2018年6月28日木曜日

『セ・ラ・ヴィ』

オリヴィエ・ナカシュ&エリック・トレダノのコンビによる、
待望の新作映画、
7月には日本でも公開される予定の

『セ・ラ・ヴィ』(2017)

を見てみました。(DVDで。)
原題は

Le sens de la fête(『パーティーの行方』)

です。
(映画の中では一度も、誰も、
C'est la vie.
とは言わなかったと思います。)

https://www.youtube.com/watch?v=BoUiIEQtv28

主人公のマックスは、
もうヴェテランのウエディング・プランナーで、
最近では、わがままな客に振り回され、
引退の2文字がちらついています。
で、今日のお仕事は、
パリ郊外の豪勢なシャトーでの結婚式。
でも、バンドはやってこない、
肉は腐ってる、
新郎のピエールは自己愛と独善のかたまり、
そして肝心のスタッフたちも寄せ集め。
さて、この式はうまくいくのか? というお話。

まあ、『最強のふたり』と、『サンバ』のあとでは、
これはあまりにハードル(というか期待)が高くて、
ちょっと可哀そうですが、
それを差し引いても、
わたしには、passable(「可」)くらいに感じられました。
脚本に、監督以外の人が加わったのが、
(今回は)散漫な印象を生んだ気がします。
またこれは好みの問題とも言えますが、
映画のほぼ全編を、
このシャトーの中に設定したのが、
わたしにはピンときませんでした。
街に出ないと。
舞台のドキュメンタリーじゃないんだから。

ただ……

物語の構造としては、
消費者的資本主義に疲れた、中年のヨーロッパ系白人男性のマネージャーが、
若いアフリカ系の女性に仕事上のバトンを渡す、
ということになっていて、
そう考えると、
『サンバ』と対の作品ともいえるのかもしれません。
そしてこの女性のもとで、
冴えない白人たちも、
スリ・ランカ系移民も、
仕事を続けていくのです。
(スリ・ランカと言って思い出されるのは、
当然『ディーパン』ですね。)
ただ、こうしたことを曇らせるのが、
白人同士の三角関係や、
たわいないアヴァンチュールや、
エキセントリックなわりには掘り下げがない新郎新婦、
などです。

俳優について言うなら、
ジャン=ピエール・バクリも、
ヴァンサン・マケーニュも、
わたしはあまり好きではないんですが、若きアフリカ系マネージャーを演じたアイ・アイダラは、
あの Regarde-moi でデビューしたいた女優です。

http://tomo-524.blogspot.com/2013/09/regarde-moi.html

もちろん、このデビュー作のほうがよかったですが。
また、同じ監督のこれにも出ていました。

http://tomo-524.blogspot.com/2017/09/taularde.html

アイサ・マイガに続く、
アフリカ系女性のアイコンになれるでしょうか?