2012年5月7日月曜日

吉本隆明追悼号


「現代詩手帖」5 月号は、
吉本隆明・追悼総頁特集です。

たくさんの人が文章を寄せていて、
わたしもまで数人しか読んでいませんが、
これから読んでみようと思っています。

特別定価2000円ではありますが、
2009年に行われたイベント(行きたくて行けなかったやつ!)での、
吉本さんの公演を収録したCD が付いているので、
値段分の価値は十二分にあると思います。

ここまで読んだ中で印象に残ったのは、
今「テレビでフランス語」でも連載を開始した宇佐美斉さんの文章です。
吉本さんの「水準器」と「羅針盤」としての役割を語った後、
抒情詩人としての吉本さんの仕事に触れ、
「異数の世界へおりてゆく」と「佃渡し」の二篇について、
宇佐美さんはこう書いておられます。

  その美しさは、戦後70年の現代史において、おそらく群を抜いているだろう。
  前者はその孤独と意思のつよさにおいて、
  後者は、過去を振り返る時間と未来へ向かう時間が交錯する一瞬をとらえた、
  その成熟の姿とことばの技の切れにおいて。

「佃渡し」のリズムは、まさに吉本さんのリスムだとわたしも感じます。
ちくま文庫『父の像』に所収の「父の像」にも、同じリズムを感じました。
だから解説では、これは「散文詩」だと書いたのでした。