テイラー・シェリダンのミニ特集をしています。
で、数年前に見た記憶のある
『ボーダーライン』(2015)
を見直してみました。
(最初見た時は、なぜかこのブログに書き忘れたようです。)
物語は、少し込み入っています。
(そう見えるようになる理由はあるのですが。)
舞台は、メキシコ国境に近いアメリカ。
フェニックス、ツーソン、エル・パソ、
そしてメキシコの、エル・パソと向かい合うメキシコのシウダードファレス
(「映画内では「フアレス」と呼ばれています)、
ツーソンの南の国境地帯ノガレスです。
主な登場人物は、FBI の捜査官ケイト、
彼女の同僚のレジー、
国防総省のマットは二人より年長で、
マットの相棒ギリックは、ケイトの父親くらいの年齢で、
謎の人物です。
(実は、メキシコ人で、元検察官だと、後で分かります。)
メイトとレジーは、
マットとギリックが主導する作戦に抜擢されるのですが、
その作戦が実はどんなもので、
何かが進行しているのか、
ケイトたちには伏せられたままなので、
観客も宙釣りにされてしまいます。
作戦の正体は、なかなか分かりません。
ただ、おもしろいんです。
シェリダンは脚本を担当してるんですが、
彼らしい、と言っていいと思うんですが、
背景にある自然が、
物語とは別に、何かとても巨大なものとして映し出されます。
そのイメージは審美的でさえありますが、
それだけではないのです。
そして……
映画の90%は、ケイトの視点で描かれていると言えると思うのですが、
ラスト近く、
明らかにギリックの視点になる時間があります。
主人公は、実は彼だったのか? と思えてきます。
そしてそう考えると、この映画は、
『ウインド・リバー』や
『モンタナの目撃者』と、
やはり同じ構造を持っているように見えてきます。
つまり、荒れた土地を背景に、
その土地ゆえに取り返しのつかない喪失を抱えた人間が描かれているのです。
ケイトは、
『ウインド・リバー』
における、若きFBI 捜査官とよく似ています。
真面目で熱心でタフ、
でも、土地がもたらす悲惨というものが、
まだ理解できていない……
この映画でも、アクションシーンの緊張感は圧倒的で、
風景描写んも含め、
どこまでシェリダンの意図なのかははっきりしませんが、
この3作、明らかに同じ匂いがするのでした。
ワイオミングの雪原のハンター、
ミネソタの森の山林警備隊員、
メキシコ国境地帯の乾いた荒地のもと検察官、
これらが、同じ構造なんですね。
以前見た時は、ケイトの物語として見ていたんですが、
不十分でした。