2020年2月24日月曜日

『FLU 運命の36時間』

『アシュラ』がよかったので、
同じキム・ソンス監督のパンデミック映画、

『FLU 運命の36時間』(2013)

を見てみました。
(Amazon Prime の無料映画の中にありました。)


結論から言うと、
とてもよかった。
Le Flic de Belleville の10倍はよかったです。

密航してきた移民たちが、
コンテナの中で死んでいるのを、
斡旋業者の男たちが発見。
どうやら、ウイルス性の伝染病のよう。
しかも、男の一人はいきなり感染してしまい、
もらったウイルスをあちこちでばら撒きます。
パンデミックの始まりです。
恐ろしいのは、
感染から36時間で死んでしまうこと。
そして、致死率が100%であることです。
ただ、
あのコンテナの中には、
たった一人だけ、生存者がいました。
彼はどうやら、抗体を持っているらしいのです。
とにかく、彼を見つけ出さなければならないのですが、
感染は恐ろしい勢いで拡大しています。
物語の主人公である救急隊員のジグにも、
彼が恋している医師イネにも、
彼女の娘のミルにも、
危険が迫ります……

もちろんフィクションですから、
そのまま現実にはならないでしょうが、
比喩としてなら、とてもとてもリアル。
「国家」や「国民」、「大国」の描き方も、冷静です。
ウイルスを持ち込んだのが不法移民だという点だけは、
やや引っかかりますが、
その後の物語においては、
移民を排斥する、
ないしスティグマ化するような点はまったくなかったので、
今回は批判しないことにしておきましょう。

ジグの先輩役として、ユ・ヘジンが出演していて、
相変わらずいい感じ。
また、マ・ドンソクも登場して、
こちらも画面に不穏な感じを波立てる役どころで、
よかったです。

また、医師イネも、その幼い娘も、
「生意気な女性」という設定で、
しかも活躍するので、
今回はミソジニーじゃなくて、
その点もほっとしました。
こんなに男性中心の社会なので、
女性たちは「(男から見て)生意気」に見えなきゃだめだと、
それくらいでちょうどいいと、
わたしは思っています。

『アシュラ』

キム・ソンス監督のクライム映画、

『アシュラ』(2017)

を見てみました。


映画の冒頭にある主人公の独白、
この街には「人の面をかぶった獣」ばかりというのが、
中心モチーフと言えるでしょう。
おもしろかったです。

これは偶然なんでしょうが、
『生き残るための3つの取引』と構図が似ています。
つまり、
刑事、
検事、
ワル、
の三角形が中心にあるのです。
で、違うのは、
今回のワルは市長で、
刑事の部分が二人、
つまり、重なり合う2つの輪のようになっている点です。
そして『生き残る~』のほうでは、
3人ともがゲスだったんですが、
今回は、
はっきりゲスなのは市長で、
刑事Aは日和見的傾向があり、
刑事Bは、Aを兄貴と慕うゆえに、
Aに導かれ、そしてAより深く堕ちて行ってしまいます。
そして検事は、
今回は「善」なのですが、
どこかで「獣」に飲み込まれるようです。
(もちろん、ほんとうの獣は、
こんなんじゃないでしょうから、
獣には失礼な比喩です。)

韓国のクライム映画には、
どこかこの、
「結局人間なんて」的なニヒリズムがあるようです。
ある作品はそれに対抗し、
別のものはそれを(結果的に)肯定します。
ではこの『アシュラ』はどうか?
これはまた別の意味でニヒルなのです。
(あえて言えば、無常、とも通じているかも。)

一番のゲスである市長を演じるのは、
ファン・ジョンミンです。
彼の演技はさすがです。

暴力的なシーンもわりとありますが、
「猟奇的」ではありません。
で、お馴染みのミソジニーはと言えば、
これはやっぱり感じられるのでした。

『チェイサー』

『哀しき獣』の監督ナ・ホンジンが、
それに先立って制作していた作品、

『チェイサー』(2008)

を見てみました。
主演の二人もまた、
『哀しき獣』と同じです。
が……

いわゆる「猟奇的連続女性殺人事件」も、
ここまで陰惨な場面が多いと、
わたしはもう見たくないです。
実話がどうのなんているのは、言い訳だし。
深くミソジニーだと感じます……



『生き残るための3つの取引』

ファン・ジョンミンと、
へ・ユジンが激突する刑事もの、

『生き残るための3つの取引』(2011)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=0fSM7tiZH8M

