として使う」ことは「差し支えない」と発言。同日の記者会見でも「至極まっとう」と語っていた。稲田氏は防衛相だった20173月、参院予算委員会で「勅語の精神は親孝行、友達を大切にする、夫婦仲良くする、高い倫理観で世界中から尊敬される道義国家を目指すことだ」と発言していた(毎日新聞web版 201738日)。松野博一氏も文科相時代に「教育勅語を授業に活用することは、適切な配慮の下であれば問題ないと思います」と発言している(文部科学省ウェブサイト 2017314日)。


 自民党の和田政宗参院議員は下村氏の発言を下敷きに「教育勅語の精神を教育現場で活用することについて、柴山文科大臣の発言を批判している人がいるが、従来答弁を踏襲したもので、何ら問題はない」と柴山氏を擁護した(ブログ 104日)。なるほど、柴山氏は「政府として活用を促すことはない」と答えていたけど、自民党としては「教育勅語の精神(?)を教育現場で活用すること」に「何ら問題はない」と考えているわけね。


 なお、下村氏と稲田氏は、今回の党役員人事で要職に復帰しているところが共通している。下村氏は、安倍首相にとって悲願である憲法改正について具体案を議論する憲法改正推進本部の本部長に就任。稲田氏は総裁特別補佐に就任した。


片山さつき 地方創生相


「国民が権利は天から付与される、義務は果たさなくていいと思ってしまうような天賦人権論をとるのは止めよう、というのが私たちの基本的考え方です」


ツイッター 2012127


 唯一の女性閣僚として初入閣した片山さつき地方創生相のツイッターより。この発言には「国があなたに何をしてくれるか、ではなくて国を維持するには自分に何ができるか、を皆が考えるような前文にしました!」という続きがある。「前文」とは自民党の憲法改正草案の前文を指す。国家ありき、国民はその後という人権についての考え方なのだろう。


柴山昌彦 文科相


「(渋谷区に同性愛者が集まったら)問題があるというよりも……社会的な混乱が生じるでしょうね」


テレビ朝日『ビートたけしのTVタックル』201532


 これは当時、自民党のヘイトスピーチ対策プロジェクトチームで座長代理を務めていた柴山氏が渋谷区の同性パートナーシップ制度について議論する番組に出演したときの発言。このときは「同性婚を制度化したときに、少子化に拍車がかかる」とも発言し、エッセイストの阿川佐和子氏から「国のために役に立たない人間は認めないって話じゃないですか」と反論された。LGBTカップルのことを「生産性がない」と語った杉田水脈・自民党衆院議員とも通じる考え方だ。なお、柴山氏は2012年に「少し時間ができたので小川榮太郎氏の『約束の日 安倍晋三試論』を読み返す。闘志をかきたてられる一冊だ」ともツイートしている(108日)。


桜田義孝 五輪担当相


「(放射能汚染されたごみの焼却灰は)人の住めなくなった福島に置けばいいのではないか」


時事ドットコムニュース 105


 政府は東京五輪を「復興五輪」としているが、新たに五輪担当相になった桜田氏は文部科学副大臣だった2013年にこのような発言をしていた。桜田氏は5日の記者会見で過去の発言について「誤解されるような発言があったとすれば私の不徳の致すところだ」と陳謝したが、誰も誤解なんかしていない。


 なお、桜田氏は五輪担当相の就任会見の冒頭、「パラリンピック」と上手く言えずに4回言い直していた。臨時国会で審議予定のサイバーセキュリティ基本法改正案について答弁する予定だったが、首相官邸が桜田氏の答弁を不安視しており、別の閣僚への変更を検討しはじめたという(朝日新聞デジタル 104日)。



「黙れ、ばばあ!」が話題の平井卓也氏



平井卓也 科学技術・IT担当相


EM菌を使っている方がたくさんいるので幹事長を引き受けた。中身はよく知らない」


毎日新聞 103


 初入閣の平井卓也科学技術・IT担当相は、科学的裏付けのない有用微生物群(EM菌)の利用を目指す超党派の「有用微生物利活用推進議員連盟」の幹事長を務めている。EM菌は実態の定義も概念の意味も不明瞭な疑似科学で、何の効果もないと批判されている。記者会見でEM菌議連の幹事長を務めていることについて問われた平井氏は「中身はよく知らない」と釈明した。よりによってすさまじい人を科学技術相に選んでしまった。


平井卓也 科学技術・IT担当相


「黙れ、ばばあ!」


中日新聞プラス 2013629


 自民党ネットメディア局長時代の2013年には、「ニコニコ動画」上で生中継された党首討論で、社民党の福島瑞穂氏に対して「黙れ、ばばあ!」、日本維新の会の橋下徹氏の欠席が伝えられたときには「橋下、逃亡か?」などと書き込んでいたことが明らかになっている。安倍首相の発言の際は「あべぴょん、がんばれ」などと書き込んでいた。取材に対して「(国会の)やじみたいなものだ」と釈明している。これがIT担当相……。


桜田義孝 五輪担当相


「(従軍慰安婦は)職業としての売春婦だった。犠牲者だったかのような宣伝工作に惑わされ過ぎだ」


日本経済新聞 2016114


 桜田氏の発言をもう一つ。自民党の外交関係合同会議で、韓国との従軍慰安婦問題についてこう発言した。この前年12月末の日韓合意で政府は慰安婦問題に関し、旧日本軍の関与と責任を認めたばかりだった。


原田義昭 環境相


「南京大虐殺や慰安婦の存在自体を、我が国はいまや否定しようとしている時にもかかわらず、申請しようとするのは承服できない」


朝日新聞デジタル 2015102


 こちらはユネスコの世界記憶遺産登録をめぐる中国の動きへの対策を検討する自民党の国際情報検討委員会で、委員長だった原田氏の発言。原田氏はラジオ番組のインタビューでも「南京の虐殺というような評価にはまったく当たらない」などと発言していた(TBSラジオ『荻上チキ・Session-2220151019日)。


