2016年12月31日土曜日

『ずべ公番長 夢は夜ひらく』

大晦日です。
年末最後に何か一本、
と思って見てみたのは、

『ずべ公番長 夢は夜ひらく』(1970)

です。
この作品が封切られたのは、
1970年9月22日。
で実は、先日ここでも取り上げた
『野良猫ロック セックスハンター』が
同じ1970年の9月1日なので、
ちょうど3週間違い。
ということは、
2作品が同時に公開されていた期間があっただろうと
想像されるわけです。
しかも、いわゆる「不良少女」が主人公、
舞台は東京というわけなので、
ちょっと比べたくなったわけです。

この『ずべ公番長 夢は夜ひらく』(←それにしても、「ずべ公」はもう完全に死語ですね)
は、同名シリーズの中の1本で、
主演は大信田礼子です。
鑑別所を出た彼女が、
同じ鑑別所出身の先輩女性が新宿で経営するバーで働くのですが、
彼女らは、そのバーの乗っ取りをたくらむ組長にはめられ、
窮地に追い込まれる、というお話です。
大信田が演じるのは、70年代らしい、
いわば新しく清々しい(?)「不良」なのでしょうが、
後半、バーを経営する女性の恋人が、
刑務所を出て帰ってくるあたりから、
任侠物の定型に嵌ってゆきます。
今度こそ足を洗おうと思ったワルが、
どうしても、
かつての論理に絡めとられてゆく……

1970年の新宿。
たとえばアルタ(79年竣工)はまだなくて、
なつかしの二幸が映っています。
南口も、まだ全然開発されていなくて、
懐かしい風景でした。
(わたしが一番新宿に行ったのは、
1975年頃です。)

『野良猫』は、立川、梶芽衣子、基地、アメリカ文化、でしたが、
『ずべ公』は、新宿、大信田礼子、大都会、ヤクザ文化、というところでしょうか。
だから、と言うべきか、
前者はアメリカ映画的な雰囲気もあるし、
後者はヤクザ映画的な雰囲気があります。
おもしろいのは、
両作品とも、ゴールデン・ハーフが登場し、
「黄色いサクランボ」を歌っていたこと。
後者には、トランスジェンダーの子も出てきます。

さて、今年も残すところ1時間半ほど。
今年は、特にこれ、ということもありませんでしたが、
中では、「ふらんす」での連載(=時事ドットコム配信)が、
月1とはいえ連載だったので、
わたしにとっての「今年」という感じです。
あとは、前半での日仏会館でのシンポジウムや、
後半の上智でのシンポジウムも記憶に残っています。

来年の目標は……、特になし!
とはいえ、総合芸術系が始まり、
中野キャンパスでも授業をする予定です。
2年ぶりなので、これは新鮮です。
まあ、新鮮なことが1つあれば、
それでいいことにしましょう!

では、どうぞよいお年をお迎えください。
Que la nouvelle année soit encore plus riche pour vous !