2008年5月22日木曜日

イチゴで早起き


この季節になると、イチゴはもう、果物売り場から退席を迫られている。旬のころには、スーパーの入り口で光り輝いていたのに。甘い微風を、到着したわたしたちの鼻先で閃かせていたのに。


でも、ありました。「もう甘みが落ちています」と、悲しい札を付けられてはいたけれど、スーパーの果物コーナーの日陰の一隅(←比喩ですよ。)に、しがみつくように並んでいました。しかも、やや痛み加減だったせいで、5パック1000円で!


というわけで、今期最後の大勝負、イチゴジャム作ってみました。


手作りイチゴジャムはもちろんおいしくて、朝それを食べるのが待ち遠しかったりもするけれど、「作る」ことのダイゴミは、また別。それは、あの匂い。イチゴがゆっくり、ゆっくりとろけていく間に発散させる匂いときたら! もし天国に音楽が流れているなら、それはモーツァルトだ、なんて言ったりしますが、もしこの世界に「幸せの匂い」があるとしたら、それは、ジャムに変身しつつあるイチゴの匂いです!


作り方は、おそろしいほど簡単。ホーロー鍋にイチゴを入れ、ワーッと砂糖をかけて、あとは煮るだけ。砂糖をグラニュー糖にするとか、三温糖にするとか、あるいはちょっとリキュールを足すとか、レモンを数滴絞るとか、まあ過去には色々やってみましたが、わたしの結論は、「あんまり変わらない!」。もちろん雑草育ちで、味の違いがわからないということもありますが。


で、ほら、してきました、幸せの匂いが! ここからは、5分おきに灰汁をとり、その度にそーっとかき回すことを続けていれば……


匂い、といって思い出すのは、パトリック・ジュースキントの『香水』。主人公の「匂いのない男」は、究極の匂いを調合するために、女たちの匂いを集めてゆく…… これだけではピンときませんが、まちがいなく面白い小説です。書いたのはドイツ人ですが、舞台のほとんどはフランスです。


今ジャムは、台所で冷ましているところです。明日の朝は……、ああ、あしたは1時間目の授業があるから、6:30起きだ。でも、ジャムが待ってるから、起きられます!