2015年6月18日木曜日

『水の中のつぼみ』

先週見た Bande des filles がとてもよかったので、
その監督であるセリーヌ・シアマのデビュー作、

『水の中のつぼみ』

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=j37fkVcetTc

オリジナル・タイトルは、

Naissance des pieuvres

というものですが、
直訳すると『大蛸の誕生』で、
これ、なんだかちょっとわからない感じ。
(pieuvre には、比喩的に「執念深い人」の意味もありますが、
それでもピンときません。)
監督自身の説明によれば、
「大蛸というのは、
人が恋をする時、その人の中で成長する怪物であり、
わたしたちの内部で墨を吐く海の生き物です。
これがまさに、
この映画の中の3人の少女の中で起こっていることなのです。
『大蛸の誕生』とは、だから、
思春期の少女たちの中での、
恋心の誕生のことです。」
なるほどね。

3人の少女は、みな15歳。
でも肉体的な成長の度合いは、
随分差があります。
痩せた子供のようなマリ、
太っていることにコンプレックスを感じているアンヌ、
「セクシー」と言ってもいいようなフロリアンヌ。
マリは、たいていアンヌとつるんでいるのですが、
ある時から、フロリアンヌが気になって仕方ありません。
一方アンヌとフロリアンヌは、
ある男の子を巡って三角関係になります。
彼は、フロリアンヌに関係を結ぶことを拒否されると、
衝動のまま、アンヌとベッドに入ります。
その時アンヌが、
「わたしのこと、ちょっとは好きなのかな」
と言うのが、切ないです。

わたしたちオッサンにとって、
この映画は、いい意味で「わかりにくい」です。
シアマ監督は女性パートナーと暮らしているようなのですが、
だからといって、
この映画が単なるレスビエンヌ映画になっているわけではありません。
プール、水、というものをうまく小道具として使いながら、
(いい加減な言い方ですみませんが)
ある種の普遍に触れているのでしょう。

(ただ男の子たちの描き方は、
わざと(?)表面的にしているようにも見えます。)

舞台はセルジー・ポントワーズで、
一度だけ、ラ・デファンスが遠望できるシーンがありました。