2025年5月15日木曜日

『裏窓』

院生の一人が、
マルヴィの有名な論文
「視覚的快楽と物語映画」(1975)
に基づいた研究をしたいと言っているので、
その論文中でも言及されているヒッチコックの

『裏窓』(1954)

をゼミで見てみました。
わたしも、見るのはずいぶん久しぶりです。

ヒッチコックは、
フェミニズム批評では厳しい批判にさらされがちですが、
これを見ると、まあ、そうなるよね、という気がします。

足を怪我したカメラマン、
動けない彼は、まさに male gaze(男性的視線)そのものになります。
怪我してギプスされ、動きを禁じられた足。
一方、長く伸びるレンズのついたカメラ。
このカメラは、足(男性性)の代替物に見えます。

それはそうなんですが、
(これはマルヴィの論文が出た当時もそうだったわけですが)
だからと言って映画的な楽しみを全否定すればいいのか、
ということはやはり感じます。
もちろん、この論文は、いくら記念碑的とは言っても、
50年も前のもので、
その後さまざまな批評論の展開があり、
それに伴った実作もあった、というか、
(現在形で)あるわけですが。

来週以降は、こうした「展開」を振り返りたいと思っています。