ファン・ジョンミンが演じるのは、たたき上げの刑事。
彼は、同じたたき上げ組の精神的リーダーですが、
軟弱な高学歴の刑事が先に出世していくのには、
我慢なりません。
へ・ユジンが演じるのは、ゼネコンの社長。
とはいっても、彼が率いる組織は実質やくざです。
この二人に、
若く、コネがあり、ジコチューな検事が加わり、
駆け引きと武闘が繰り広げられてゆきます。

ジョンミンもユジンも、
さすがの存在感で、
これはとてもよかったです。
特にユジンは、そのオーヴァーで、
どこか自己批評的な演技に惹かれます。

この映画の特徴は、
「勧善懲悪」とはかけ離れていること。
というのも、上記の3人が、
3人ともクズなんです!
で、クズ同士の戦いに勝利したかに見えるのは、検事です。

見終わった直後は、
クズばかりだしなあ……、
とも思ったのですが、
こういう利己的な「現実感覚」みたいなものが、
韓国社会にわりと広がっているのかな、とも想像しました。
あるいは、そうした広がりが批判されている、
ということもあるのかもしれません。
また、ストーリーとして、
勝ち残ったのが検事だというのは、
これは悪くないかも。
曲がりなりにも、
検察が機能してるってことですからね。
そうです、
検事長の定年延長などと言う茶番が目の前で展開してる国の人間としては、
特にね。

というわけで、
この映画を見ての感想は、
三権分立は壊さないでね、
ということでした(!?)

2020年2月23日日曜日

Le Flic de Belleville

ラシッド・ブーシャレブ監督、
そして主演がオマール・シーで、
共演にビウーナとくれば、
これは期待しないほうが無理というもの。
しかも!
タイトルが

Le Flic de Belleville (2018)

『ベルヴィルの警官』ですから、
これは期待しないのがむりというもの。
この作品、今日、やっと見ることができました。

https://www.youtube.com/watch?v=3yxUy3DemOc

で、残念な報告があります。
なんと、わりとどっちでもいい映画でした!
まあ、完全なB級映画で、
麻薬取引や、殺人事件も起きるのですが、
全体は軽い「お話」で、
ベルヴィルからアメリカのマイアミへ、
そして架空のアフリカの国へ、
と移動はするのですが、
別にどうということはありません。
アクション場面も、
韓国映画に慣れている今、
お遊びにしか見えません。

あえて言えば、
オマール・シーの恋人がアジア系の女性で、
母親が、アラビア語を使うアラブ女性(もちろんビウーナ)という設定が、
奇妙なおもしろさです。
ビウーナが、ブラック・アフリカ系男性との間に、
子どもをもうけたということでしょうか。
まあ、そうなんでしょう。
その点では、彼はここでも
(『最強のふたり』や『サンバ』の時と同様に)
セネガルの徴をまとっています。
潜入捜査をするシークエンスで、
彼が名乗るのは「セネガル・エクスプレス」なのです。

ブーシャレブ監督、
どうしちゃったんでしょう?
彼の作品は好きでほとんど見てますが、
今回のが、一番内容がなかったです。
残念!

*1つだけ。
内容と関係ないですが、
すぐに使える今風のフレーズがありました。

Je peux faire un petit selfie avec vous ? 「一緒に自撮りしてもらっていいですか?」

旅先で、誰かと一緒に自撮りしたいとき、
このフレーズで訊けばいいですね。

『哀しき獣』

このところ、
朝鮮族が登場する韓国映画を何本か見ましたが、
今回、

『哀しき獣』(2010)

を見て、
まず最初にこれを見るべきだったな、
と感じました。


朝鮮族自治州の延辺。
タクシー運転手で、
博打好きのグナム。
彼の妻は、韓国に出稼ぎに行き、
幼い娘は、彼の母親が育てています。
ただ、妻の出発のためにした借金と、
博打の負けによる借金で、
グナムはもう首が回りません。
しかも妻は、男でもできたらしく、
一切送金してい来ないのです。
そんなとき、金貸しのボスが仕事を持ちかけてきます。
韓国に行き、ある男を殺してくれば、
借金はチャラにしてやる、
奥さんにも会ってこい、と。
グナムには、もう選択肢はありません。
彼は、手配された韓国への密航船に乗り込みます……

