2009年9月13日日曜日

理系本、2冊


2年前くらいにベスト・セラーになった『生物と無生物のあいだ』(福岡伸一)、なんとなく読むきっかけを失っていたのですが、最近続編の『世界は分けてもわからない』が出たので、これはいいチャンス、まとめて読んでみました。分子生物学、というもののようです。(両方とも、講談社現代新書。)

今回読んだ2冊は、かなりおもしろかったです。前者は、60万部出ているそうで、読んだ方も多いと思いますが、「動的平衡」をキーワードに、スリリングな論が展開していきます。生物は、静的なシステムではなく「動的平衡」なんだ、しかもその「平衡」は、エントロピーの増大に反して保たれているのだ、でもそれはどうやって? という話。いいですねえ。

後者は、計算されたとりとめなさで、論が進められていきます。そのいくつもの断片が、とても刺激的。で、昨日「Borders」のことを書きましたが、偶然(?)、この本の中でも、いくつもの「境界/界面」にスポットが当たっています。そして引用されるのが、「Border and Sight」という、渡辺剛の写真集でした。(画像。「スイスーフランス」)

この写真集は、たとえばメキシコとアメリカの国境の柵を、その両側から映して並べたものなどが含まれています。でもこれ、その柵そのものを跨ぐことはできないので、いったん飛行機に乗って、2つの空港間を移動し、また柵まで戻らなければならなそうです。う~ん……

具体的な、そして目に見える境界、具体的で、でも(人間の)目には見えない境界、観念上の、無数の境界…… 

2冊が面白かったので、もう少し「理系本」を続けるつもりです。そういえば今朝の朝日の書評欄にも、生物を「モノ」ではなく「コト」として、つまりプロセスとしてとらえている本の紹介がありました。書評の言っていることがビンビン分かったのは、この2冊のおかげです。