『我らの生涯最良の年』(1946)
(The Best Years of Our Lives)
を、久しぶりに見てみました。
制作年からも分かる通り、
戦後すぐに公開されたアメリカ映画で、
主な登場人物は三人の帰還兵です。
数年の従軍ののち故郷に戻った彼らには、
それぞれの事情があります。
なかなか良くできた、しかもおもしろい映画です。
そして見終わって思うのは、
登場人物それぞれにとって、
人生における the best years はいつだったのか、
いつなのか、いつになるのか、ということです。
それに答えるのは、簡単ではありません。
ワイラー監督は、
男性のファンタスムも描きこんでいますが、
それは現実ではなく、願望にしか見えません。
一番説得力のあるシーンは、
妻ともうまくいかず、やっと見つけた「つまらない」仕事も失い、
行くあてもなくなった帰還兵の1人が、
軍の、解体を待つ夥しい戦闘機が並ぶ飛行場を歩くところです。
この飛行機たちは、明らかにこの帰還兵、
そして多くの帰還兵たちの運命のメタファーに見えます。
ただその解体された飛行機は、
くず鉄になるわけではないというのが、
未来への可能性に開けているわけですが。
ただこれはあくまで可能性でしかありません。
広島も、Japも、出てきます。
当然ながらアメリカにも、戦後はあったわけです。