2014年6月22日日曜日

『記憶のゆきを踏んで』


クッツェーやアディーチェなどの翻訳で知られるくぼたのぞみさんは、
詩人としての顔も持っています。
そのくぼたさんの、「22年ぶりの」詩集が刊行されました。
タイトルは、

記憶のゆきを踏んで

です。

この詩集が生まれたいきさつについては、
くぼたさんご自身が書かれています。

http://www.suigyu.com/sg1406.html#14

そうなんです、
この詩集には、きりりと冴えた北国の空気が満ちています。

畑をたがやしていたことがある
石狩川の流域で
父と母は半日たがやし
祖母たちは終日たがやし
少女には たがやすよりも
ほぐれた土を手のひらですくい
地面にこぼして遊んだ記憶

そして少女は、「黄金色の豆のつぶ」を、
浅い穴に落としてから、そこに
「篩にかけた黒土を
さらさらとまぶして」ゆきます。
そこには、「温かい山羊の乳房に触れるような」
やわらかな喜びがあります。

村のくうきには だが
そんなやわらかさはなくて
いみにみてろよ
と出奔する少女 海峡を渡り
目くるめくネオンとコンクリの街へ

そして少女が、
その時にはただ名前を聞いて通り過ぎただけの土地の名が、
2011年、
今はもう大人になった「少女」の前に、
記憶の底から立ち現われます。
そしてその再会の果てで、
「少女」は、
新しい「言葉」と出会うのです。

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