2009年5月7日木曜日

ジャック・アタリ


東京は今日も雨。これで3日続けて雨降りです。(どうも明日も……)

昨日もちょっと触れた「ジャック・アタリ インタヴュー」、終わりまで聞いたところ、なかなか興味深い内容でした。もとになっているのは、彼が去年発表した『21世紀の歴史(Une brève histoire de l'avenir)』という本。たしか、サルコジも絶賛、という触れ込みでした。

大前提は2つ。まずは、経済のグローバル化は進んだのに、民主主義のグローバル化は進んでいない、つまり、グローバルなマーケットに対して、ルールが不在の状態だ、ということ。そしてもうひとつ、資本主義以外の制度は人間の本性と矛盾する、ということ。で、その上で、彼は未来をこんな段階の進展として予想します。

1)アメリカ支配の終焉……これはアメリカが、ローマ帝国のように滅んでしまう、ということではなく、アメリカは他国の面倒を見る余裕がなくなる、どんどん内向きになる、ということだと言います。そして

2)多国による支配……たとえばG8とかG20のような機関が、集団的にグローバル市場を監視するイメージ。でも、これは結局破産するとアタリは言います。なぜならそれは、国家間の利害と調整不能なものだから。そう、国はいつだって「国益」を追求します。20の国でそれが一致することはないでしょう。でその結果

3)超帝国の出現……要するに、誰にも抑えることのできない恐るべきマーケットという怪物の出現です。そして限られた資源、水、エネルギーなどを奪い合い、

4)超紛争……世界の各地で紛争が発生。いわば、バトル・ロワイアル状態。ここまでくると、人類は22世紀まで生き延びられないかもしれない。でも!

5)超民主主義の台頭……これが従来の民主主義とどう違うのかといえば、こちらは根本に、「博愛の精神」がある、という点だと言います。こういう博愛を持った人(trans humam)は、実際すでに生まれてきている。それに、たとえば客商売なら、客を幸福にすることが自分の成功にもつながる。これは合理的博愛と呼べるだろう、と。この精神が、なんとか4)を出来させないようにしてくれれば、というのがアタリの願いのようです。

う~ん、さすが、立派な人です! 彼の論理に100%同調したわけではないけれど、彼が淡々と、でも一所懸命に話す姿には、ほとんど感動しました。今目の前にある問題から目を逸らさない、this is 知識人、です。

そういえば一昨日、雨の中を大学に行き、一人でコンビに弁当を食べている間、NHKの「こどもの日」特集を眺めていました。最初に紹介されたのは、四谷大塚の最上位クラスで勉強している6年生の女の子。彼女の将来の夢は、立派なお医者さんになって、アフリカの子供たちを助けに行く、でした。