2019年12月30日月曜日

『運び屋』

C・イーストウッドの監督作品、
『運び屋』
を見てみたんですが……

https://www.youtube.com/watch?v=MFvM7wcCuk4

ずいぶん評判がいいようなんですが、
わたしは「?」でした。
監督自身が、自分の人生を重ねてるとか、
実話に基づいているとか、
老いと向き合って負けてないとか、
家族愛が麗しいとか、
そういうのはみんな、
Et alors ? だから? という感じ。

まず主人公が、
人種差別主義者で、
性差別主義者で、
自己中心主義的で、
(麻薬を運ぶのって、不幸をまき散らしているわけですが、その辺の)
想像力もない、
でも、「いい人」、
という設定なんですが、
(で、たしかにそういう人っているんですが)
違和感があるのは、
この設定が「透けて見える」わけじゃなく、
そのまま露骨に描かれていること。
これって、開き直り的じゃないでしょうか?
オレはそういう人間だけど、
結局は「いい人」だからそれでもいいでしょ?
それがオレの生き方なんだから!
と言われているようで、
そのやや幼稚で自己愛的なところが、
わたしは乗れませんでした。
しかもダメ押しのように、
そんな主人公を想い続けている妻がいる、という設定。
これって、
完全に自己愛の裏返しにしか見えません。

これがエンタメとして成功しているなら、
こういうメンタリティーが人々の中に今も残っている、
ということを示しているのでしょう。