2018年2月16日金曜日

『歴史の都市 明日の都市』(備忘録2)

修士論文発表会の後、
ふとパラパラと読み返してみて、
備忘録を書いておくことにしました。
ごく簡単なものですけど。

https://www.amazon.co.jp/歴史の都市明日の都市-ルイス・マンフォード/dp/4105093010/ref=sr_1_2?s=books&ie=UTF8&qid=1518787680&sr=1-2&keywords=%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%AE%E9%83%BD%E5%B8%82+%E6%98%8E%E6%97%A5%E3%81%AE%E9%83%BD%E5%B8%82

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『歴史の都市 明日の都市』(1961) ルイス・マンフォード

都市の起源から出発し、
古代・中世・ルネッサンス・バロック・近代・現代、まで、 
それぞれの時代の都市の様相がさまざまに示され、
さらに、(1961時点での)未来の都市についてまで話は及ぶ。
つまり、これは、
都市を巡る「大きな物語」、
都市の起源から未来までを、
1つの大きな物語とみなして語る本である。

その物語は、思い切り図式化すれば、

内爆発 → 外爆発 → 見えない都市

ということになる。

<内爆発>~都市の始まり
城壁内の、
王を中心とする、
古代の「ひとつの世界となった都市」のあり方のこと。
ばらばらに分散していた社会的諸機能が集められ、
1つの世界観・宇宙観にしたがって編制されること。
「王」はここで、
大量の人々を周囲の世界から引きつける「聖なる力」であり、
内爆発を生む触媒である。

<外爆発>
「人間の力の異常な技術的拡大」を果たし、
近現代の技術文明が、
世界的な規模で拡張してゆくこと。
その結果、
城壁は消え、
有機的に編制されていた社会的諸機能は解体される。
そして、巨大都市が生まれる。

<見えない都市>
「(多くの実際の面において)都市となった一つの世界」のこと。
(マクルーハンの「グローバル・ヴィレッジ」(1964)は、
この視点の直接の影響下にある。
この論議は、現代のサイバー都市論にも繋がりうる。)

ただし、
「大きな物語」は、
1979年に、リオタールによって否定された。
実際本書も、いわばヨーロッパ中心主義であり、
アジアやアフリカの都市には言及されていないのだから、
ほんとうは、
人類の都市の歴史全体をカヴァーする「大きな物語」とは言えない。
それでも本書には、
専門が分化した現代では忘れられがちな、
大きな問い(「都市とは何か?」等)がある。
その問いは本質的で、スルーすることはできない。

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なにしろ600ページ近い本なので、
すご~く大雑把ですが、
とりあえず備忘録でした。