2025年3月31日月曜日

『モンタナの目撃者』

先日見た『ウインド・リバー』が良かったので、
同じテイラー・シェリダン監督の、

『モンタナの目撃者』Those Who Wish Me Dead(2021)

を見てみました。
(邦題、センスがない。


モンタナ州で、山林火災の消火に当たる警備隊。
そこで男たちに混じって活躍するハンナ(アンジェリーナ・ジョリー)。
彼女には、かつて、ひどい山火事の中で、
助けを求めていた子供達を見殺しにした記憶があり、
それがトラウマとなっています。
一方、訴訟弁護士の男は、
ワルに命を狙われ、
子供連れて知り合いの家を目指します。
その知り合いとは、モンタナの保安官でした。
この2つの物語が、絡み合ってゆきます。

前半がゆったりしていて、
だんだん加速していく感じ、
自然が大きく、ゆったり写されている感じ、
その自然が途方もない存在で、しかも人間の運命に関わってくるところ、
取り返しのつかない記憶を持つ人間が主役であること、
それと同質の体験をした人間が大きく関わってくること、
これらはどれも、
2つの作品の共通点です。
つまり、2作の構図はとてもよく似ています。

調べてみたら、以前見たこれ、


脚本はテイラーでした。
そう言われてみれば、これも似たところがあります。
もう1回、見直してみようかな。

2025年3月28日金曜日

企画展「清岡卓行展――大連、パリ『円き広場』」

こんなのが開催されます。


弟の秀哉も登場します!




『はなればなれに』

ゴダールの

『はなればなれに』(1964)

の、アマプラでの配信が」終わるというので、
久しぶりに見てみました。

基本は三角関係で、
その中の女性(学生)が住んでいる叔母の家を襲う、
という話なんですが、
有名なダンスシーンとか、
女性(アンナ・カリーナ)が自転車に乗るシーンとか、
懐かしかったです。

ただ久しぶりに見て思ったのは、
こんなに『勝手にしやがれ』に似てたっけ?
ということです。
もう、そっくり。

ゴダールはおもしろいですが、
あくまでカルト的な映画として、
というのが私の印象です。

『クレオパトラ』

ネトフリのドラマ、

『クレオパトラ』

を一気見しました。
彼女が幼い 時代から、
カエサルとの間に息子をもうけ、
カエサルが暗殺された後は、
アントニウスとの間に双子をもうけ、
その間に、兄弟3人を殺してエジプト王になり、
でも最後は、オクタビアヌスの軍に敗れて自殺するまで、です。

ドラマとは言いましたが、
これは、再現ドラマと、
何人かの研究者のインタヴューが交互に流れる構成で、
単なる娯楽作品ではありません。

ただこの作品、
発表当時は特にエジプトで、物議を醸しました。
なぜなら、クレオパトラ役を、
アフリカ系の女優が演じていたからです。
プトレマイオス朝はマケドニア系、つまりギリシャ系で、
エジプトの王宮でも、ギリシャ語が使われていました。
(まあそれを言うなら、ローマ帝国のエリートは、
基本ギリシャ語ができたはずですが。)
で、ギリシャ系のクレオパトラの肌は、もっと白かった、
黒人女優を起用するのは、ブラック・ウォッシングだと言うわけです。

わたしは素人なので、
クレオパトラの肌の色は分かりません。
ただ、彼女の母親が誰かは判明していないので、
「白」と決まったわけでもない気がしますが。

ただ、イギリスの女性研究者のコメントに、
カエサルをはじめとする男たちの描き方が浅すぎる、
というものがありました。
確かに彼らは三人とも、とても単純な人間として描かれています。

そして思うのは、
共和政ローマが、王政のギリシャを「遅れている」とみなし、
さらに「女」王を下に見ていたわけですが、
庶民の生活における自由度は、
王政エジプトの方が遥かに高かった、という点です。
世襲だからこそ「女」王もありだし、
エジプトには女性の医師もいたし、
女性から離婚を言い出すこともできたし、
財産権もあったし。
一方ローマは、共和政と言いながら、
元老院は全員男性だし、
奴隷はいたし、
仕事でも財産でも、女性の権利は厳しく制限されていました。
これなら、明らかに王政の方が暮らしやすい。
共和政、民主主義、と言いますが、
その内容を見ないと、ダメなんですね。
(まあロシアも中国も、自称「民主主義」だし。)