話題の“あの人”の擁護も……

原田義昭 環境相


「杉田さんは自民党だけではなく国家の財産ですよ」


『ジャパニズム』41210日発売)


 今年210日に発売された雑誌『ジャパニズム』で杉田水脈衆院議員と対談した原田氏は、「国家の財産」と絶賛した。原田氏はほかにも「僕なんか杉田さんが来るの夢みたいに待っていたんでね」「杉田さんの認識はきわめて一般的ですよ」などと語っている。


稲田朋美 自民党・筆頭副幹事長・総裁特別補佐


「ミサイル防衛で1発目のミサイルを撃ち落とし、2発目(が撃たれる)までに敵基地を反撃する能力を持っていない状況でいいのか」


朝日新聞デジタル 102


 これはつい先日の発言。北朝鮮問題のシンポジウムにゲストとして登場した稲田氏は、「北朝鮮は実は非核化の意思はないんじゃないか。経済制裁を緩めるべきではない」と圧力路線を主張。自衛隊による敵基地攻撃能力の保有を訴えた。日朝首脳会談の実現は稲田氏にとって眼中にないらしい。



安倍首相は「全員野球内閣」と言うが……

 第4次安倍晋三改造内閣について、プレジデントオンライン編集部は「“右寄りのお友達”で固めた安倍内閣」とストレートな見出しを打っている(104日)。共産党の小池晃書記局長は「全員野球内閣」というキャッチフレーズに引っかけて「首相と同じ毛色の政治家をそろえた右バッターばかりの『お仲間内閣』」と表現した(ツイッター 102日)。


 今回の内閣では、公明党所属の石井啓一国土交通相を除き、安倍首相と自民党所属閣僚の19人全員が「靖国」派改憲右翼団体と連携する「神道政治連盟国会議員懇談会」と「日本会議国会議員懇談会」の二つの議連のいずれかに加盟歴があることが明らかになっている(しんぶん赤旗 104日)。


 安倍首相は記者会見で「希望にあふれ、誇りある日本を創り上げ、世代に引き渡すため、内閣一丸となって、政策の実行に邁進する決意です」と語ったが(産経ニュース 102日)、いったいどのような国になってしまうのか注視していきたい。


(大山 くまお)

*****************************************************************


2018年10月6日土曜日

『ボヘミアン・ラプソディ』

ああ、こんな映画が来るんですね。

http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/

私が高校生だった頃、
クイーンとディープ・パープルは、
日常的には一番聞く BIG 2 という感じでした。

(あわてて付け加えますが、
もちろん、人気者 KISS もいたし、
王者 ツェッペリンもいました。
また、ブラック・ミュージックも聞いていたので、
そちらでは、
なんといってもスティーヴィー・ワンダーを偏愛していました。
クール&ザ・ギャングもコモドアーズも、
スタイリスティックスも大好きでした。)

映画のタイトルでもある「ボヘミアン・ラプソディ」は、
通学時、駅から高校までの道すがら、
バンド仲間よく歌いました。
もちろん、スタジオを借りて練習する時も。
だから、思い入れのある曲ではあります。
また、歌詞の途中にでてくる仮定法過去完了を使った願望の文も、
英語勉強中の高校生にはしっくりきました。
「生まれてこなければよかった……」
という部分です。

で、
この映画の公式HPで、
盛り上げるためでしょう、
「楽曲総選挙」なるものが行われていました。

http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/campaign/

でも、
わたしにとって一番馴染みのある曲は、
エントリーされていません。
わたしなら、これです。

https://www.youtube.com/watch?v=1GMsnkzKlE4

このヴィデオ、1975年ですね。
このときのツアー、行きました。
武道館でした。
「ボヘミアン・ラプソディ」の途中で、
フレディーが音程を外して、
わたしたちはそれ以降、
必ずフレディーと同じように外して歌いました!
もちろん、彼が好きだったからで、
揶揄う気持ちはまったくありません。
そして、コンサートの最後の曲、
それがこのヴィデオです。
わたしたちのしけたバンドも、
文化祭などで演奏するときは、
ラストはこの曲にしていました。

今でもこの曲は、
フルコーラス歌えます!

2018年10月5日金曜日

<ユゴーはいかにして『レ・ミゼラブル』を書いたか>

上智の仏文科が主催する講演会です。

http://dept.sophia.ac.jp/human/flit/講演会のお知らせ%EF%BC%882018-10-17%EF%BC%89/

おもしろそうです。

7 jours pas plus

ブノワ・ポールヴールドは、
『神様メール』

http://tomo-524.blogspot.com/2016/09/le-tout-nouveau-testament.html

の印象が強いですが、それ以外にも、

http://tomo-524.blogspot.com/2016/01/une-famille-louer.html

も悪くなかったです。

そして今回見たのは、
彼が主演したコメディー、

7 jours pas plus (2017)『7日間だけだぞ』

なんですが、
今回も彼は、いわば得意のキャラ、
つまり、気難しくて実はさびしい老人、を、
きっちり演じていました。

https://www.youtube.com/watch?v=dRaNaz50oiE

<以下、ネタバレします>
フランス北部で、
日曜大工用品を扱う店を営む50代の男、ピエール。
口が悪くて気難しい、いやなおじさんです。が、
彼の内面にある感じやすさを見出しているジャンヌは、
なんども彼にアプローチします。
上手くいかないんですが。
そしてある日の散歩中、
ピエールはある「事件」に遭遇します。
彼の目の前で、肌の浅黒い青年がクルマから放り出されたのです。
青年は助けを求めているようなんですが、
彼が話す言葉は一言も分かりません。
彼はインド人で、ベンガル語を話していたのです。

