2012年9月27日木曜日

Le Cochon de Gaza


ガザ地区を舞台にしたコメディ、
『ガザのブタ』
を見てみました。

http://www.youtube.com/watch?v=vPEZUUQm6F0

ガザ地区は、パレスチナ人の土地であり、
アラブであるパレスチナ人が住んでいるわけですが、
ご存じのとおり、
イスラエルが入植していて、
高いフェンスでその土地を囲ったり、
あるいはパレスティニアンの家を武器によって接収したりしています。

そんな中、やはり2階をイスラエル側の兵士に使われている、
もう老年に差し掛かった夫婦がいます。
夫は漁師ですが、稼ぎが少なく、生活は苦しい。
そんな折、彼が釣り上げたのが、なんとブタだったのです。

これはまあ、おとぎ話なのか、リアルなのか。
(いや、リアルということはないんでしょうけど。)
で、彼を含むムスリムにとって、ブタは「不浄」。
そしてユダヤ人にとってもまた、事情は同じですね。
でも困窮している彼は、
なんとか少しでもこのブタでお金を作りたいと思うわけです。
そして最後に見つけ出したのが、
フェンスの向こうでブタを買う女性です。
彼は彼女にブタを売ろうとしますが、
彼女が欲しいの精子だけだと言います。
さあどうしましょう……
(ここまでで物語の25%くらい。)

この夫を演じるのは、『迷子の警察音楽隊』でも主演していた、
イスラエルの有名俳優、サッソン・ガーベイです。
彼はイラク生まれで、子供時代にイスラエルに移住したユダヤ人ですが、
この映画ではアラブ人を演じています。

コメディなんです。
でも最後には、やはり「平和」への祈りが込められていて、
「平和」というものが、抽象的な何かではなく、
今目の前で実現できる手応えのあるものとして意識されているのが、
よくわかりました。
ちょっと風変わりな、おもしろい映画でした。