140分という長めの映画で、
4部構成です。
わたしは特に、1部と2部がいいと感じました。
アクションが多くなる後半は、
心理の深まりはやや控えめで、
もちろんアクションそのものと、
謎ときに重点が置かれていくようでした。
その分、やや説明的な場面が増えてゆきます。
前半を終わったところでは、
これは今まで見た韓国映画ではトップクラス、
と思っていたのですが……。
とはいえもちろん、全体としてもなかなかよかったです。

朝鮮族については、
当たり前ですが、
大きな経済格差が背景にあるわけです。
映画はそれを、
たとえば街並みを映すだけで、
きわめて明瞭に語ってしまうわけですね。
もちろん、この映画の物語全体が、
そうした背景の下にあります。

主演のハ・ジョンウは、
『1987』で公安部長を、
また、
朝鮮族のワルのボスを演じていたキム・ユンソクは、
やっぱり『1987』で強面の警察官を、
それぞれ演じていました。
二人ともよかったです。

「出ていけ!」

今朝テレビで、これが(一瞬)紹介されていました。


Dégage !

出ていけ、というよりは、
(この場所から)どけ! どっか行け!
というニュアンスですね。
差別したくてウズウズしていた人たちにとっては、
格好の理由ができたというわけなんでしょう。

まあ、同じではないですが、
日本国内でも、
日本人同士で、
似たようなことが起きているわけです。
もちろん、問題外。

2020年2月21日金曜日

『愛人』(マンガ)

さっき、クルマで France Culture を聞いていたら、
日本人のマンガ家、
高浜寛さんのインタヴューが始まり、
おもしろかったです。
これです。

https://www.franceculture.fr/emissions/le-reveil-culturel/kan-takahama

読んでみようと思います。

(インタヴュー中、
ポルノ映画の「ぼかし」が話題になる場面があり、
通訳の方はなんて訳すのかと思って待っていたら、

 ( petit ) nuage

と言っていました。
なるほどね。)

" C'est horrible. "

岩田健太郎先生へのインタヴューです。






(つい先日、ある人から、
あの岩田先生が、twitter で、
「まいにちフランス語・応用編」についてコメント(2/11)してるよ!
と教えらました。
見てみると、とてもありがたいコメントで、
もちろん嬉しかったのですが、
ただ、こんなに重要なお仕事があって、
申し訳ないような……)

2020年2月20日木曜日

これは!

おお、ありがとうございます!

https://twitter.com/MNO_shogi/status/1229600550892625920

ちなみに、
わたしは元将棋部です!

2020年2月19日水曜日

乃木坂方面へ

今日は六本木で、
写真集の詰めの打ち合わせをしました。
版元のトランジスター・プレスの編集者と、
アート・ディレクション全般を担当してくれた弟の秀哉と。
順調に行ってますので、4月にはできる予定です!
(トランジスター・プレスは、もちろん、
『敷石のパリ』の版元です。
書店で一緒に並ぶといいなあ!)
で、その後、
以前イヴェントをさせてもらった、
乃木坂の Books & Modern に移動して、
今後の「作戦」について相談もしました。

トランジスター・プレスや 、
Books & Modern の方と話していて感じるのは、
彼らが、
読者といい出会いを作っていくには、
どうすればいいのか、を
ほんとに真剣に考えていることです。
これは、
(もちろん大手も考えているでしょうが)
特に心ある小さな出版社、
そして小さな書店が、
みんな考えていることなんでしょう。
大げさに言えば、
そこに「文化」がかかってもいるわけですね。

2020年2月16日日曜日

『新しき世界』

パク・フンジョン監督の、
2014年のヒット作、

『新しき世界』

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=2A_ubbE0xxM

大枠としては「ヤクザ映画」の形を取っていますが、
そこで描かれるさまざまな人間たちの「選択」は、
葛藤の末の重みがあり、
見応えがありました。
一般的な評価も高いようですが、頷けます。