ピエールは仕方なく、
青年アジットが持っていた住所までクルマで送りますが、
そこに探し人(青年の叔父さん)はいませんでした。
で今度は警察に行きますが、
ピエールは横柄な警官と喧嘩してしまい、
仕方なく一晩泊めることにします。
もちろんイヤイヤですが。
で、翌日はパリのインド大使館へ。
でもここもダメで、
その後は思いついたことをいろいろやってみますが、
全部不調でした。

そして映画のラスト近く、
なぜ、ピエールはこんな人間になってしまったのか、
なぜ、アジットはインドを離れることになったのか、
が明かされます。
実はピエールはイタリア系で、
母親は、1975年、テロに巻き込まれて亡くなっていました。
で、ロッジ P2 などのテロに嫌気がさし、
ピエールの父はフランスへの移住を考えます。
そして、19歳になったピエールは、
1986年、パリに到着するのですが、
まさに到着したその日に、
彼もまたレンヌ通りのテロに巻き込まれてしまうのです。
そしてそのニュースを見た父親は、
ショックのあまり亡くなってしまいます。
2つのテロによって、
ピエールは孤児になっていたのです。
そしてアジットは……
実は彼も、フィアンセをあり得ないような事故で失っていました。
その事故を伝える新聞記事は、
ピエールの「無意味なニュース・コレクション」の一部として、
切り抜かれ、スクラップされていました……

あくまでコメディーなので、
(正確に言えば、悲喜劇でしょうか)
言い当てようと思えば、
結末を言い当てるのは難しくありません。
また、わたしは見ていておもしろかったですが、
フランスのメディアにはあまり受けないだろうと感じました。
(実際、そうでした。)
この映画は、
そうしたプロの批評家の目を、
気にしていない印象を持ちました。
伏線の貼り方も、
偶然の起こり方も、
キャラの設定も、奥行きも、
批評受けはしないものがからです。
わたしも、
この映画で論文を書こうとは思いませんが、
これはこれでいいんじゃないかとも感じました。

*この映画は、
アルゼンチン映画 Un cuento chino のリメイクだそうです。
こちらも見てみたいです。

2018年10月4日木曜日

『スノーデン』

オリヴァー・ストーン監督の映画、

『スノーデン』(2017)

を見てみました。
言う間でもなく、
あのエドワード・スノーデンの物語です。

https://www.youtube.com/watch?v=1h55rk84lW4

監視社会、というものについて、
いろいろなところでいろいろに語られてきていますが、
わたしも、かなり遅ればせながら、
最近少し考えるようになりました。
学部でも院でも、
中国人の学生と出会う機会が多いことも、
影響していると思います。

この問題は、
さまざまな切り口があるのでしょうが、
この映画を見終わった後だと、
国家支配 vs. 個人の基本的自由
という構図が重要に見えます。
新しくて古い独裁、ファッショ、に陥らないことが、
最優先に考えられるべきだろうと感じました。

パリ詩集

以前ここでも触れた、パリ詩集。
締め切りが来て、送りました!
わたしの分担は 5篇ですが、
その内3篇はわりと長いので、
書いた、という感じはするのでした。

何かを書くときは、
ふつう、読んでくれる人のことを考えながら書くわけですが、
詩を書く時だけは、
(いいのか悪いのか)
あまりそういう意識が働きません。
ただ今回の詩集(というか冊子みたいなものではありますが)は、
ふだんあまり詩を読まない人たちにも届くように、
という趣旨で始まっているので、
そのへんのことを、いつもより意識しました。
そして、いわゆる「詩」から少し離れたものも、
トライしてみました。

小さな本の、
それも一部に参加しているだけですが、
完成がとても楽しみです。

2018年10月1日月曜日

RIP Charles Aznavour

https://fr.yahoo.com/news/mort-charles-aznavour-après-longue-belle-vie-bohème-120306385.html

アズナブールと出会ったのは、
中学生の頃、
兄が持っていたEPレコードを通してでした。
たしか、A面が「ラ・ボエーム」、
B面が「ラ・マンマ」だったと思います。
で、
「ラ・ボエーム」は、
なんとか歌えた時期もありました。
今は、あそこまで「文学的」なものには、
もうついてゆけないのですが。

ティーンエイジャーには知りようのない一つの時代のことを
これから君たちに話してあげよう……


このヴィデオは、何回も見たなあ……




『東京暗黒街』

今日は、
台風の余波で午前中が休講。
で、午後の大学院の授業だけだったんですが、
みんなで、これを見ました。

http://tomo-524.blogspot.com/2011/02/blog-post_02.html

院生に一人、
サミュエル・フラー好きがいて、
彼はこの映画がとても気に入ったようでした。
なのでつい、
彼にDVDをプレゼントしたのですが、
DVDにとっても、
ファンの元にいたほうが、
きっと嬉しいことでしょう!

