2013年12月31日火曜日

Bâtard

映画『戦争より愛のカンケイ』の中の、
おそらく核になると思われる会話。
DVDの字幕は、字数制限があるので、
すべてが訳されてはいません。
で、
その部分だけ、すべて訳してみました。
いつかご覧になったときの、参考になれば。

ポイントは、

Le jour où il y aura plus que des bâtards sur Terre, la paix reviendra.

の部分でしょう。

  バイア   :でもどこで?

アルチュール:アウシュヴィッツ、たぶん。

バイア   :アウシュヴィッツ? ……でもそれってイイ感じ。あなたはユダヤ人であたしはアラブでしょ。その上家族には、フランスの警察に殺された人が山ほどいる。スゴすぎる! わたしたちって、フランスそのものよ。わかるでしょ? わたしたちの家族は歴史の一部なの。もちろんセックスもする。ああ、なんだか泣きたくなってきた。

アルチュール:ぼくはユダヤ人じゃないよ、いいかい? 神なんか信じてないし、シナゴーグに足を踏み入れたこともない。イスラエルなんてどうでもいい。ぼくはアルチュール・マルタンなんだ。

バイア   :恥ずかしがってるだけでしょ。

アルチュール:まさか! じゃあ君はどうなんだ、ムスリムなのかい?

バイア   :いいえ。でも、ユダヤ人はちがうでしょ。

アルチュール:ちがわないさ。ぼくたちは雑種なんだよ、自分が何者で、どこから来たのかなんて、ちゃんと知ってるわけじゃない。でもそれでいいのさ。

バイア   :そう。たしかにあたしたちって雑種よね。でも数百万人てとこでしょ、雑種って。みんながセックスして、もっと増やさなきゃ。なんでかわかる? 地球上が雑種だけになれば、平和が戻ってくるのよ。……雑種は人類の未来ね。

アルチュール:雑種強勢ってやつだな。

バイア    :なに?

アルチュール:生物学ではね、遺伝形質の遠い2つのサンプルが交雑することを、雑種強勢って呼ぶんだ。

バイア      :……サイコーね。