2013年6月23日日曜日

彼女は売人

1 月の終わりころ、
Paulette という映画について、
早く見たいなあ、という気持ちを込めて、
こんな風に書きました。


パリの郊外で一人暮らしの、元パティシエールの老女(=ポーレット)。
彼女はある日、自分が住むHLM で麻薬の密売している場面を見かけ、
ピンときます。
これ、わたしもやろう!

とんでもない設定ですが、おもしろそう。
パリ映画の変わり種、でしょうか。


で、見てみました!

http://www.youtube.com/watch?v=0IrgiiHAOSU

なんというか、コメディーなんですが、
適当にブラックで、口は相当に汚くて、
ちょっと人情芝居風の味付け、という感じでしょうか。
思ったより、軽い印象でした。

おもしろかったのは……
まずヨーロッパ系フランス人のポーレット、
彼女は筋金入りの人種差別主義者なんですが、
彼女の娘婿はアフリカ系の刑事です。
で、息子は当然ハーフ。
そして地元のチンピラたちはポーレットを殴ったりもするのですが、
ひとりアラブ系のチンピラだけは、彼女にやさしい。
実は彼女、「アフリカ系はもちろん誰も愛さない」老女なんですが、
麻薬のディーラーをするうちに(というのが皮肉なんですが)、
「愛」に目覚めるのです。
メティスの孫を可愛がり、
子どもたちには頑として麻薬を売らない。
ポーレットが麻薬に手を出すのは、
もちろんお金のためなんですが、
それが結果的に、愛に目覚めさせることになるわけです。

変わり種の、やや狙い過ぎな感じもありますが、
貧しい一人暮らしの老女、という弱者を活躍させる、
そういう痛快さはもちろんあるのでした。