この映画、1954年制作なので、
実はあの『ゴジラ』と同じ年です。
こちらはカラーで、画面もきれい。
フィルムやカメラなどにかけているお金が、
だいぶ違う気がします。
そして今見ると、
従順で「尽くす」タイプのヒロインと、
やや暴力的でもあり行動の人でもあるヒーローとの関係が、
対米従属から抜けきれない日本と、
「日米修好通商条約」の夢から醒めきれないアメリカのそれに似ていて、
自虐的な笑いに陥ってしまうのでした。

「ぼくたちは愛を……」

数日前に、
「望星」(10月号)
について、
清水哲男さんの詩が読みたいばかりに買ったと書きましたが、
中に、
高橋源一郎さんの、

「ぼくたちは愛を清岡卓行の詩から学んだ」

という文章が載っていました。
よく知っている人(というか父親ですが)のこと、
そしてその恋人(というか母親ですが)のことが、
とても親近感を込めて書かれており、
とても不思議な気持ちになりました。
父親も、喜んでいると思います。

2018年9月30日日曜日

『コロンビアーナ』

コロンビア、と言われても、
『そして、一粒の光』
くらいしか思い出せないので、
これはコロンビアのヒントになるかと思って見てみたのが、

『コロンビアーナ』(2011)

まあ、製作・脚本がリュック・ベッソンなので、
エンタメ寄りです。

https://www.youtube.com/watch?v=Ikficp_hEMo

宣伝文句に、
『ニキータ』、『レオン』に続いて……
と書かれていたのですが、
これはたしかに、『ニキータ』にとても似ています。
ヒロインの仕事、アクション、体形、
そしてヒロインのカレシのキャラも、
二人の関係も。
となると、映画の結末も似てくるわけです。

殺人を犯し、
その後スナイパーとして第二の人生を送っていたニキータは、
やがて「人間」として目覚め、
その仕事から逃げてゆきます。
が、
今回のヒロインに、
そうした葛藤はありません。
自分の油断から、「家族」が殺され、
その罪悪感を感じることはあっても、
人殺しそのものに対する後ろめたさがないのです。
それがいいのだ、とも言えるのでしょうが、
わたしにはやはり、
浅い感じがしました。

ベッソンは、自己模倣をして前作より浅くなったわけですね。
で、残念ながら、
コロンビアのイメージも膨らみませんでした!

Gagné !

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/沖縄知事に玉城氏初当選-政権支援の佐喜真氏を破る/ar-BBNJFvo?li=BBfTvMA&ocid=spartanntp


2018年9月27日木曜日

『アンロック 陰謀のコード』

授業と会議日の谷間で、
なんとなく落ち着かない今日のような日は、
まあ、気軽な1本を見てみましょうということで、
Amazon Prime Video で行き当たりばったりに、

『アンロック 陰謀のコード』

という映画を見てみました。
舞台はロンドン。
パリのテロを阻止できなかったCIA の女性尋問官、
が主人公です。

テロリストたちの描写は浅く、
裏切り者の思慮も浅く、
マッチョな男たちは意外にあっけなくやられてしまい、
大事なヒロインもそれほど魅力的じゃない……
という、60点くらいのデキの作品でしょうか。
何か一つ、
コレはいい、ってものが欲しかったですね。

「望星」

「望星」という雑誌を、
初めて買いました。
特集、「詩のある生活」です。

https://www.amazon.co.jp/望星-2018年-10-月号-雑誌/dp/B07G1ZS3QF/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1538028015&sr=1-1&keywords=%E6%9C%9B%E6%98%9F

どうしても読みたかったのは、
清水哲男さんの、久しぶりの新作詩です。

届いてすぐ、
まずはその詩を読みました。
これは……
震えました。

2018年9月26日水曜日

リバティー・アカデミー開始

リバティー・アカデミーの秋の講座、
今日からスタートしました。
「フランス語講座」なんですが、
いつもながら脱線が多く、
進みはゆっくりですが、
まあ、脱線こそ人生、という面もありますね。
(C'est vrai !?)
がんばっていきましょう!


ところで今期は、
院のゼミでも中国からの女子学生が二人、
学部の総合文化ゼミでも中国や韓国からの留学生が多く、
大学の変化を実感しています。
わたしの研究室や担当クラスの留学生たちは、
みんないい感じの学生たちです。

昨日は、
中国人留学生の一人が大連出身ということが分かり、
大連ネタで盛り上がりました。
なんだか、楽しいです!

2018年9月24日月曜日

秋学期開始

今日は休日ですが、
大学は授業があり、
わたしにとっては秋学期最初の授業となりました。
(大学自体は、先週の木曜から。)

午前中は、大学院の授業で、

「文学と都市」

です。
テキストは『東京詩』。
前期が「映画と都市」で、
パリの映画を扱ったわけですが、
そちらが共時的な作品を集めていたのに対し、
後期は通時的に、
つまり1900年頃から現代にいたる、
東京に関わる詩を読んでいきます。
東京を知り、
それがどんな形で「生きられた空間」にあなってゆくのか、
都市を生きる日常とはどんなものなのか、
を探ってゆきます。

午後はゼミで、
予定通り、

『長恨歌』

を見ました。
中国出身の院生がいるので、
彼女らに細かい点を教えてもらいながら見ました。
驚くほど、発見がたくさん。
なんというか、
学生の気持ちがわかりました。
映画にはこれだけのものが埋め込まれていたのね~、
という感じ。

6時頃まで、けっこう長丁場でしたが、
おもしろかったです!

2018年9月23日日曜日

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

去年の春に日本でも公開された、

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

を見てみました。(アマゾン・ヴィデオ)

https://www.youtube.com/watch?v=C_KDSAPybf4

アメリカ映画にしたら、
とても「地味」な映画で、
日本公開が危ぶまれたそうです。
たしかにこの作品は、
いい意味で「アメリカ映画」的ではありません。
静かな、いい映画でした。

最初、いわゆる「ダメ男」ものかと思いましたが、
そうではなく、
主人公には、
「心が壊れる」だけの過去がありました。
彼と、彼の元妻と、
兄と、兄の元妻と、
兄の息子。
彼ら全員の人生に、
それは影を落としています。

