2009年3月12日木曜日

『おぱらばん』


ここを見に来てくださっている方は、やはりフランスに興味のある方が多いと思うので、今さら堀江敏幸さんの紹介は必要ないでしょうか。現役作家の紛れもないトップランナーの一人であり、フランス語業界内でも、誰しも「数十年に一人の逸材」であることを認めている(しかもずいぶん前から)人です。

こんな風に書くと、お堅い孤高の人、のような印象ですが、さにあらず。書くものだけでなく、普段のおしゃべりでも自然にオチをつけてしまうような、まあ「きさく」といっていい先生だと思います。

(ポイントは「自然に」、というところです。わたしの印象では、とても計算してオチに持っていっているとは思えません。もう、話の流れを組み立てるのが血に入っている感じです。もちろん、たとえば座談会なんかではぜんぜん気の利いたことが言えないというタイプの作家もいて、だから座談でなにかが決まってしまうわけではないでしょうけれど。)

というわけで、堀江さんの代表作の一つが、新潮文庫になりました。この『おぱらばん』は、フランス語体験者なら、より深く味わえる文章です。(ほら、このタイトル……!)ぜひ読んでみてください。

(『おぱらばん』はエッセイ? 小説? 評論? 『おぱらばん』は『おぱらばん』です!)

堀江さんの本は、もう随分文庫化されました。ということは、もし2000円もあれば、4冊くらい読めちゃいます。こうして使われれば、2000円もきっと喜びます!