2018年6月16日土曜日

『世界』

ジャ・ジャンクー監督の、

『世界』(2004)

を見てみました。
(Amazon Prime video で 400円ちょっと。)

https://www.youtube.com/watch?v=xE4QPWBIKGE

Amazon だと、48時間しか見られないのですが、
1回目は軽く、
2回目はちゃんと、
見ました。
いい映画だと思いました。

北京郊外にある、
「世界公園」という、
いわばハウステンボス的なテーマ・パーク。
そこでダンサーとして働くタオと、
彼女の恋人であり、ガードマンとして働くタイシェン。
この二人の恋愛の行方が、物語の縦糸であり、
タオの同僚たちの結婚、愛人関係、
あるいはタイシェンの幼馴染サンライの出稼ぎ、
建設現場での事故、
コピー商品を作る洋服屋、
フランスに向かうその経営者である美しい女性、
などが、横糸と言っていいのでしょう。

『一瞬の夢』と、人物たちの布置が煮ています。
ある場(北京・世界公園)があり、
まず、そこにやってきたまま、
そこに繋がれている人たちがいます。
また、そこにやってきて、
また別の場所へ去ってゆく人たちがいます。
(『一瞬』の女優志望の女性は、
どこかの田舎から北京を経て地方都市へ、
そして今また北京へ。
『世界』の女性経営者は、温州から北京にやってきて、
今度はパリへ。)
そして重要なのは、
かれら全員の背後に、
農村にいて動かない人たちがいるのです。

「人民」とは誰なのか?
グローバリゼーションが進む「世界」で、
人の「移動」の意味はどう変わったのか?
変わらないのか?
そもそも、動く人と動かない人は、
なにがちがうのか?
……というようなことを、
21世紀の初めに考えた映画なのですね。
これは感心しました。