先日、チョー人数の少ないあるクラスで、
『女はみんな生きている』を見ました。
考えてみたら、この映画を授業で見たのは初めてかも。
http://www.youtube.com/watch?v=TTyHwHC3cJs
監督は『ロミュアルドとジュリエット』のコリーヌ・セロー。
カトリーヌ・フロとヴァンサン・ランドンという芸達者2人が夫婦役。
原題は Chaos 「カオス」です。
となると第一感、ずいぶん飛躍した邦題だなあと思いますが、
でもこれはこうした「超訳」タイトルの中では、
まじめと言うか、ピントがよく引き絞られたものだと思います。
ある夫婦、ある夜クルマで出かける途中、
彼らの前に若い女性が悲鳴をあげながら飛び出してきます。
彼女はアラブ系、見た瞬間に娼婦とわかります。
そして彼女を追ってくる、人相の悪い男たち。
夫はクルマの窓をロックし、状況との関わり合いを拒否。
血まみれの女性を残し、走り去ります。
この「エピソード」は、ここで終わるはずでした。
妻が、翌日この女性を探しはじめ、病院にいることを突き止めると、
彼女の介護を始めたりしなければ。
枠組みとしては、2つの家庭が対立的に(と言っていいか?)描かれています。
一方は夫婦を中心とする、アッパーミドルの白人家庭。
もう一方は、娼婦が育った、アルジェリア系移民のムスリム家庭。
これら2つの家庭は、それぞれの仕方で崩壊しています。
けれども女たちは、やはりそれぞれの仕方で、生きる、というか、
生き直そうとする、そういう話です。
ただ、ここまで書いて気づきましたが、
登場する女性たち「みんな」がそうするわけじゃない。
なんというか、見えない檻の中で、
あるいは苦しげに、あるいは嬉々として、生活し続ける女性たちもいます。
じゃあ男たちは?
男たちは、あらくれか、甘やかされたボンボンか、
父権的で浅はかか、そのどれかです。
まともな男は出てきません。
でもトータルでは、痛快な映画だと思います。