2018年10月5日金曜日

7 jours pas plus

ブノワ・ポールヴールドは、
『神様メール』

http://tomo-524.blogspot.com/2016/09/le-tout-nouveau-testament.html

の印象が強いですが、それ以外にも、

http://tomo-524.blogspot.com/2016/01/une-famille-louer.html

も悪くなかったです。

そして今回見たのは、
彼が主演したコメディー、

7 jours pas plus (2017)『7日間だけだぞ』

なんですが、
今回も彼は、いわば得意のキャラ、
つまり、気難しくて実はさびしい老人、を、
きっちり演じていました。

https://www.youtube.com/watch?v=dRaNaz50oiE

<以下、ネタバレします>
フランス北部で、
日曜大工用品を扱う店を営む50代の男、ピエール。
口が悪くて気難しい、いやなおじさんです。が、
彼の内面にある感じやすさを見出しているジャンヌは、
なんども彼にアプローチします。
上手くいかないんですが。
そしてある日の散歩中、
ピエールはある「事件」に遭遇します。
彼の目の前で、肌の浅黒い青年がクルマから放り出されたのです。
青年は助けを求めているようなんですが、
彼が話す言葉は一言も分かりません。
彼はインド人で、ベンガル語を話していたのです。

ピエールは仕方なく、
青年アジットが持っていた住所までクルマで送りますが、
そこに探し人(青年の叔父さん)はいませんでした。
で今度は警察に行きますが、
ピエールは横柄な警官と喧嘩してしまい、
仕方なく一晩泊めることにします。
もちろんイヤイヤですが。
で、翌日はパリのインド大使館へ。
でもここもダメで、
その後は思いついたことをいろいろやってみますが、
全部不調でした。

そして映画のラスト近く、
なぜ、ピエールはこんな人間になってしまったのか、
なぜ、アジットはインドを離れることになったのか、
が明かされます。
実はピエールはイタリア系で、
母親は、1975年、テロに巻き込まれて亡くなっていました。
で、ロッジ P2 などのテロに嫌気がさし、
ピエールの父はフランスへの移住を考えます。
そして、19歳になったピエールは、
1986年、パリに到着するのですが、
まさに到着したその日に、
彼もまたレンヌ通りのテロに巻き込まれてしまうのです。
そしてそのニュースを見た父親は、
ショックのあまり亡くなってしまいます。
2つのテロによって、
ピエールは孤児になっていたのです。
そしてアジットは……
実は彼も、フィアンセをあり得ないような事故で失っていました。
その事故を伝える新聞記事は、
ピエールの「無意味なニュース・コレクション」の一部として、
切り抜かれ、スクラップされていました……

あくまでコメディーなので、
(正確に言えば、悲喜劇でしょうか)
言い当てようと思えば、
結末を言い当てるのは難しくありません。
また、わたしは見ていておもしろかったですが、
フランスのメディアにはあまり受けないだろうと感じました。
(実際、そうでした。)
この映画は、
そうしたプロの批評家の目を、
気にしていない印象を持ちました。
伏線の貼り方も、
偶然の起こり方も、
キャラの設定も、奥行きも、
批評受けはしないものがからです。
わたしも、
この映画で論文を書こうとは思いませんが、
これはこれでいいんじゃないかとも感じました。

*この映画は、
アルゼンチン映画 Un cuento chino のリメイクだそうです。
こちらも見てみたいです。