2011年6月12日日曜日

ホッパー風に?


先日渋谷で仕事して、その帰り道にちょっと、
午後九時のオヤツを食べました。
その時の店内の様子は、まあこんな感じだったわけです。

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午後九時のFreshness Burger
広くはない矩形の店内
カウンター以外の3つの壁に席が巡り
中央の木製テーブルでは スタンドのライトが暖かく灯る
天井にはハロゲンライトがちりばめられ

最初の壁 
街路と背中合わせの長いベンチの 一番奥まった席で
二人は二人とも アースカラーのショートパンツ
空になったプラスチックカップに刺さるストローは
生まれたての出会いを立ち聞きする

隣の壁
通信ゲームに没頭するカップル 
スーツを着込んだ彼らの前では
丸められた紙ナプキンが じっと
何をかも知らないまま待ち続けている

2つの空席を挟んで向かい合うのは
ギターケースを携えた若いカップル
彼らはお互いの写真を撮り合うのだが
アグラをかいた女性の色白の膝に集まる光に
気づいているのか いないのか

第3の壁
たった1人
黄色いイヤホンを盾にして
ひたすらペンを走らせるカーディガンの女性

そしてわたしは第1の壁にいて
やっぱりプラスチックカップ入りのビールと
食べかけのチリドッグを見下ろしている
午後九時の腹ごしらえ
ビールのおかわりもできますよ
さっきキャップを被った店員は微笑んだけれど

速すぎるリズムの歌声が 店内に満ちている
観客のいないステージ

わたしの隣の隣に 若者が座った
パソコンを起動させるあいだ
大きなバッグから取り出したのは
『フランシス・ベーコン論』
ああ君も、歪んだ自我たちから目が背けられない一人なのか

わたしは立ちあがる 
小雨が降り続く夜の通りの
切れ目ない流れに再び合流するため
形を取り始める出会いと
輝き続ける膝と
見えない電波と
止まらないペンの影と
厚い背表紙に見送られ
今カウンターの前で注文し始めようとする
ボーダーシャツの女性の肩をかすめて

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渋谷の街は、やっぱり若いですねえ。