2018年10月21日日曜日

Par instinct

アレクサンドラ・ラミー主演の映画、

Par instinct (2017)

を見てみました。


現実的ではないと、
もちろん言えば言えるし、
詰め込み過ぎた感がないわけではないし、
バランスが崩れているという指摘も頷けますが、
それでもわたしは、
とてもチャレンジングで、
見てよかったと思いました。

リュスィーは40歳の弁護士で、
夫は弁護士という恵まれた境遇。
アルマ橋からすぐのアパルトに住んでいます。
そしてやっとのことで妊娠し、
ベイビーは順調です。
一方、あまりに対照的な女性、ビューティーは、
ナイジェリア出身の18歳。
彼女の父親は、ビューティーのいとこが働く売春&人身売買組織に、
彼女を売りました。
そしてアルジェリアはタンジェに連れてこられる途中、
怪しげなブローカーにレイプされ、
タンジェに着いた今は、大きなおなかを抱えています。
でも、子供への愛着などまったくありません。

ある日、
リュスィーは仕事でタンジェに出かけます。
(夫は彼女の体を考え止めたのですが。)
彼女は、案の定滞在中のホテルで出血し、
駆け込んだ病院で流産してしまいます。
そしてちょうどその時、
路上で破水し担ぎ込まれたビューティーが、
小さな赤ん坊を生み、
そしてこの二人の女性は、
同じ病室に入ることになるのです。

当初、まったく赤ちゃんを世話する気のないビューティーを見かね、
リュスィーは赤ちゃんを可愛がります。
そしてやがてビューティーは、
リュスィーが身につけていた指輪や時計と、
赤ちゃんを交換してくれと言い出すのです。
その時にはすでに、
リュスィーは赤ちゃんに情が移っていました……

ここまでで、
ストーリー全体の 1/4 くらい。
つまり、まだまだ紆余曲折があります。

この映画でのタンジェの街は、
ほんとに迷路のうよう。
ただ、お店の人などはもちろんアラブ系なのですが、
ヒロイン二人がヨーロッパ系とアフリカ系で、
そうした出会いの場所として選ばれている感じは強くします。

ナイジェリア人であるビューティーが、
出産した病院で国籍を訊かれ、
セネガル、と嘘をつく場面があります。
でも看護師がそれを見破り、
フランスに行き易くしたいんでしょうけどそれはダメ、
と言われてしまいます。
ちょっと印象的でした。

ただ、わたしがいま一つだと感じるのは、タイトル。
「本能で」というのは、
ちょっと古い気がします。
これって、中心的には、
いわゆる「母性愛」のことを言ってるんでしょうけど、
ちょっとピント外れのような……

ちなみに監督のナタリー・マルシャックは、
俳優として『ロシアン・ドールズ』などにも出ています。