ちなみにフランスでのメディア評も、
とても芳しいものでした。
アメリカ映画でも、
こんなにまともなものがあるわけですね。

ただ、ボストンや、
マンチェスター・バイ・ザ・シーを舞台としているわけですが、
2時間超の映画の中で、
アジア系は女性医師が一人だけで、
アフリカ系はただの一人も登場しませんでした。
こんなに白人社会な土地柄なのかどうか、
それが少し気になりました。

『ヒトラー ~最期の12日間』

アマゾン・ヴィデオで、

『『ヒトラー ~最期の12日間』

を見ました。

https://www.youtube.com/watch?v=SknVTfP66JU

もちろん、ヒトラーとナチの話ですが、
当然、多くの戦争好きな「軍」も、
かなりな程度同様なのでしょう。

WWⅡ での死者数は、
                 
日本   310 万人(うち、市民 80万人)
ドイツ     689 万人(うち、市民267万人)

ナチは、ユダヤ人を600万人殺したわけですが、
自国の市民も、200万人以上失ったわけです。
兵士や市民が死ぬことに鈍感にならなければ、
戦争なんてできないのでしょう。

インパール作戦の時の作戦本部での、
5000も死ねばなんとかなります、
みたいな言い方は、
ふつうにはできません。
(しかもインパールでは、それどころではなかったわけです。
死者は7万人を超えるとされています。)

映画としては、やや長かった気もしますが、
戦争の狂気とむなしさは、
よく伝わりました。

2018年9月22日土曜日

ルペン氏に精神鑑定命令

マリーヌ・ルペンが、
かつて(ISによる)残虐行為の写真をアップしたことに関して、
精神鑑定を受けるように命じられたそうです。

https://www.msn.com/ja-jp/news/world/is残虐写真投稿で極右ルペン氏に精神鑑定命令、仏裁判所/ar-AAAq9Bp?li=AA4RHB&ocid=spartanntp#page=2

でもこれは……
もちろん、そうした写真をアップすることには反対ですが、
精神鑑定というのも、
「わざと」感が強いのはたしかですね。

2018年9月21日金曜日

『長恨歌』


スタンリー・クワン監督の、2005年の映画、

『長恨歌』

を見てみました。
この映画、
日本版もフランス語版もなかったのですが、
幸い英語版を発見し、見ることができました。

舞台は上海。
ストーリーはむしろ単純で、
サミー・チェン演じる女性の半生を、
彼女を求めた男たちとの関係を中心に描いています。
ただ、全体がいくつかのパートに分かれていて、
その間の時間がかなり飛ぶので、
そこがちょっとわかりにくかったです。
ある人物について、
彼は1984年に死んだ、
と(暗転した画像を背景に)字幕が出るのですが、
その後の物語は、まだ70年代だったり。
(字幕が悪いのかもしれませんが。)

基本的な視点は、
レオン・カーフェイ(って、『ラマン 愛人』の彼です。)演じる、
程先生のものです。
そして彼は、
ヒロインのことがずっと好きなんですが、
その思いは(一応)秘められたままです。

新中国建国前から始まって、
文革を経由し、
改革開放の波の中でヒロインは死に、
程先生が2000年代に亡くなったところで物語は終わるのですが、
映画は、
しかし上海は死なないのだ、
と締めくくられます。
この街の映像はほとんど出てこないのですが、
つまり、
この上海を離れないヒロインこそは、
一つの時代の上海を象っているのでしょう。
(男たちは、どこからか来て、どこかへ行きます。)

来週の、
大学院の最初の授業で、
この映画を見る予定です。

2018年9月20日木曜日

『長江哀歌』

ジャ・ジャンクー監督の 2006年の作品、

『長江哀歌』

を見てみました。
漢字なので、
ついこれがオリジナル・タイトルなのかと思ってしまいますが、
そうではありませんでした。
原題は、『三峡好人』。
三峡ダムで知られる地域、
特に、完全に水没する町、奉節を舞台にしています。


山西省の違法な炭鉱で働いている労働者、サンミンは、
16年間会っていない妻と娘に会いに、
奉節にやってきます。
彼は妻を、当時の3000元で「買った」のでした。
奉節は「女が多く、売られる女も多い」のです。
ただし彼は、妻にやさしく接しました。
それでもなぜか、
子供を産んだ後、
妻は故郷・奉節へと帰ってしまったのです。
しかしサンミンが来てみると、
かつての妻の実家は、
すでに水没していました。
ここから、彼の本当の妻探しが始まります。

そしてもう一人、
やはり山西省で看護師をしていた女性、シェン・ホン(チャオ・タオ)もいます。
彼女は、
もう2年間、
時折かかってくる夫からの電話を待って暮らしていたのですが、
夫に話さなければならないことができたのです。
夫は、どうやら、
水没する家に暮らす人たちを、
違法に追い出す仕事を仕切っているようなのですが……

この2つのストーリーは、
いくつかの章によって構成されています。それは、
煙草、酒、茶、飴、
などと題されていて、
つまりそこでは、
庶民の生活が焦点化されていることが宣言されているようです。

静かな、堂々として映画でした。
ただ、住民100万人以上を移住させたこの三峡ダムの建設と、
その周辺でもがくように生きる人々の暮らしの関係、
るいは、
そのことと、
サンミンやシェン・ホンの「旅」との関係、
さらには、
山西省から、奉節を経て上海へ向かうというシェン・ホンの移動の意味など、
今はまだうまく言うことができません。
もう少し、
考えてみる必要がありそうです。
もちろん、いい映画ではありました。

