2024年3月3日日曜日

『プレス』

 アマプラにあるイギリスのドラマ、

『プレス』(2018)

を、同僚からオススメされたので、見てみました。
全6話のミニ・シリーズです。


結論から言えば、かなりおもしろかったです。
(回を追って、じわじわおもしろくなるタイプ。)

ロンドンの、2つの新聞社。
ヘラルドとポスト。
前者は良識派で、でも売り上げは上がらず、資金もない。
後者は扇情的なタブロイド紙で、資金もコネも十分。
この構図の中で、
2者で働く人たちの揺れを描いてい行きます。
まあ、ジャーナリズムものですから、
いわゆる報道の倫理のほうなものも、
強く問われています。

人物の配置は、分かりやすく対照的です。

     ヘラルド             ポスト
編集長  アジア系女性           ヨーロッパ系男性
副編集長 ヨーロッパ系女性(主役)     アジア系男性
若手記者 ヨーロッパ系女性         アフリカ系男性

コアなメンバーについて言うなら、
ヘラルドは全員女性で、ポストは全員男性です。
(もちろんチームは大きいので、
そこまで含めればもっと複雑です。)

印象に残ったのは、
二人の編集長です。
ポストの編集長ダンカンは、
実質的な主役とさえ言えるかもしれません。
なぜなら彼が、もっとも多くの屈折を抱えているからです。
(それに比べると、表面上の主役であるホリーは、
行動派で思慮も深いけれど、
とても分かりやすい人物として描かれているように感じます。)
ダンカンは、首相とも対等な権力者で、
仕事中毒で、
離婚し、
愛する子供にはなかなか会わせてもらえず、
美しい愛人がいます。
お金もあります。
そして彼の仕事上の非情さは、
息子への悲しい愛と矛盾しているように見えます。
ここに、ダンカンという人間がいるようです。

小さなことですが、
ポストの副編集長は映画ファンらしく、
映画に関わるセリフが何度かあります。
笑ったのは、
鉄鋼王のスキャンダルについて話しているとき、
ダンカンに、その man of steel は誰なんだ、と訊かれた時です。
副編集長は、
「クラーク・ケント?」
と答えるのです。
これですね。


もちろんダンカンは、うんざりした表情をするわけです。
イギリスだなあ、と感じたのでした。