2011年11月15日火曜日

『人事部長の旅』


今日は映画、Le voyage du directeur des ressources humaines を見ました。
(『人事部長の旅』という感じでしょうか。)
エラン・リクリス監督の、『シリアの花嫁』、『レモン・ツリー』に続く作品です。
この2作については、すでにご紹介しましたね。

今回の映画は、舞台がイスラエル。
そのパン工場で働いていたルーマニア出身の若い女性が、
テロに巻き込まれて死んでしまいます。
身元がなかなか分からなかった彼女ですが、
持っていた給与明細からそのパン屋が判明。
しかも、行方が分からなかったはずの彼女を探さなかったことが問題になり、
人事部長がその後処理を任されます。
その結果、彼は遺体をルーマニアまで送り届けることになります。
つまり映画の後半は、ロードムーヴィーだと言っていいのでしょう。

http://www.youtube.com/watch?v=K24YnqLjCpY

もちろん撃ち合いもカーアクションもありません。
ドラマチックではあるけれど、静かな静かな作品です。

作品の構造を支えているのは、
埋葬される女性を愛する人たちと、
人事部長の家庭生活との対比です。
一方は「死」の中に進んでゆき、
一方は「生」への戻り道を見つけ出すというか。
そうです、部長さんのプライベートは崩壊しかかっていたのです。

イスラエルからルーマニアへ向かう「ロード」は、
日本とは接点が見つけにくいものです。
でもだからこそ、とても興味をそそられもします。

前2作の出来が抜群だっただけに、
この作品が突出しているとは言えませんが、
やっぱりいい監督だなあ、と思います。
次の作品も、必ず見ます。