2018年9月18日火曜日

『帰ってきたヒトラー』

2015年のドイツ映画、

『帰ってきたヒトラー』

を見てみました。(アマゾン・ヴィデオ 200円)

https://www.youtube.com/watch?v=I4a5XgNT6vQ

現代のドイツに、
ヒトラーがタイム・スリップして現れるというコメディですが、
なかなかよくできていて、おもしろかったです。

しばしば指摘されることですが、
ヒトラーは、たしかに「選ばれた」のであって、
たとえば軍事的に国民を制圧したわけではありませんでした。
そのへんの事情をよく踏まえていて、
今右翼が台頭している国々の人には特に、
身につまされる作品となっていました。
ドイツ、フランス、スウェーデン、日本……

2018年9月17日月曜日

『オオカミは嘘をつく』

2014年の映画、

『オオカミは嘘をつく』

を見たのですが……

なぜ見たかと言えば、
イスラエル映画で、
それもアラブ人居住区が主な舞台だったからです。
が、
少女の誘拐事件を題材にしており、
興味の湧かないものでした。
ま、ハズレることもありますね。



2018年9月16日日曜日

Mademoiselle

Le Fils de Jean がよかったので、
続けてフィリップ・リオレを、
と思って見たのが、

『マドモワゼル』(2001) 日本版アリ

なんですが……
わたしにはイマイチ、というか、
ゼンゼンでした。

https://www.youtube.com/watch?v=IcHnEUw-8lk

要は、夫と、二人の子供たちと、
仕事があって、幸せに暮らしていたクレールが、
24時間の恋に落ち、
でも、それは24時間で終わって、
いい思い出となる、
こんなにまじめに見える女性の背後にも、
こんな物語がありえるのだ、というお話です。

この物語そのものは、
悪いわけじゃないんですが、
若い恋人を演じるジャック・ガンブランが、
ミス・キャストな気がしました。
で、彼は、あと二人と組んで、
パーティーなどの余興芝居をして歩く仕事なんですが、
よくわからない。
この男の生き方などに、
思い入れを持つことができませんでした。

(この映画のメディア評はかなりいいです。
全然わたしと見方が違います!)

Le Fils de Jean

『君を想って海をゆく』のフィリップ・リオレ。
今回見たのは、彼の2016年の作品、

Le Fils de Jean (『ジャンの息子』)

です。
設定自体は既視感があるものの、
とても丁寧に作られていて、
いい映画だと思いました。

https://www.youtube.com/watch?v=a8gN1yP62dI

33歳のマチューはバツ1で、
隔週末は息子のヴァランタンと過ごしています。
元妻との関係も、悪くはありません。
ドッグフードの販売会社に勤めてながら、
サスペンス小説も書いていて、
1冊だけは本になっています。
ある日、そんなマチューのもとに、一本の電話が。
あなたの父親(ジャン)がなくなり、その父親から預かったものを渡したい、
と言うのです。
実はマチューは、父親を知りません。
母も、ほとんど何も教えてくれないまま、
3年前に他界しました。
そして訊いてみると、
マチューには兄弟もおり、
彼らはみんなモントリオールに住んでいることがわかります。
父親の葬儀に出るために、
そして兄弟たちに合うために、
マチューはモントリオールに飛びます。
空港では、
知らせをくれたピエールという人物、
父親の友人だったという老人が迎えてくれます。
そして、マチューのルーツが、
次第に明らかになってゆくのです。
父親は、ほんとうにマチューの父親なのか……?
それとも……?

<以下ネタバレ>

わりと多くの人物が登場します。
まずは、マチューの兄弟とされる二人。
つまりジャンの息子たちです。
兄はモトクロスのチャンピオンで「飲んだくれ」、
弟は弁護士で金に執着しています。
(二人はユダヤ系ですが、
実質的にはまったく無宗教的です。)
また、ピエールと、
その妻、娘も重要です。
実はピエールこそ、
マチューの父親なのです。
がんを患ったピエールは、死期を悟り、
友人の話をでっちあげてマチューに連絡したのです。
遺品として、
かなり高価な絵をプレゼントするつもりで。
これを売って、会社を辞めて、
小説を書くことに専念するんだ、
好きなことをする、それが人生だ、
と、ピエールはマチューに言うのです。

ピエールの妻は、当初作り話を信じますが、
すぐに、自分の夫こそが、
マチューの父だと気づきます。
そしてマチューに、西洋医学の治療を拒むピエールを説得して、
治療を始めるように説得してくれと懇願するのです。
30年前の1度の裏切りより、
今目の前にいる夫が大事です……。
また、かつて「飲んだくれ」と付き合っていたピエールの娘は、
今は双子の娘を抱えた心理療法士ですが、
彼女の心は、(そしてマチューもまた)
完全に大人になり切ってはいません。
またピエールには、もう一人娘がいるのですが、
彼女はオーストラリアにいて、音信不通です。
(理由は語られません。)

映画のラスト近くなり、
ピエールがマチューの父親だと判明するあたりから、
画面はとても張り詰めてきます。
けれど、マチューがピエール一家をパリに招き、
行く、と返事するあたりから、
その緊張はほどけ、暖かい和解が見えてきます。
空港でマチューを見送るラストは、
記憶に残るものでした。

フィリップ・リオレ、
さすがです。

2018年9月14日金曜日

Vive la France

昨日は、
大学で業務があったついでに、
夜、二人の先生と暑気払いをしました。
(まあ、もう「暑気」は遠ざかりましたが!)

