2015年3月23日月曜日

『黒いスーツを着た男』

という映画を見てみました。

実際に見たのは、フランス版の

Trois mondes

なんですが、このDVDのジャケットは、

なので、
まさに『3つの世界』ですね。
というわけで、
日本版とは、
見る前の気持ちから、ずいぶん違っています。

予告編

http://www.cetera.co.jp/kurosuits/trailer.html

というわけで、
映画は「3つの世界」を提示しようとしているわけですが、
それらをつなぐ、あるいは貫く、串刺しにするのは、
1つのひき逃げ事件です。
その犯人、
被害者の妻、
目撃者の女性、
これが「3つの世界」です。

ただもう少し厳密に言うと、
犯人は、勤め先の社長令嬢との結婚を控えており、
それが達成されて初めて、
ブルジョアの「世界」に入れるわけで、
現状の彼は、まだその「世界」の入り口に並んでいるにすぎません。

被害者とその妻は、モルドヴァからの移民であり、
サン・パピエです。
モルドヴァ系のコミュニティー内で生きています。
彼らは、バルベスの、ミラ通り68番地に住んでいます。

目撃者の女性は、恋人(大学教員)の子供を妊娠中。
でも、ちょっとすれ違い気味です。
事故コーナー現場であるローミエール通りが、
プティ通りと交差する角のアパルトマンに住んでいます。

コルシニ監督は、
いわゆる女性問題を扱うことが多かったのですが、
この映画でも、
それが生かされている部分があると感じました。
特に、移民の妻であるヴェラと、
医学生ジュリエットの関係においてです。

事件が事件だけに、
少し重い部分もありますが、
3つの世界を描くという監督の意図は、
共感できました。

ただ、今回、被害者が移民なわけですが、
これが逆で、
移民がフランス人を轢き逃げしたのだとしたら、
だいぶニュアンスが変わるかもしれません。

でも、なかなか深みのある映画だと思います。

*Reda Kateb
    犯人の仲間の一人を演じた、レダ・カテブ。


彼は、この2作にも出ていて、印象的でした。
注目していきたいと思います。

『預言者』:
http://tomo-524.blogspot.jp/2013/10/blog-post_5304.html

『愛について、ある土曜日の面会室』:
http://tomo-524.blogspot.jp/2015/02/blog-post_5.html