『フォーリング・ダウン』(1993)
を見てみました。
妻と子供に去られ、軍関係の職も失った、
中年の白人男性ビル(マイケル・ダグラス)。
精神的に不安定な妻と2人暮らしで、
ヒスパニック系の女性部下に慕われている、
退職の日を迎えた白人男性ブレンダガス(ロバート・デュバル)。
物語は、別れた家族に会うことに取り憑かれたビルの、
さまざまな破壊的行動と、
彼を追うブレンダガス刑事の追跡劇、
ということになるのでしょう。
ただ注目点は、
ビルが襲いかかってゆく相手が、
アジア系、ヒスパニック系、
ホモフォビアのネオナチ、
不必要な道路工事を続ける工事人たち、
会員制ゴルフクラブの金満老人たち、
美容整形で財を成した成金、
であることなのでしょう。
中でも念入りに描かれるのが移民系の人たちで、
ビルが差別主義者なのは明瞭です。
特に、アジア(韓国)系のドラッグストアの店主は、
ブタの置物と一緒に映し出され、
さらに店のカーテンは黄色(←黄色人種)であり、
ビルの差別感情が濃厚に描かれます。
ビルは、自分の置かれた個人的・経済的状況を、
「構造的に理解」することができず、
目の前のもろもろを構造だと勘違いしている、という指摘もあります。
なるほどね。
日本でのキャッチコピーは、
「衝撃のパニック・アクション」
だったようですが、
全然違うような気が……