2024年10月24日木曜日

『ヒヤシンスの血』

大学院のゼミで、ポーランド映画、

『ヒヤシンスの血』(2021)

をネトフリで見てみました。
(原題は単に『ヒヤシンス』。
「ヒヤシンス」は、同性愛者を指す隠語でした。)
映像も、音楽も、脚本も、編集も、ライティングも、みんな良くて、
わたしはかなりいい映画だと思いました。


舞台は、1980年代のワルシャワ。
ということは、まだ権威主義的共産主義政権が続いていた時代で、
おそらく「連帯」は出現して、
ただし弾圧されている最中、という感じなのでしょう。
実質的な「白色」革命が起きるのは1989年です。
一方、エイズの時代でもあります。

これは「ゲイ映画」なのです。
ただし主人公ロベルトが刑事で、「警察もの」でもある点がなかなか巧み。
ロベルトがある事件を担当するのですが、
捜査は途中で打ち切り。
もちろん(映画ですから!)ロベルトは単独で捜査を続け、
背後にあるゲイ・コミュニティと、買収組織の存在が明らかになってきます。
しかもそのメンバーの中には……

ゲイであるロベルトには、
女性のフィアンセがいます。
魅力的な女性です。
でももちろん、この結婚に「希望」はありません……
そして当然女性は傷つきますが、
それは個人的な問題であるよりもむしろ、
当時のポーランドの、ゲイを登録させて弾圧する、
制度的な問題の方が大きいでしょう。

ロベルトの父親は秘密警察の幹部です。
この文脈は、父と息子の古くて新しい問題と、
父権としての国家(の抑圧)に繋がり、
ロベルトの母は、
彼の(警官である)フィアンセとの、
(世代違いの女性としての)対比もあります。

イギリスの『パレードへようこそ』の舞台が1984年であることを考えると、
LGBTが抑圧されていると言っても、
その形にはかなり差があることがはっきり分かります。
来週もまた、ポーランド映画を予定しています。