2010年1月26日火曜日

Indigènes


手元にあって見ていないDVDの中から、
『デイズ・オブ・グローリー』を見ました。

ご覧になった方はご存知ですが、
まだご覧になっていない場合、
このタイトルからどんな映画を想像なさるでしょうか? 
『栄光の日々』。
パッケージから戦争ものと分かるのですが……

これはよくあるアメリカの戦争映画に似て、
何らかのミッションを達成するために、
仲間の何人かを失いながら、
それでもなんとか「栄光」を勝ち取る、というような、
まああってもなくてもいいような映画じゃないか、
と疑ってしまいます。

(*以下、ネタバレあります。
でも、これはネタバレしてもしなくても、
そんなに変わらないと思います。)

実はこれ、
フランス・アルジェリア・ベルギー・モロッコ共同制作の作品で、
原題は Indigènes。
辞書には
「(植民地の)現地人」
とありますが、この語は、
フランスの「アフリカ植民地軍」の通称でもありました。

映画の舞台は1943年。
アルジェリアやモロッコで徴集された4人を中心的に、
物語は進みます。
彼らのうち3人は、
貧しく、文盲で、金のために志願しています。
残る1人はやや知的&自覚的な人ですが、
フランスを愛し、
同時に植民地の独立を夢想しています。
つまり、ナイーブすぎる……

そして彼らは、訓練らしい訓練も受けないまま、
戦闘の最前線に放り込まれます。
言ってみれば、フランス人兵士の盾として。
彼らが属しているのは;

http://fr.wikipedia.org/wiki/7e_r%C3%A9giment_de_tirailleurs_alg%C3%A9riens

であり、これはさらに

http://fr.wikipedia.org/wiki/3e_division_d%27infanterie_alg%C3%A9rienne

に組み込まれています。
そしてこの wiki のページの1行目に書かれているのは

... elle s'illustre particulièrement en Italie en 1943, puis en Alsace.

そうです、このイタリアとアルザスでの戦いが、
映画の主要場面にもなっているのです。
でも、 彼らがどんなに活躍しようと、
昇進はフランス人のもの。
「醜いアラブ人」はのけものなのです……

この映画は2006に公開され、
フランスでは300万人が見たそうですが、
日本では未公開でした。
映画としては、やや粗いところもなくはないと思いますが、
このテーマを作品化したこと自体、素晴らしいと思います。

13万人いたという Indigènes。
彼らの子供たちはまだ生きているでしょう。
タクシー・シリーズのサミー・ナセリ、
「アメリ」や「アンジェラ」のジャメル・ドゥブーズらが出演しています。