◆
小さなKに
あとどれくらい 地上(ここ)いておまえを
小さなおまえを抱いていられるのか
あと何度 朝陽のなか なかば眠たげなおまえのオハヨウを
新鮮な炎のように
聞くことができるのか
あと何度 おまえの靴が窮屈になるたび
手をつなぎ
一緒に買いに行くことができるのか
おまえが五十歳になるとき
わたしは地上にはいない いや それどころか
おまえが二十歳になる日さえ あまりに遠い
おまえはその日 生まれたての
あの血まみれの赤ん坊とは 似ていないだろうけれど
おまえが死ぬ日
それがもし 老いのもたらす結果であるなら
わたしは喜ぶだろう
おまえの命が 残らず燃え尽きたことを
そしてそれがもし
不慮の事故や災害がもたらしたものであったとしても
やはりわたしは
いつかは
喜ばねばならないだろう
おまえが地上を駆け抜けたことを
そしてわたしはいとおしむだろう
おまえの瞳に映るはずだったすべてを
おまえが呼吸するはずだったすべてを
手をつないで歩いたときの
小さな小さな手の柔らかさを
消えない炎として
いつまでもいとおしむように