2024年2月11日日曜日

二人

わたしのお気に入りの映画である、
『キラキラしてる』(Tout ce qui brille)


については、
ここでも何度か触れました。
ほぼすべてのシーンの撮影場所にも行ってみたし。
(でも論文は書けずじまいになってますが!)

この映画の主人公は二人。
ユダヤ系のジェラルディン・ナカシュと、
アラブ系のレイラ・ベクティです。
パリ郊外に住む二人は、
「パリ」への憧れを共有し、
喧嘩もしますが、
友情を育みます。
そしてその友情は、
ユダヤーアラブ間の友情でもあるわけです。
パリ郊外に、小さなパレスチナがある、
ただしこちらは、友情で結ばれたパレスチナです。

昨日、
ガル・ガドットがイスラエル擁護の立場にあることに触れました。
で、
そういえば、(もっと早く気づくべきでしたが)
ジェラルディンとレイラは、
どんな立場にいるのだろうと思ってちょっと検索すると、
すぐにこれがヒットしました。


ジェラルディンは、
彼女に意見を言えと迫ってくる、
メディアからのプレッシャーについて語っています。
そしてもちろんそれが、
自分が俳優だからと言うより、
「ユダヤ人」俳優だからだという点を指摘しています。
(実際そうでしょう。)

...on se demandait si on était invitées en tant qu’actrices, 
jeunes actrices, jeunes tout court, 
ou finalement comme juive et musulmane ? 
(…) Oui c’est vrai, je suis juive, Leïla est musulmane

一方レイラは、はっきりこう言っています。


ほんとにその通り。

日本では、
例えば俳優が、
ガザ問題についての立場を問われることはないのでしょう。
けれどもフランスでは、
おそらくアメリカでも、
そういう質問を避けることはできないのでしょう。
(そう言えば数年前、
それまで沈黙していたテイラー・スイフトが、
初めて政治的立場を鮮明にした時には、
大きな話題になっていました。)

今朝テレビで、
ある評論家が、
「中東問題はわからない。
勉強し直してもなかなかわからない。
宗教問題だから」
と発言していました。
評論をしてお金をもらう立場の方が、
この位置にいるわけですね。