イ・ジャソンは、もう8年間、
スパイ捜査官としてマフィア組織に食い込んでいます。
とりわけ、有力組織を率いるチョン・チョンとは、
「兄弟」と言えるほどの信頼関係を築いています。
そんな時、韓国最大のマフィアの会長が亡くなります。
(殺されたのでしょう。)
そして当然跡目争いが起きるわけですが、
候補者の一人はチョン・チョンです。
警察は、この状況を利用し、
チョン・チョンとライバルを共倒れさせようと企みます。
そしてその後、
傀儡の会長を立て、
その補佐にイ・ジャソンを就かせることで、
組織を警察の監視下に置こうというわけです。
が、それではイ・ジャソンはたまりません。
もうこの仕事から降ろしてくれと何度も頼むのですが、
警察は彼の利用価値を手放す気はないのです。
彼はもう警察にとって、使えるコマでしかないのです。
そして事態が複雑に展開する中、
イ・ジャソンの連絡係が組織に捕らえられます。
彼の正体も、実は知られいるのかもしれません……

この映画で興味深かったのは、
先日見た『犯罪都市』と同様、
イ・ジャソンとチョン・チョン、そしてその手下たちが、
朝鮮族であるという設定の下にあることです。
(映画の中では、
「中国人」とか、「華僑」とか呼ばれていました。)
しかもチョン・チョンは、
延辺朝鮮族自治州から、
「延辺の乞食」と呼ばれる殺し屋たちを呼び寄せもします。
(殺し屋、といっても、
彼らの身なりは明らかに貧しく、
韓国を「南朝鮮」と呼んでいます。
おそらくは、「朝僑」と呼ばれる、
北朝鮮からの亡命者なのでしょう。)
ここにもまた、
ラベリングの感じはあるのですが、
ただ、警察官も朝鮮族であり、
つまり<朝鮮族=ワル>という単純な構図にはなっていないので、
それは大きな違いになっていると思います。
(物語の展開もまた、そうです。)

イ・ジャソンの連絡係を、
ソン・ジヒョが演じていました。
彼女は、『無双の鉄拳』で、
主人公の誘拐される妻を演じていました。
(厳しく言えば、今回の映画も『無双の鉄拳』も、
かすかにミソジニーの感触があります。)
また、チョン・チョンを演じたのは、ファン・ジョンミンで、
彼はもちろん、
『国際市場で逢いましょう』の主役でした。
(というか、有名俳優なわけですが。)

この映画は、
『インファナル・アフェア』や『ゴッドファーザー』と
比較されることが多いようです。
たしかに、『ゴッドファーザー』の雰囲気は感じました。
ジャンル映画としては、
かなりいいデキだと思いました。

2020年2月15日土曜日

「『五輪買収』疑惑」

この国は、どこへ行こうとしているのか?
そんな疑問が湧いてくる、
今日この頃(というかここ数年)です。

https://www.dailyshincho.jp/article/2020/02121700/?all=1


『殺人の追憶』

今を時めくポン・ジュノ監督の、
2003年の映画、

『殺人の追憶』

を(AmazonPrimeで)見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=VqstXpk4K1s

物語の型としては、古典的なものが使われています。
つまり、
ある村(=都会じゃない)で連続殺人事件が起こる、
捜査は難航し、
そこに都会(=ソウル)から優秀な刑事がやってくる。
地元の刑事と都会の刑事の間に、
考え方や捜査方法の違いがあり、衝突する。
ただ、しだいに互いが互いを理解し始め、
事件は解決に向かう……というものです。
1カ所だけ、この型をずらしている部分もありますが。

舞台が1986~87なので、
たしかに社会変動が背景に(少し)あります。
デモもあります。
また、警察による拷問の問題などは、
たしかにこの時期クロースアップされていたことなんでしょう。
ただそれも、
1987に対する真摯なアプローチというよりは、
その状況を物語に利用している感もあります。

ちょっと興味を持ったのは、
都会から来た刑事が4年制大学卒で、
村の刑事が、2年制大学卒と、高校卒だったこと。
そしてこの最後の刑事が、
もっとも拷問を得意としており、
その彼が、学生と喧嘩する場面もあることです。
この刑事は、「民主化」の対極にいたことになります。
その意味では、ラスト近く、
彼が破傷風で足を切断せざるを得なくなるのは、
ある時代の終わりの象徴にも見えます。
(ただ、映像として拷問は描出されていますから、
この設定は、描出することそのものの言い訳にも見えます。)
また、重要な容疑者の一人が、
軍務を終えたばかりであるというのも、
軍の体質を遠回しに指差しているのかもしれません。
(ただ彼には、「足の切断」的なことは起こりません。)

