2011年1月23日日曜日

「ちんけさんと大きな女たち」


今日は、青山円形劇場で、
舞台「ちんけさんと大きな女たち」の千秋楽を見てきました。

http://www.youtube.com/watch?v=-gm2SBi4mKs&feature=youtube_gdata_player

これがねえ、おもしろいんです!

主役は「ちんけさん」こと近藤芳正さん(作・演出も)で、
この、いい人なんだけど「わかってない40男」が、
どんな風にわかってなくて、どれほど周りが見えてなくて、
要はどれだけ「ちんけ」かっていうことを、
さまざまなエピソードと内面描写で表現してゆきます。

わたしとしても、まあ最初の頃は、
「こんなにわかってないんじゃ、困ったヤツだねえ……」
と思って(上から)見ていたのですが、話が進み、
ふと胸に手を当てて考えてみると…… ドキッ! 思いあたる節が!
ああ、この「ちんけさん」、やっぱりワタシだったんですね……
(反省反省!)

「芝居」については、ほとんど何も知らないんですが、
素人として印象に残った点を書くと……

まず、物語の視点は「神的」なのですが、
それがうまく相対化に役だっている、ということです。もちろん、男と女の。
説教臭さがまったくないのは、このためなのでしょう。

もう1つは、「ちんけさん」の「頭の中」の描写についてです。
実はこのお芝居、「ちんけさん」以外は全員女性で、
中には、彼の「頭の中」にしか登場しない女性もいます。
つまり、彼の内面の葛藤、あるいは内省の表現を、
存在感のある女優さんたちによって、まさに身体的に行っているのです。
これがもし小説だったら、もっと抽象的に、
あるいはなにかに仮託する形で書かれていたでしょう。
(あるいはハードボイルド的に、人物の行為を通して。)
思念の身体化は、だから、
まさにこの舞台という表現にふさわしい方法だ、と感じられたのです。
(ってこんなこと、もしかして常識?)

さらに言うなら、近藤さんは、「夢見る青年」ではない、ということです。
この舞台には、こう言ってよければ、
シェークスピア劇にあるような大団円は訪れません。
それを作るのは、おそらく難しくはなかったはずですが、
そうしなかったのが、近藤さんの今の心境なのでしょう。
ああ、そうお思いになるんですね、と、
最後は勝手に、作者と語りあっている気分でした。

……う~ん、書いてから言うのもなんですが、やっぱり素人くさい感想です!

そして終演後、
この芝居の「可憐さ」の源となっていた黒谷友香さんと、少しお話しできました。
彼女の美しさのオーラは、今さら言うまでもありませんが、
その仕事に対する真摯さ、誠実さに、わたしは打たれました。
ちゃ~んと仕事をなさって来た人の持つ、活気ある落ち着きが、
はっきり伝わってきました。

さて、この「ちんけさんと大きな女たち」、
東京公演は今日で終わりですが、あと1日だけ、
大阪公演が残っているそうです。29日です;

http://www.kondoyoshimasa.com/banda-la-koncha/program/chinkesan/perform_osaka.html

はっきり言いましょう、おもしろいです!