2020年2月24日月曜日

『義兄弟 secret union』

『タクシー運転手』のチャン・フン監督が、
ソン・ガンホを起用した映画、

『義兄弟 secret union』(2010)

を見てみました。
(またも Amazon Prime 無料です。
別に宣伝する気はありませんけど!)

https://www.youtube.com/watch?v=Qbl1L6GEsNo

結論から言うなら、
これもかなりよかった。
韓国映画、層が厚いです。

国家情報院で、
北朝鮮の対スパイ工作を担当するイ・ハンギュ。
南に入り込んでいて、
送り込まれたヒットマンとともに、
「裏切り者」を殺しに行くソン・ジウォン。
そしてある犯行において、
作戦は失敗します。
その結果、ジウォンは「裏切り者」となり、
もう北に帰ることもできず、
かといって家族がいるため、
「亡命・転向」することもできません。
またこの犯行は、
死者を出した情報院側にとっても失敗でした。
その責任を取らされたハンギュは、
解雇されてしまいます。
そして、6年後、
この二人は出会い、
互いに気づきながら、
互いにそれを隠し、監視し合う関係になってゆきます。
そしてやがて彼らは、
それぞれにとって状況が大きく変わっていることを知ります……

この映画のいいところは、
まず、北朝鮮を、単なる「悪」のように描いていないこと。
そんな単純ではないですね。
そして、主人公ハンギュが、
自らの落ち度によって離婚され、
またリストラも経験した、
いわば負の部分を背負っていること。
ほかの映画では、妻の病気など、
不可抗力による状況の厳しさ、というものはありましたが、
自らの失敗で、という設定はあまりなかったように思います。
これは、アメリカ映画でもヨーロッパ映画でもふつうのことですが、
やはり大事なことでしょう。
「勝ち組」の映画なんて面白くないし。
(ハンギュはまた、
北に対して差別的な言葉を使っています。
監督は、主人公の狭量さも含めて表現しているのでしょう。)

1つ興味深かったのは、
ベトナム系の、
マフィア、
そして移民してい来る花嫁たちが登場すること。
彼らは、たとえば、
ベトナム人女性たちを、
韓国の農村部に斡旋する仕事をしています。
(これ自体は違法ではないのでしょうが、
人身売買的に連れてきたり、
密航させたり、は違法です。)
またこの花嫁たちに対するDVは、
韓国の社会問題だとも言われているようです。
このマフィアのボスはサッカー狂いで、
マフィアのメンバーたちと建設現場のようなところで中継見ているときには、
「ベトナム・ホーチミン」が合唱されたりもします。
(そして、ベトナムと北朝鮮は仲がいいよね、
という指摘もあるようです。)

チャン・フン監督、いいです。