2021年7月13日火曜日

『花咲ける騎士道』

今週の大学院ゼミで見たのは、

『花咲ける騎士道』(1952)

です。


ジェラール・フィリップ主演の、
いわばチャンバラ・アクション映画で、
なかなか楽しめる映画でした。
(見たのは数十年ぶりですが、
印象は当時とあまり変わりませんでした。)

ジェラール・フィリップがカッコいいのは議論の余地はないと思いますが、
ただ、正直言って、
彼のこの作品はいいよね!
といえるようなものが、
すぐには思い浮かばないのも(わたしの場合)事実です。
そしてその理由は……

やはり、彼の演じている役どころが、
基本的に「現代人じゃない」という点にあるのだと感じます。
多いのは、19世紀文学の人物たちで、
また今回の、
これ以降彼のあだ名にもなった「ファンファン」役も、
革命前のワカモノなのです。
民主主義も、
二度の世界大戦も、
ドイツによる占領も知らない人物が、
1952年に、
チャンバラをしているわけです。
これは何なんでしょう?

それはつまり、
忘れたい、現実逃避したい、
という大衆の願望の結果ではあるのでしょう。
そしてジェラール・フィリップは、
見事すぎるほど、
それに応えたのでしょう。

この映画の2年後には『ゴジラ』が目を覚まします。