先週見た Bande des filles がとてもよかったので、
その監督であるセリーヌ・シアマのデビュー作、
『水の中のつぼみ』
を見てみました。
https://www.youtube.com/watch?v=j37fkVcetTc
オリジナル・タイトルは、
Naissance des pieuvres
というものですが、
直訳すると『大蛸の誕生』で、
これ、なんだかちょっとわからない感じ。
(pieuvre には、比喩的に「執念深い人」の意味もありますが、
それでもピンときません。)
監督自身の説明によれば、
「大蛸というのは、
人が恋をする時、その人の中で成長する怪物であり、
わたしたちの内部で墨を吐く海の生き物です。
これがまさに、
この映画の中の3人の少女の中で起こっていることなのです。
『大蛸の誕生』とは、だから、
思春期の少女たちの中での、
恋心の誕生のことです。」
なるほどね。
3人の少女は、みな15歳。
でも肉体的な成長の度合いは、
随分差があります。
痩せた子供のようなマリ、
太っていることにコンプレックスを感じているアンヌ、
「セクシー」と言ってもいいようなフロリアンヌ。
マリは、たいていアンヌとつるんでいるのですが、
ある時から、フロリアンヌが気になって仕方ありません。
一方アンヌとフロリアンヌは、
ある男の子を巡って三角関係になります。
彼は、フロリアンヌに関係を結ぶことを拒否されると、
衝動のまま、アンヌとベッドに入ります。
その時アンヌが、
「わたしのこと、ちょっとは好きなのかな」
と言うのが、切ないです。
わたしたちオッサンにとって、
この映画は、いい意味で「わかりにくい」です。
シアマ監督は女性パートナーと暮らしているようなのですが、
だからといって、
この映画が単なるレスビエンヌ映画になっているわけではありません。
プール、水、というものをうまく小道具として使いながら、
(いい加減な言い方ですみませんが)
ある種の普遍に触れているのでしょう。
(ただ男の子たちの描き方は、
わざと(?)表面的にしているようにも見えます。)
舞台はセルジー・ポントワーズで、
一度だけ、ラ・デファンスが遠望できるシーンがありました。
2021年11月3日水曜日
『監禁面接』
エリック・カントナ主演のミニ・シリーズ、
『監禁面接』
を見てみました。
(原題は Dérapages。
「横滑り」のことですが、
ここでは、事態がとんどん思わぬ展開を示すことを指しているのでしょう。
複数形だし。
となると、この恐ろしげな邦題は、
ちょっとな~、とも思いますが、
これは原作小説の邦題を、
無視できなかった結果とも言えるでしょう。)
設定はそれなりに現実的ですが、
そこで展開する物語はかなり荒唐無稽で、現実離れしています。
主人公はアラン。
57歳、月収500ユーロ。
二人の娘は独立し、今は妻と二人暮らしです。
彼は、70人程度の規模の会社で、
人事部長として働いていましたが、
6年前にリストラされ、
それ以降は、求人広告を見ては仕事を得る生活。
アパルトマンのローンも残っていますが、
それよりなにより、
彼の自尊心がボロボロに傷ついています。
「失業者」という自分を、どうしても受け入れられないのです。
だから最近の彼は、かなり短気で暴力的。
自己中心主義的でもあります。
そんな彼から、妻や娘たちの心も、
薄皮が剥がれるように、遠ざかってゆきます。
また彼の長女は妊娠中ですが、
その銀行員である夫、つまり義理の息子とはそりが合いません。
次女は弁護士で、
父親のケース(その内1つはクレテイユの裁判所)を担当することになります。
……と、ここまでは、現実的です。
物語は込み入っています。
ある大企業が、大リストラを担当する重役を選ぶため、
偽装テロ事件を企画します。
そんな中でも、会社を守ろうとするのは誰か、
というわけです。
(ひどい話です。)
で、その企画にモニター越しに参加し、
重役を評価する仕事があるわけですが、
その仕事が、
新規採用のためのテストに使われることになります。
アランは、そこに参加することになります。
ただ、この馬鹿馬鹿しく非人間的な企画の途中、
