2012年8月27日月曜日

『フォークナー、ミシシッピ』


Mmm...  暑いですねえ。
今日もプールに行ってしまいました……

さて、
パリではとってもお世話になり、
一緒に楽しい時間を過ごした若い友人、中村さんが、
価値ある翻訳を刊行しました。

http://www.inscript.co.jp/b1/978-4-900997-34-9

この400ページに及ぶ翻訳、
そうとう大変だったと思います(お疲れ様!)が、
読者の立場から見れば、
問題は努力の量じゃなくあくまでデキ。
この本、そのデキがいいです。
細やかに気を配った翻訳で、
訳者が、好きな人の言葉を慈しむように、
あるいは挑むように、体当たりするように訳しているのが、
伝わってきます。
もちろん、だからといって訳者の独りよがりとはまったく無縁で、
あくまでわたしたち読者に気を使ってくれた丁寧な訳ですが。
(まあ、人柄が出てるというか。)

グリッサンは言います;

フォークナー作品は、アメリカ黒人の再解釈による作品読解が「効力」を
発揮するようになったときに、おのずと完成するだろう。わたしがここで
行おうとしているのもまさにそうした試みである。(……)フォークナーは
このミシシッピを「問い」の領域として選び、地理的境界で画された架空の
郡のなかへミシシッピを凝縮することで、それを無限に拡大しようとした(……)

そして中村さんは、そうやって達成される「拡大」こそ「クレオール」だ、と言うのです。