2011年4月22日金曜日

Le Nom des gens


このところ見ているDVD は、幸運(?)なことに、、
わりとおもしろいものに当たる確率が高いように思います。
そうした中でも、今回見た作品はとにかく強烈でした。
これです、Le Nom des gens (『人々の名前』);

http://www.youtube.com/watch?v=SQUqffgJvKY

んん、このbande-annonce を見ると、
なんだか「からみ」シーンの多い、ドタバタ映画の印象ですね。
たしかにそうも言えるでしょう、表面だけ見れば。
でもこの映画、1時間40分と表示されているのですが、
わたしは、全部見るのにその倍以上の時間がかかりました。
なぜか? 
それはもちろん、映画の中に、
調べなければ意味が分からないセリフが多かったからです。
それは地名や、単純に知らない単語から始まって、
たくさんの固有名詞の言外のイメージや、
問題になっている時代の背景などまで、
色々ありました。
こんなに調べながらでも、途中でやめる気にはまったくならず、
それどころか、先が気になる! という感じでした。

主人公は、Arthur Martin(アルチュール・マルタン) と、
Bahia Benmahmoud(バイア・ベンマウード)。
そして映画の冒頭、Atthur Martin という名前はフランスに15207人いること、
そして Bahia Benmahmoud はフランスに1人しかいないことが告げられます。
タイトルは、このあたりと関係しているわけです。


Arthur の母親はユダヤ人であり、彼女が持っていた姓、Cohenは、
親がナチに連行された後 Colin に変えられ、さらに、
原子力発電所で働いていた男性と結婚して、Martin に変わります。


Bahia の母親は白人「闘士」であり、父親はアルジェりアからの移民です。
Bahia の外見はまったくの白人ですが、
よくブラジル系と間違われます、バイアですからね。
そして彼女は、自分の「政治的敵」=「ファシスト」と、
ベッドを共にすることをためらいません。
それによって、男たちを「回心」させることができると信じているからです。


Bahia は、(大人の)お伽噺の世界にいるようです。
そして彼女の、いろんなばかげた行動が、
Arthur(=観客)には、どこか正当なものと思える瞬間があるのです。

たしかにドタバタで、とても政治的で、エロチックで、
ファンタジックで、ブラックで、きわめて現代的、現実的で、
心理的で、肉体的で、映画らしい映画です。
(だから、言葉で説明するのはいかにもムリなんです。)

この映画、実はジャニックさんが勧めてくれたものです。
ジャニックさん、ほんとにいいのを勧めてくれました。
Je te remercie !