2011年5月14日土曜日

『迷子の警察音楽隊』


昨日今日と、ここに書きこむことができなかったのですが、
なおったようです。

4月に、Prendre femme という映画のことを書いたとき、
主演のロニ・エルカベッツが出ている他の作品にちらっと触れました。
『迷子の警察音楽隊』、でしたね。
これは日本でも公開されたし、DVDも出ているので、
ご覧になった方も少なくないと思います。
面白い映画ですよね。
とりあえず予告篇を;

http://www.youtube.com/watch?v=bz_FB4B763Q

イスラエルに到着したエジプトの警察音楽隊。
つまり、ユダヤ国家に到着した、イスラム国家の警察官、ということになります。
もちろん彼らはまず「音楽家」なんですが、
大枠では、やはり警察組織の人たちです。

このビミョーさ。
これを映画からつかむのはなかなか難しい仕事です。
作品は、政治的問題を背後に押しやり、
人間的な交流に重点を置いているからです。
とはいえ、やはりこのビミョーさ抜きでは、
味わいは淡くなってしまうようです。

たとえば酒。
酒に対する反応も、ユダヤ側とイスラム側、
そしてそれぞれの世代間の差が表れています。
また、北アフリカ系のユダヤ人が、
ヨーロッパ系のユダヤ人とは異なる立場にいることも、
伝わってきます。
イスラエル人ロニは、エジプト映画が好きだと言っていますが、
これは、北アフリカへの親愛と言ってもいいのでしょう。

ロニ演じるディナは、
投げやりな印象を与える物腰の陰に、
深い寂しさ、そして人恋しさを隠しています。
ここではないどこかへの夢想も、
そうした感情の生んだものなのでしょう。
ロニは、いい演技をしていると思います。

そしてフランス語版の予告;

http://www.youtube.com/watch?v=fzpJf8Eonyw&feature=related

「文化のまったくない場所」に、La zone. という訳が当てられているのが、
ちょっと驚きでした。
zone は、「郊外」の意味で使われることもあるからです。

では最後に、ロニのインタビューを;

http://www.youtube.com/watch?v=HKZubXs3OtQ&feature=related