『ヒヤシンスの血』(2021)
をネトフリで見てみました。
(原題は単に『ヒヤシンス』。
「ヒヤシンス」は、同性愛者を指す隠語でした。)
映像も、音楽も、脚本も、編集も、ライティングも、みんな良くて、
わたしはかなりいい映画だと思いました。
舞台は、1980年代のワルシャワ。
ということは、まだ権威主義的共産主義政権が続いていた時代で、
おそらく「連帯」は出現して、
ただし弾圧されている最中、という感じなのでしょう。
実質的な「白色」革命が起きるのは1989年です。
一方、エイズの時代でもあります。
これは「ゲイ映画」なのです。
ただし主人公ロベルトが刑事で、「警察もの」でもある点がなかなか巧み。
ロベルトがある事件を担当するのですが、
捜査は途中で打ち切り。
もちろん(映画ですから!)ロベルトは単独で捜査を続け、
背後にあるゲイ・コミュニティと、買収組織の存在が明らかになってきます。
しかもそのメンバーの中には……
ゲイであるロベルトには、
女性のフィアンセがいます。
魅力的な女性です。
でももちろん、この結婚に「希望」はありません……
そして当然女性は傷つきますが、
それは個人的な問題であるよりもむしろ、
当時のポーランドの、ゲイを登録させて弾圧する、
制度的な問題の方が大きいでしょう。
ロベルトの父親は秘密警察の幹部です。
この文脈は、父と息子の古くて新しい問題と、
父権としての国家(の抑圧)に繋がり、
ロベルトの母は、
彼の(警官である)フィアンセとの、
(世代違いの女性としての)対比もあります。
イギリスの『パレードへようこそ』の舞台が1984年であることを考えると、
LGBTが抑圧されていると言っても、
その形にはかなり差があることがはっきり分かります。
来週もまた、ポーランド映画を予定しています。