2020年3月4日水曜日

『グエムル -漢江の怪物』

ポン・ジュノ監督の、

『グエルム ―漢江の怪物』(2006)

を見てみました。

https://www.youtube.com/watch?v=pfrrcpTzpio

ストーリーは単純。
アメリカ軍が漢江に捨てた劇薬のせいで、
その6年後の2006年、
漢江から怪物が現れます。
そしてその怪物は、未知のウイルスさえ持っています。
多くの犠牲者とともに、
漢江の近くで小さな売店を営んでいた三世代家族も襲われ、
小学生の女の子がさらわれてしまいます。
彼女の父親や叔父伯母たちは、
危険を省みず、救出に向かいます……

表面だけ見れば、
怪物が出てくる恐怖映画、なのでしょう。
ただ、この怪物が、
(現実に行われた)アメリカ軍の不始末から生まれたことなどを考えると、
一般に言われている通り、
「反米映画」的な側面はあるのでしょう。
あの「枯葉剤」を揶揄した呼称も使われますし、
特にラスト近くでは、
今回の事件を総括するアメリカについてのニュース番組に対して、
メシがまずくなるからテレビを消す、
しかも足で、
という演出がなされていて、
この場面はなかなかよかったです。

なるほど、と思ったのは、
攫われた少女の若い叔父が、
大卒でフリーターで、
(おそらく学生運動を通して)韓国の民主化に貢献した、
とされていること。
その彼が、怪物との戦いにおいて出してくるのが、
なんと火炎瓶!
これはナイスでした。

ただ、
映画のデキとしてどうかと言われると、
わたしは、可もなし不可もなし、という感じ。
それは、監督自身も「反米映画」と言いながら、
最も大事な、
怪物そのものの象徴性がよく見えないからなのでしょう。
一応、アメリカの傲慢がもたらした韓国の不幸、
ということにはなるんでしょうが、
もしそうなら、
ちょっと単純すぎる気が……。

そこが、たとえばゴジラとの、
決定的な差なのではないかと感じました。