2016年7月25日月曜日

Nous trois ou rien

去年公開され、
レイラ・ベクティが出ているので楽しみにしていた映画、

Nous trois ou rien (『3人じゃなきゃ』)

を見てみました。
(昨秋の東京映画祭で上映されたようです。
その時のタイトルは、「スリー・オブ・アス」)


監督・脚本・主演は、人気コメディアンのケイロン。


で、この映画は、監督であるケイロンが、
自分の父親であるヒバット・タビブの人生を、
実話に基づいて描いたものです。
物語は、1955年のイラン南部の村から始まり、
ヒバットの政治への目覚め、
反政府活動による7年半に及ぶ投獄、
そしてその後のフェレシュテ(=レイラ)との出会い&結婚、
そして赤ちゃんを連れて3人で、
再び迫ってきた政府の追ってから逃げ回る日々……。
とここまでで半分ちょっと。
その後、各地を転々とした後、
ついに、パリ郊外のスタンに到着します。
一時的なものだったはずの滞在ですが、
そこに3人は定住し、
地域とも深くかかわっていくことになるのです。

物語の1つの結節点は、
1979年のイラン・イスラーム革命でしょう。
これによりシャーは退きましたが、
ヒバットたちが望んでいた民主主義はホメイニによって否定されます。
その結果、ヒバットや仲間たちは、それぞれ、
イランに残るか、外国へ向かうか、
重い選択を迫られることになるわけです。

全体のトーンはコメディーで、
笑えるジョークもたくさんあります。が、
描かれている内容は、とても笑えないものばかり。
この落差が、このフィルムの1つの特徴なんでしょう。

民主主義を目指したイラン人青年の人生。
そのパリでの後半生。
日本版が出たら、
ぜひ「ワールド映画ゼミ」で使いたいと思います。