なんてことはない店で、
大学の話、仕事の話、
そして夏の旅行の話、など。
なんてことはないんですが、
楽しかったです。

で……

2013年のコメディー映画、

Vive la France

を見てみました。
ずっと「積読」になっていたのですが、
エミリー・カーンがちょっと出ている、
というのを(無理やり)動機にして。

https://www.youtube.com/watch?v=OHUPwzOWMEA

タブリスタン、という、
誰にも知られず、
国連にも加盟させてもらえない(架空の)国。
お偉方たちは、
自分の国の存在を示すため、
なぜか、エッフェル塔爆破計画を思いつきます。
で、指名された二人は、
訓練の末フランスに向かいますが、
パリはストのため、
飛行機はコルシカに。
そこから二人は、
知り合った女性とともに、
もちろん騒動を引き起こしながら、
ロードムーヴィー的にパリに向かい……というお話。

まず、掴みでおもしろかったのは、
2人がフランス語の特別レッスンを受ける場面。
大事なのはこの10語、と言って黒板に示されたのは


1と2(ça va)と10(au revoir)以外は、
教科書には出てこない奴ですね。
正しい綴りは

conard
conasse
salope
pauvre con
merde
putain
Fais chier

やっぱり、教科書向きじゃありません!
でもたしかに、使われてるんですけどね。

映画としては、まあ、
気晴らしにはいいかもしれません。

2018年9月12日水曜日

24 jours ~ casting

24jours には、有名俳優も多く出ています。

まず、「ユダヤ人」側として、

ザブー・ブレットマン
パスカル・エルベ

がいます。
ザブーについては、
数日前にも書きました。
パスカル・エルベは、
やはりこれでしょうか。

http://tomo-524.blogspot.com/2014/12/blog-post_8.html

(また先日、彼が主演した

Les mauvais joueurs (2005)

という映画も見ました。
サンティエのユダヤ人社会を舞台にしているんですが、
彼の奥さんを演じたのは、
リン=ダン・ファン。
彼女は、『インドシナ』『真夜中のピアニスト』、
そしてTout ce qui brille にも出てました。
ユダヤ人の奥さんにアジア系を持ってくるあたりは、
おもしろいですね。
もう10年以上前の映画ですけど。)

監督のアレクサンドル・アルカディーを含め、
彼らはリアルなユダヤ人なのでしょう。

映画の中の、唯一のアジア系は、
オドレ・ジャコミニ(Audrey Giacomini)です。


wiki 情報では、おじいさんの両親が、
ヴェトナム系とブルターニュ出身者だったようで、
となるとオドレ自身は、
1 / 8 アジア系なのですね。
(アジア系なのは、一目見て分かりますが。)
大きな役はこれからのようです。

そして警察側ですが、

ジャック・ガンブラン
エリック・カサノヴァ
エミリ・カーン

らがいます。
エミリ・カーンは、
『最強のふたり』の中で、
画廊の販売員を演じていました。
チョイ役ですが、印象に残る人でした。


彼女、とても多くの作品に出てるんですが、
大きな役には恵まれていないようです。
(『最高の花婿』の、三女役がありますが。)
顔が整い過ぎているんでしょうか?

(アーウィン・ショーのある短編に、
とても美人なんだけど、
役がもらえない女優さんが出てきます。
その理由は、グレタ・ガルボに似てるから!
彼女は、
新人にとって、有名女優に似てるってことが何なのか、あなたにわかる?
と泣くのでした。)

24 jours

アレクサンドル・アルカディー監督の作品は、
これまでにも何本か見てきました。
中でも、これはよかったです。

http://tomo-524.blogspot.com/2016/08/ce-que-le-jour-doit-la-nuit.html

で今回は、彼が2014年に発表した作品、

24 jours

を見てみました。
この「24日」というのは、
2006年の1月20日から、2月13日までの24日間のことです。
この24日間に、ある大事件がありました。
とてもよくまとめられている記事があったので、
リンクを貼ります。

https://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/4b1d536137cb83d1e988e33f0e6fee9e

映画は、この事件を直接扱っています。

https://www.youtube.com/watch?v=MYVJpPK7QPY

とても印象深い映画でした。
題材が題材だけに、
「おもしろい」という表現はためらわれますが。

この12年前の事件、
犯人たちは「差別思想」が何なのかさえ知らなかった気がします。
だからこそ逆に、
この犯罪には、
ユダヤ人に対する根深い差別があったとも言えるのでしょう。

映画は全編、緊張感が絶えることなく、
強いサスペンスを保っていました。
メディア評の中には、
「むごい結末に至ることを知っている」中で、
こうした作劇はいかがか、という批判もありましたが、
(そして観客動員も伸びなかったようですが)
それはドメスティックな見方というもので、
映画は世界中で見られることを考えるべきでしょう。
つまり、事件のことを初めて知る観客が多くいるはずだということです。

いい映画でした。

*刑事たちの会話の中で、
“la fille du RER”
という事件が言及されていました。

http://tomo-524.blogspot.com/2013/11/la-fille-du-rer.html

2018年9月11日火曜日

Belle comme la femme d'un autre

パリのヴィデオ屋さんで10本ほどDVDを買ったんですが、
全部で55ユーロだったので、
1本あたり平均で700円くらいでしょうか。
で、今日2本見たんですが、
残念ながら「×」と「△」でした。

1本目は、イザベル・カレとジルベール・メルキの共演。
これだと、もうスト―リーなんか読まずに買ってしまうわけですが、
だめでした。
というか、途中でやめてしまいました。


もう1本も、
オリヴィエ・マルシャル、
オドレ・フルロ、
ザブー・ブレットマン、
3人が揃っているので、
それだけで買いのパターンです。

Belle comme la femme d'un autre(『他人の妻のように美しい』2014


男が女に結婚を申し込む。
女は男を信じているのに、なぜか、
彼の思いを試したくなり、
それ専門の「トラップ」会社に申し込む。
送り込まれた美女。
でも今回、この美女は男に恋して……という(たわいない)お話。