1つ強烈に感じたのは、
映画に流れるミソジニーです。
猟奇的に殺されるのは、みんな若くて美しい女性たち、
という設定は珍しくありませんが、
それを映像で(これでもかと)やると、
そうした嗜虐的な映像そのものを客寄せに使っている感じがして、
やや引きます。

『スノーピアサー』は、わたしにはゼンゼンでした。
今回は、エンタメとして「おもしろい」のは認めざるを得ませんが、
ちょっと、高く評価することはできない感じでした。

Mon frère

最近、Made in China というコメディ映画のことを書きましたが、
その監督である Julien Abraham の、
打って変わったシリアスな作品、

Mon frère (2019)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=h_up54KfOY4

脇役として、
わたしの好きなアイサ・マイガやヒアム・アッバスの名前が見えます。
また、この映画

http://tomo-524.blogspot.com/search?q=lieutenant

で、主人公アントワーヌを演じていた Jalil Lespert も登場しています。

バカロレアを控えた、アフリカ系の高校生テディ―。
彼は弟や両親と暮らしていたのですが、
この父親が恐ろしくDVで、
そのために母親は出てゆき、
(子供を連れて行こうとしたのですが見つかって失敗)
その後のある日、
やはり荒れ狂った父親がテディ―の首を絞めると、
思い余った弟が銃を構え……
で、テディーは弟の罪をかぶり、
教育的施設に入るのですが、
そこのメンバー札付きのワルたちで……

悪い映画ではないんですが、
かなり重苦しい。
施設にいるのは、
まさに『嘆きのピエタ』の主人公のような子どもたちが多く、
バカロレアが控えていたテディーはむしろ例外。
そんな環境の中で、
テディーは、母親がいるアムステルダムに行くことを夢見、
実際物語の後半で、
彼はそれを実行することになります。
そしてここでは、
母親と子どもというサブテーマが浮き上がってきます。

この監督は、
Made in China と同じ年にこの作品も発表していて、
ずいぶん雰囲気の違う作品を作ったものだなと感じます。
そしてどちらかと言えば、
こちらの、ヘヴィーな作品のほうがデキがいいと思いました。

「4時間で、日給4000元(約6万3000円)」

時給、15.000 円以上ですが、
中国での実感は、その何十倍ものはずです。

https://www.epochtimes.jp/p/2020/02/51759.html

でも今回の「おばけ」は、
かなりこわいです。

ささやかな願い

他者や弱者への深い想像力がなきゃだめだとか、
きわめて長いスパンでものを考えられなきゃだめだとか、
謙虚さと大胆さをもってなきゃだめだとか、
高い言語能力がないと物足りないとか、
行動力も必要だとか、
そうしたものがぜんぶ、
しなやかな歴史意識や教養に裏打ちされてなきゃだめだとか、
そんなことは言いません。
でも、
ある程度の知性、
ある程度の謙虚さ、
ある程度の他者への想像力、
嘘はつかない誠実さ、
そして平均的な言語能力、
くらいは持っていて欲しいと思います。

湖北省2地区、戦時管理

これは……

https://www.jiji.com/jc/article?k=2020021401075&g=int

こういう予想もありましたが、
ほんとになるとは。

そしてアメリカも?

https://www.epochtimes.jp/p/2020/02/51717.html

一連のコロナ関係のニュース、
とても気になります。



2020年2月14日金曜日

『嘆きのピエタ』

キム・ギドク監督の代表作の1つ、

『嘆きのピエタ』(2012)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=sSyVsVStrqc

かなり「残忍な」若き借金取り、ガンド。
途方もない利子を、
障碍者になってその保険金で払え、
と相手に迫り、それを実行させます。
サイコパスにしか見えません。
ただ彼は彼で、
生まれてすぐ母に捨てられ、
家族というものを持ったことがありません。
愛される、という経験と、彼は30年間無縁なのです。
そんなある日、突如彼の前に、
母親を名乗る女性が現れます。
ごめんね、と言って、彼女は泣くのでした……

ここまでで、映画全体の20%くらいでしょうか。
結末は、誰にも予想できないようなものです。
それも含めて(それだけじゃないですが)、
迫ってくるいい映画だと思いました。
(突っ込みどころがないわけじゃないけれど、
それは言わないことにしましょう。)
ソウルの、清渓川周辺の「スラム」が登場し、
経済的に追い込まれた零細の町工場が描かれます。
物語の背景にあるのは、もちろんこの貧困です。

ピエタ、ですね。
これはいいタイトルだと思いました。