2008年8月29日金曜日

4年11ヶ月と2日


わたしの住んでいる東京の多摩地区では、昨日の午前2時過ぎ、もう本当に恐ろしいくらいの雷でした。その聞いたことがないほどの雷鳴に、ちょっとカーテンを開けて外を見ていました。

今いるマンションは、V字型の谷の片側の斜面の上の方にあるので、向き合う斜面はよく見えるのですが…… その豪雨に煙る真っ暗な斜面が、稲光が空を走る一瞬、真昼のように浮かび上がったのです! 

音もまた、耳慣れたゴロゴロだけでなく、あのメリメリメリという引き裂くような音、そしてこれは今回初めて聞きましたが、シャー! という、恐竜の鳴き声かと思うような音も混じっていました。お隣のうちのリンタロウ君(1歳)が泣き出したのも、むべなるかな!

それにしても、このところほんとによく降りますねえ。

4年11カ月と2日、雨は降り続いた。(……)水気などあるはずのない機械までが、3日ごとに油をくれないと歯車のあいだから黴を吹いた。金銀糸が錆びつき、濡れた衣類にサフラン色の苔が生えた。魚がドアから中へはいり込んで部屋じゅうを泳ぎ回り、窓から外へ抜け出せるくらい、空気は水を含んでいた。

ガルシア=マルケスの『百年の孤独』です。これに比べたら、まだまだ……

そういえば、ボードレールにも、こんな詩があります。「憂愁・77」の冒頭です。

Je suis comme le roi d'un pays pluvieux,
Riche, mais impuissant, jeune et pourtant très vieux,

ぼくは雨降る国の王のよう、
豊かで、けれど無力で、若く、そしてまたおいぼれている……

pluvieux は、rainy にあたる形容詞。動詞は非人称の pleuvoir 、名詞は pluie でしたね。「梅雨」は、la saison des pluies と雨が複数になるんでした。

でも今、空はなんとか持ちこたえています。でも、いつ降ってもおかしくないような…… 大丈夫、きっと4年11ヶ月と2日は続きませんから!