2012年11月12日月曜日

Pink SUBARU

日本人監督による、イスラエルを舞台にした映画、
『ピンク・スバル』を見てみました。

http://www.youtube.com/watch?v=UnSfvJm1-BU

解説によると、かつてイスラエルで自動車需要が高まっていた時期、
この国にクルマを売ろうとするディーラーはなかったそうです、
富士重工以外は。
それはもちろん、イスラエルと取引すれば、
アラブ諸国から出入り禁止にされてしまうからでした。
その結果イスラエルでは、クルマの80%がスバルという事態が発生たようです。

そしてパレスチナでは、
それに輪をかけてクルマが少なく、
勢いクルマ泥棒が増え、解体屋が儲かる、ということになり、
この映画の主人公もその犠牲となってしまうわけです。

ただ注意しなければならないのは、
映画の舞台となったタイベという街は、
「アラブ人」の居住区だということです。
(主人公の妹の名は「アイシャ」です。
これは「アラブ」ですね。)
で、
主人公たちはパレスチナ側に入り込みますが、
つまりこれは、
アラブ人がアラブ地区に入っている、ということであり、
基本ユダヤ人の影は差してこないのです。
そういう意味では、
イスラエルのアラブ社会、がテーマだということもできそうです。

そう、これは映画では触れられていませんが、
フランス語版のwiki によれば、
イスラエルにおける「スバル」の位置づけは、
「アラブのクルマ」ということのようです。
その証拠に、ある連続テレビドラマの中で、
スバルに乗っているだけで警官に止められるシーンがあるとか。
彼はその後、より値の張る「ユダヤ人のクルマ」を買うことになります。
『ピンク・スバル』においても、
このあたりまで踏み込めば、
さらに複雑な味わいが出たかもしれません。