2024年4月27日土曜日

大学院ゼミ

ゼミも始まって、初回は

『ピアノ・レッスン』

2回目は同じカンピオン監督の最新作、

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

を見て、色々話し合いました。

この2本、構造が似ています。
女性1人と男性2人のいわゆる三角関係が基本にあり、
さらに女性には子供がいて、
さらに男性二人は、それぞれ違う「世界」の属していて、
ピアノと繋がりのある女性は、
男性たちの2つの世界両方と関わり、
彼女の子供もまた、2つの世界と関わっていくのですが、
この母親と子供の、
2つの世界に対する関わり方は同じではない……
これらはみんな、2作に共通することです。

わたしは、『ピアノ・レッスン』の方がデキがいいと思いました。
何と言っても、ヒロインの魅力に差があるからです。
ただしこの作品、
ラストに置かれたシークエンスがいかにも蛇足で、
そこが勿体無いと思っています。
その、ヒロインが言葉を学ぶシークエンスがなければ、
ヒロインと一体化しているピアノの「音」は、
最終的には、言葉やその代用ではなく、
「沈黙」そのものに向かっていくものであることが、
きれいに描出されると思うからです。
でもそれにしても、いい映画だと思ってはいますけれど。