クレオパトラは、エジプトが好きでした。
だからエジプト語を学び、話せるようになりました。
プトレマイオス朝で、
エジプト語が話せた王は、彼女だけだそうです。

When in Rome, do as the Romans do.
と言いますが、
ローマ人のようには、振る舞いたくない気がします。



2025年3月27日木曜日

『ウインド・リバー』

2015年に『ボーダーライン』という映画があって、
主演のエミリー・ブラントが印象に残っているんですが、
その映画の脚本を担当したテイラー・シェリダンの初監督作、

『ウインド・リバー』(2017)

を見てみました。
アマプラで、「あと5日」というのが目に入ったので、急いで。


これ、かなりいいんじゃないかと思いました。
舞台は、ワイオミング州の、
ウインド・リバー・インディアン居住地。
雪深いこの土地で、18歳の少女の死体が見つかります。
彼女はインディアンのカップルの娘でした。
地元の警察がいます。あまりに人数が少なくて、
職務の遂行はままなりません。
そこに、FBI の女性捜査官がやってきます。
またさらに、ピューマなどを駆除するハンターがいます。
彼は、インディアンである元妻との間に娘がいましたが、
彼女もまた、以前、遺体で発見されています。

悲しみが強く流れていて、
見ていて辛くなります。
一方で「映画」として見ると、
表現は新鮮で、雪原に代表される、冷たい美もあります。
アクションの撮り方も上手い。

映画の主人公は、かつて娘を失ったハンターですが、
その土地がインディアン居留区であること、
そして、FBI の若い新人女性の成長物語としても見ることができること、
こうした複層性が、この映画の良さなのでしょう。

脚本も書ける訳だし、才能のある監督だと思いました。


2025年3月23日日曜日

「ふらんす」4月号、発売!



「ふらんす」4月号、
わたしの手元にもやってきました。
特集の最初が、

<フラ語>ワールドへようこそ!

で、「フラ語シリーズ」の大特集になっています!
なんというか、
かれこれ20年近く続いてきたシリーズなので、
こうして並べてみると、
時の流れを感じます。
が、まあそんなことはどうでもよくて、
今、フラ語を勉強しているみなさんに、
何か、勉強のヒントみたいなものになればいいなと思って書いてあります。
もちろんその後、
「フラ語」のどれかを手に取っていただければなおいいですけど!

そしてこの4月号、
全体をざっと読んだんんですけど、
内容の充実ぶりがハンパないです。
いろんな角度、いろんなレベルのコラムがあって、
誰が読んでも、どれかしらピンと来るはずだし、
ちょっと背伸びしてみるのも、
ちょっと確認してみるのもまた楽しからずや!
というラインナップ。
具体的に言い出すと全部になっちゃうので書きませんけど、
本当に充実してます。

「ふらんす」は、日本では唯一のフラ語関係の雑誌で、
この雑誌があるとないとでは、
日本の文化度に大きな違いが生まれてしまうとさえ感じます。
紙の雑誌はみんな苦戦していると聞きますが、
「ふらんす」はマジで貴重。
それは、単に伝統があるからなんかではなくて、
フランス(語)の「今」を伝えているからです。

まあ、わたし自身は、「ふらんす」にお世話になっている身ですが、
それは関係なく、
とってもよ〜く練られた、完全に「お値段以上」の雑誌だと思います。
特に4月号はそうです。
ぜひお手に取ってみてください!
(表紙も可愛いし!)

2025年3月19日水曜日

『オールド・ナイフ』

アマプラで見かけたクリス・パイン主演の映画、

『オールド・ナイフ』(2022)

を見てみました。


元CIAの諜報員で、恋人同士だった二人。
でも彼らは、飛行機ハイジャック事件の対処の失敗を期に別れてしまいます。
が、八年後、
CIA 内部にスパイがいたことが判明。
再調査をする過程で、二人は再会し……
というお話です。
つまり、
かつての恋人たちの物語と、
八年前の事件の真実とは?
という、2つのストーリーが、
絡み合って進んでいきます。

最初の20分ほどはとてもよかった。
その最大の理由は、ショットの魅力。
一体誰が撮影しているの? と思ったら、
シャルロッテ・ブルース・クリステンセンという、
デンマーク人の女性で、
かつて『バラエティ』で、
「注目すべき10人の撮影監督」に選ばれたこともあるとか。
あまりやったことがありませんが、
この撮影監督繋がりで見てみるっているのも、
やってみても面白いかもと思いました。

