2017年12月24日日曜日

Les Derniers Parisiens

レダ・カテブ、スリマヌ・ダジ、
そしてメラニー・ロランも出ているとなれば、
それだけでも見ないという選択はないのに、
ましてやその映画のタイトルが、

Les Derniers Parisiens (2016)(『最後のパリジャン』)

とくれば、これはもう、見るだけです。
(この映画は、東京国際映画祭において、
『パリ、ピガール広場』というタイトルで公開されました。
わたしはDVDで見ました。)


舞台は、邦題にもある通り、モンマルトルのピガール広場。
この、ジェントリフィケーション進行中の街に、
刑務所帰りのナスが戻ってきます。
彼は、兄アレズキに、いわば身元引受人になってもらい、
彼が経営するバーで働き始めます。が、
ナスはそんな仕事には満足できません。
そもそもこのバーの開店資金を、
自分もかなり負担したわけだし。
で、このバーを使って、
大きなパーティーの開催を決行し、
それはうまくいくのですが、
兄のほうは、弟のこうした活動を、
快く思ってはいません……

このあたりまで、
映画は意外に淡々と進みます。
(パーティーなど、音楽を多用するシークエンスは、
いい感じに時間がたっぷりとってあります。
2人組の監督は、ともにラッパーです。)
でも後半、やや「家族の秘密」的物語が表面化してから、
単なる街のチンピラ映画から、
もう少しリアルな物語へと様相が一変します。
そしてナスは、ワル仲間に嵌められてしまい……

モンマルトル、ピガール広場と言えば、
最近取り上げたこの映画が思い出されます。

http://tomo-524.blogspot.jp/2017/09/blog-post_77.html

今回の映画にも、
『並木道』のときに何度も登場した噴水が、
繰り返し映し出されます。

で、「最後のパリジャン」というタイトルですが、
まず今回の映画の主人公は、
アラブ系の兄弟であり、
彼らの友人のほとんどは移民系です。
ということは、彼らこそ「最後のパリジャン」ということになります。
(「最後の」というのは、「最新の」ということでもあるのでしょう。)
また、人物たちのうごめく世界が、
いかにも旧来のギャング的なものであり、
そういう意味では、やっぱり、
(失われつつある世界の)「最後の」人たち、でもあるのでしょう。
もちろんわたしとしては、
前者の「意味」を重く見たいと感じます。

*街のジェントリフィケーションを背景にしているギャング映画、
という点では、
メニルモンタンを扱った、
『友よ、裏切りの街に眠れ』
と比較することもできそうです。

*両監督が所属しているラップ・グループLa Rumeurには、
18区を舞台にしたものが多く含まれるようです。

https://thebackpackerz.com/les-derniers-parisiens-premier-film-hame-ekoue-la-rumeur/