今期の「ワールド映画ゼミ」では、
いつも3回目くらいに取り上げる『シリアの花嫁』を、
第1回に見ました。それはその時点でも、
シリア情勢はかなり緊迫していて、
そのニュースの背景に目を向けて欲しかったからです。
だから今回は、普段はそれほど強調しない点、
つまりその物語が、アサド大統領就任の日を時間的舞台にしていることを、
強く打ち出してから映画を見たわけです。
レポートに課したのは、このアサド大統領のこと。
彼の就任以降今日までの行動です。
学生たちのレポートは、全体によく調べてありました。
で、
先週のレポートは、4月からここまでのシリア情勢の推移についてでした。
まあレポートと言っても、状況を追跡してね、ということです。
シリアの情勢は、あまりにひどいです。
ロシアはいつまで自国の権益を守るつもりなんでしょうか?
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/syria/
そして中国も。
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE84T05U20120530
「いかなる理由があっても戦争はしない」
という立場があります。
もちろん、そんな立場にある「国」はないと言っていいでしょう。
つまり、「敵」が武力で攻め込んできた時でも、
一切武器は取らない国は、ということです。
20世紀は「戦争の世紀」と言われますが、
21世紀になっても、戦争の「論理」自体に変更があったようには見えません。
ただ今回のシリアを見ていると、たしかに、
「いかなる理由があっても戦争はしない」など言っていたら、
戦士ではない女性や子供たちがどんどん殺されていくのを、
ただ傍観することになりそうです。
先週の政府軍の砲撃でも、死者92人のうち、32人が10歳以下でした。
とても心配です。