で映画の方ですが、
動きの少ない会話劇で、
おもしろいかと言われると、ややビミョーなところです。
まあ、クリス・パインのファンなら、
というところでしょうか。


2025年3月18日火曜日

「フランス人がドイツ語を話していないのはアメリカのおかげ」

まあ、どっちもどっちですが。


トランプが民主主義的に見えないのは確かですが、
一方で、選挙で選ばれてもいるわけです。
でも……

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 私たちの多くは、選挙で投票するのは良いことだと考えている。
投票率を上げるための啓発活動も広く行われてきた。
だが、果たして本当にそうなのか。
この問いを哲学的に検討した本書は、驚くべき答えを示す。
民主国家の市民には、投票する義務はない。
むしろ、正しく投票できない人は投票すべきではないのだ.。

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書評:前田健太郎さんが読む『投票の倫理学』  より

『ザ・ケージ』

ネトフリに上がっていたフランスのドラマ。
まあ、フランスものだから見てみるかということで見始めたのが、

『ザ・ケージ』(La Cage)2024

5エピソードだけなので、
まあ一気に見られます。

スポ根もので、題材は総合格闘技。
で、
わたしは知らなかった、
総合格闘技のレジェンドたちが、
本人として何人も登場しています。
(見終わってから知りました。
ということは、「俳優」に見えてたということ。
これはこれで驚きです。)

格闘技ファンじゃないわたしとしては、
特にどうということはないドラマでしたが、
ファンなら、楽しめるのかな?

主人公のコーチ役で、
フランク・ガスタンビットが出ていて、
彼は演出もしているようです。
今では有名人になった彼ですが、
俳優としてのデビュー作はこれでした;


10年以上前ですね。
こんなに有名になるとは!


2025年3月16日日曜日

『ビーキーパー』

ジェイソン・ステイサムの最新作、

『ビーキーパー』

を、アマプラで見てみました。


bee keeper、
つまり養蜂家という名の、
政府の秘密組織。(classifiedな、ですね)
その組織を引退したはずのジェイソンが、
優しくしてくれた老婦人を自殺に追い込んだ組織を追求する、
というお話です。
アクションは、いつものジェイソンで、
キャラもまたそうです。

半年ほど前、劇場で見た院生は、
ウ〜ン、と言ってたんですが、
そうですね、
一言で言えば、荒唐無稽、ということになるでしょうか。
これだけ無茶な話で、2時間の映画を作ってしまうのには、
皮肉ではなく驚きますが。
(ただそれでも、
部分的には、心を動かされることはありました。)

ジェイソン以外の俳優には、
特に目立つ人もおらず、
もう完全に、彼の映画でした。

『フュリオサ』

この映画


のスピンオフ作品である、

『フュリオサ』(2024)

を、やっと見ました。
(ずっと見たかったんですが、
いざ配信されると、いつでも見られる感じになって……)


『マッドマックス』においては、
シャーリーズ・セロン演じるフュリオサがとても良かったので、
このスピンオフが期待されるのは当然でした。
で、
若き日のフュリオサを演じるアニャ・テイラー=ジョイは、
雰囲気も体の動きも良かったんですが、
今回は脚本が……、という感じ。
冒頭からしばらくは良かったんですが、
中盤からは、物語の中心がフュリオサから離れ気味で、
単純な抗争ものになってしまった印象です。
難しいものですね。

2025年3月12日水曜日

春学期前夜祭「歌と踊りと音楽がはじまった夜」

総合芸術系では、
こんなイベントを開催することになりました。


ご参加はどなたでも。
無料です!

2025年3月11日火曜日

『レベル・リッジ』

ネトフリでオススメされた映画、

『レベル・リッジ』(2024)

を見てみました。


田舎町。
その警察は、
そのいわば閉ざされた地域内で、
好き勝手に振る舞い、
微罪のものたちをカモにしては金を巻き上げるという、
腐敗した状況。
その街に、主人公がやってきます。
彼の目的は、従兄弟の保釈。
もちろんお金も用意していましたが、
このお金が警察の目に留まり、
理不尽なことが連鎖していきます……

もちろんみている方が、
どこかで逆転劇が起きることを信じているんですが、
これが、なかなか起きない!
しかも長い!
中盤では、ちょっとやめようかと思うくらい長い感じでしたが、
最後の3分の1くらいはスピードも出て、
ハラハラ感もあり、だいぶ良くなりました。
でもトータルだと、
どうかな、やっぱりちょっと長いかな。

つい昨日見た『バスティオン36』と比べると、
腐敗の深度がはっきり違っています。
『レベル・リッジ』では、もう州警察が「善きもの」ですが、
『36』では、もっともっと上の方まで「問題あり」です。
でも考えてみれば、
CIAやFBI ものでも、結構上の方までいきますよね、悪の根源は。
とういう意味では、
この『レベル・リッジ』はシンプルなのでしょう。