オドレ・フルロは、
『最強のふたり』で、
オマール・シーに言い寄られる役どころでしたが、
なんというか、
いわゆる「いい女」系の役どころをこなす俳優ではない印象でした。
でも、今回の映画でも、
トラップを仕掛ける側なので、
そういう印象があるのかもしれないし、
むしろないからこそ、
(あくどくならないように)
こういう役を振られるのかもしれません。
また、O・マルシャルはノワールなイメージが強いので、
どこかで拳銃を抜きそうな感じ(!)が、
ずっとしていました。

この映画、
フランスでのメディアの評価はことのほか低く、
でも、
この程度にしょうもないフランス映画って、
たくさんあるようにも思うのですが……

たわいないものとしては、
わたしは「△」でいいと思いました。


*ザブーは、このテレビ映画の監督でした。

スウェーデン総選挙

https://jp.reuters.com/article/se-election-idJPKCN1LP0U6

先日、この話題がフランス2のニュースでも取り上げられていました。
スウェーデンの街角で、
右派に投票する、という人たちが口にするのは、

「外国人移民のせいで犯罪が増えた」

「彼らのが保険を使うので、経済が悪くなった」

というようなものでしたが、
インタヴュアーが、
「犯罪率は上がってませんけど?」
とか、
「スウェーデン経済は好調な数字ですけど?」
と突っ込むと、
それまで冷静さを装っていた人たちが、
とにかくダメなの!
みたいな反応になっていました。
(日本のインタヴュアーには、
これは望めないんですよね、残念ながら。)

右派は、
不安をあおり、
根拠のないことを刷り込むわけですね。

2018年9月10日月曜日

『グッバイ・レーニン』

2003年公開の、
とても有名と言ってもいい映画、

『グッバイ・レーニン』

を見てみました。
わたしは初めて見ました。(Amazon Prime で。)

https://www.youtube.com/watch?v=4SL8zZt5XKc

今から15年前の映画で、
さらに、
映画の舞台となっているのは、
ベルリンの壁崩壊(1989)前後ですから、
公開年の14年ほど前です。
(つまり、ベルリンの壁崩壊から、
来年で30年も経つんですね。)

映画の設定はコメディー的で、
東ドイツを深く信奉する母親が倒れ、
8か月間昏睡している間に、
壁は崩壊し東西は統一。
でも、どんな小さなショックもダメ、と医者に言われた息子は、
東ドイツがなお存続しているというフィクションを、
ベッドにいる母親の前で繰り広げる、というお話です。
この母親の夫は、
10年以上前に、西に亡命しています。

今見ると、コメディーとしては、
テンポが遅いと感じられました。
やや説明的な部分もあるし。
で、そう思いながら見ていたのですが、
見終わって考えてみると、
(単純なことではありますが)
要は、この母親は西ドイツの象徴なわけですね。
壁が崩壊した今、
それはもう存在しないのだけれど、
人々の記憶の中にだけは確かに存在するわけです。
東ドイツへのレクイエム、
なんですね。
そう考えると、なかなか捨てがたい映画なのかなと感じました。
(そして西へ行った夫は、
民族分断を象るわけなのでしょう。)
ただ個人的には、
レトロスペクティヴなのはあまり好みではなんですけどね。

*主人公の仕事仲間を演じたフロリアン・ルーカスは、
この映画では、ヒロインに寄り添う優しい男を演じていました。

http://tomo-524.blogspot.com/2018/07/letrangere.html

ここでは彼が、優しいドイツ、でした。

Patients

以前、ラッパーの Grand Corps Malade(GCM) について、
ほんのちょっとだけ触れましたが、
彼のアルバムは何枚か買って、聞きました。
わたしが好きだったのは、たとえばこの曲。


で、
このサン=ドニ出身のラッパーは、
『患者』という自伝的小説も書いていて、
それを(自由に)映画化したのが、同タイトルの、

Patients (2017)

です。


GCMは、ハンディがあり、
しかも196cmの長身ゆえ、
この名前にしたそうです。
で、バスケットボールの、
アマチュアとしてはかなりの選手だった彼は、
ある夏のコロック(子供の林間学校的なもの)で
アニマトゥール(引率者兼盛り上げ係的なもの)をしていたとき、
水が十分入っていないプールに飛び込んで、首をやられ、
当緒はまったく動けなかったのですが、
懸命のリハビリの結果、
上のヴィデオで見られる通り、
松葉杖で歩けるところまで来たそうです。

映画は、GCMらしき主人公が、
事故後の手術を終えたところから始まります。
そして映画内の時間の95%が、
病院かリハビリセンターの内部です。

病院で、主人公Benは友たちができます。
みんな車いすでの生活です。
陽気で、4歳の時から車いすのファリド。アラブ系です。
リハビリの効果がなく、「希望」を抱けないトゥーサン。アフリカ系です。
自殺未遂を起こすスティーヴ。白人です。
本人は交通事故と言っていましたが、
実は失恋の末の、クルマでの自殺で障害を負った、
アラブ系で美人のサミア……。
それ以外にも、
記憶が10分しか続かないサミール、
街のワルで、拳銃で撃たれたエディーもいます。
(みなハンディキャッパーですが、
その内実はさまざまです。

一番印象に残ったのは、
Benたちがある夜、
センターの周りに広がる森に「冒険」に行く場面。
暗い森の中で、彼らは話すのです。
障碍者に合うように作られた椅子も、
フォークも、
ベッドもある。
なのに、障碍者に合うように作られた「希望」がないのはなぜなのか、と。

挿入されたラップもなかなかよくて、
作られる価値のある映画だと思いました。

*サミアを演じた Naila Harzoune  は、
これらの映画にも出ていたのですが、
今回が一番印象的でした。

http://tomo-524.blogspot.com/2017/09/taularde.html

この映画の「囚人・2」でした。
それから、

http://tomo-524.blogspot.com/2016/07/made-in-france.html

これは日本版『メイド・イン・フランス』が出ています。