アランが大きく「横滑り」を見せるのです。
彼は、用意してあった銃を抜き、
本物の人質事件を起こすのです……
物語はこの後も、
「横滑り」を続けます。
このあたりを、おもしろいと感じる場合もあるかもしれませんが、
わたしは、ピンときませんでした。
失業者と新自由主義者の対決、
という構図の中で、
権威主義的で暴力的な主人公の、
ある種の逆転を描いているとも言えるのでしょうが、
残念ながら、
このアランが好きになれない。
そこが苦しいところです。
アランの次女を演じたのは、
『パリ警視庁:未成年保護特別部隊』
の中で、
暴行されて妊娠し、
その子を産む女性を演じていたアリス・ドゥ・ランクザン。
彼女は、Noces や『水の中のつぼみ』にも出てましたね。
またアランの妻は、これらに出ていました。
後者は、ソフィー・マルソー主演ですから、
日本版が出てもいいと思うんですが。
(この監督、かなり好きです。)
2024年7月5日金曜日
『水の中のつぼみ』 8年振り
大学院ゼミで、
『水の中のつぼみ』
を見ました。
わたしにとっては8年振り。
当時よりは、
セクシャリティーについての言説がずいぶん多く出回っていると感じる中、
やっぱり、その「クィア」さは、
今回の方がより触知できた気がします。
とはいえこれは、思春期の少女たちの話なので、
「わかる」というところまでいってないかもしれませんが、
それでも、映画としてはおもしろかったです。
まあ、アデル・エネル、好きだし!
2015年11月8日日曜日
Tomboy
Bande de filles が素晴らしく、
また、『水の中のつぼみ』もよかった、
セリーヌ・シアマ監督。
http://tomo-524.blogspot.jp/2015/06/bande-de-filles.html
http://tomo-524.blogspot.jp/2015/06/blog-post_89.html
彼女の、
Tomboy
を見てみました。
https://www.youtube.com/watch?v=Jb-Oys-IcWE
tomboy という英語は、辞書を見ると、
「お転婆」とかいてありますが、
「男の子のように振る舞う女の子」ともあります。
主人公の少女ロールは10歳。
でも彼女は、引っ越した先で、
ラファエルとして、
友だちの前にデビューします。
男の子にしては美しいけれど、
ありえなくはないかな、という容姿です。
最初は、うまくいくのです。
男の子たちとも、女の子リザとも。
でも、もうすぐ新学期。
この企てが、いつまでも続くはずはなく……
生物学的な性別とはちがうアイデンティティーを持つ場合、
とくにそれが小学生だったら、
うまく自分を表現できないだろうし、
苦労が多いのでしょう……
この監督の作品は、わたしは好きです。
また、『水の中のつぼみ』もよかった、
セリーヌ・シアマ監督。
http://tomo-524.blogspot.jp/2015/06/bande-de-filles.html
http://tomo-524.blogspot.jp/2015/06/blog-post_89.html
彼女の、
Tomboy
を見てみました。
https://www.youtube.com/watch?v=Jb-Oys-IcWE
tomboy という英語は、辞書を見ると、
「お転婆」とかいてありますが、
「男の子のように振る舞う女の子」ともあります。
主人公の少女ロールは10歳。
でも彼女は、引っ越した先で、
ラファエルとして、
友だちの前にデビューします。
男の子にしては美しいけれど、
ありえなくはないかな、という容姿です。
最初は、うまくいくのです。
男の子たちとも、女の子リザとも。
でも、もうすぐ新学期。
この企てが、いつまでも続くはずはなく……
生物学的な性別とはちがうアイデンティティーを持つ場合、
とくにそれが小学生だったら、
うまく自分を表現できないだろうし、
苦労が多いのでしょう……
この監督の作品は、わたしは好きです。
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