『バスティオン36』

ネトフリの新作、

『バスティオン36』

を見てみました。
オリヴィエ・マルシャル監督です。


若きアントワーヌは、
精鋭部隊BRI に所属していましたが、
「賭けファイト」に出場していたことが発覚し、
ボビニーの警邏隊BACに左遷されてしまいます。が、
その後、昔の仲間が2人死に、もう1人も行方不明に。
彼は、真相を求めて独自捜査を始めますが、
上からは強烈な圧力が……という話。

おリヴィエ・マルシャルも、
ちょっとスコセッシ的な単調さがあるんですが、
それは今回も同じ。
しかも今回は、通常ならバックストーリとするようなことを、
ふつうの時間の中で最初に描いたので、よりそういう印象は出てしまいます。
でも、もちろん見ていられるレベルですが。

主人公の元上司を、
これ


でおリヴィエ・マルシャルと組んでいた、
テウフィク・ジャラが演じています。
彼はいいですね。

そう、オリヴィエ・マルシャルは、
ドラマの方が向いているかも。
そういう時間感覚なんじゃないかと思います。

2025年3月9日日曜日

「報道特集」〜敗北するアメリカ

YouTube に上がっている「報道特集」、
通勤の時などによく聞きますが、
今回のこれは、とてもよかった。


3人のメンバーもいいし、
トッドや、
アメリカの宗教学者もいい人選。
勉強になります。

2025年3月8日土曜日

はちみつチョコレート・ティー

しばらく前に、知り合いにティーバッグを1つもらいました。
紅茶なんですが、
はちみつチョコレート・ティーです。
試しに飲んでみて、と。

これ、気に意入りました。
もちろん甘いんですけど、
紅茶なのでサラッとしていて、おいしい。

で、早速Amazonで買って、
ついでに同じ会社の4種類セットも買ってみたり。
(はちみつレモン、もいい感じ。)

で、
週4で行くカフェの、
仲良しのスタッフ達にその話をしたら、
なんだか反応が良かったので、
じゃあもってくるね、となって、
昨日お裾分けしてきました。
実は1月に別の人にもお裾分けして、
彼女は気に入ってくれたみたいでした。
今回はどうでしょうか!?

(まあ、わたしが販売してるわけでも、
回し者なわけでもないんですけどね!
もしもご興味があれば、
Amazonなら「ティーアース」で出てきます。)


『ルッツ 海に生きる』

マルタ島を舞台にしたマルタ映画、

『ルッツ 海に生きる』(2022)

を見てみました。(アマプラ)

ルッツというのは、
マルタで使われているカラフルな漁船。
マルサシュロックという港では、
たくさん浮かんでいました。

ただこの映画は、
ルッツを使った漁業が、
もう実質成り立たなくなりつつあることを描いています。
容易に想像できることですが。
なので、マルサシュロックに浮かんでいるルッツも、
実は観光用もかなりあるとか。

マルタ漁業の内情がわかった点はおもしろかったですが、
映画としては、よくある構図、よくあるキャラで、
フツーでした。

豊原国周

同僚の一人からの連絡で、
この展覧会のことを知りました。


彼女の知り合いがもっている作品も、
貸し出され展示されているんだとか。

まあそれは別にしても、
ちょっとおもしろそうですね!

2025年3月1日土曜日

旅、など

まだまだ先の話ですが、
たぶん、共著の本に参加することになりそう、です。
総勢12名を予定していて、
テーマは、大きく言えば「旅」です。
ただ、今回は縛りがあって、
自分のよく知らないことについて書く、
ことになっています。
たとえばわたしだったら、
パリのことばっかり書くのはナシ、という感じ。
(本当は、全編新しいことの方がいいんでしょうけど、
比較のためにも、少しだけパリを入れたくなります。
たぶん、入れちゃうでしょう!)

それにしても、
12人ですから、
それなりに厚い本になりそうです。
まだ企画の段階なので、
ほんとに1行も存在してないんですけど、
これが、やがては書かれ、本になるわけです。
いつもながら、マジックのようです。

ふらんす4月号

発売は、まだ3週間先ですが、
「ふらんす4月号」、先日校了しました。
あとは出来上がりを待つばかりですが、
なんだか、申し訳ないくらい「フラ語シリーズ」がページを取ってます!
しかも特集の<1>!
いいのかなと思いつつ、
でも、宣伝しつつ、
基本的な勉強の方針みたいなものにも触れているので、
いいことにしました!
こんな大特集、最初で最後でしょう。
楽しみです!