2018年9月4日火曜日

『ローマの教室で 我らの佳き日々』

日本では、2014年に公開されたイタリア映画、

『ローマの教室で 我らの佳き日々』

を見てみました。
(原題は「赤と青」。)

https://www.youtube.com/watch?v=9lC7JXIT5ew

これは、
『パリ20区 僕たちのクラス』
に近い設定で、
実際、共通した雰囲気が感じられました。
舞台はローマの高校。
中心になるのは、3組の人間関係。
それは:

・若くて情熱のある補助教員と、問題児アンジェラ
・偏屈で厭世的な老美術教員と、かつての教え子の女性
・事務能力のある女性校長と、孤児になってしまった男子生徒

です。
無論それ以外にも、
ルーマニア系移民家庭に育ち、
クラスで1番優秀で優等生でもあるアダムや、
アラブ系の女子生徒など、
それぞれに個性のある生徒たちもいます。
(ちなみにアダムには彼女がいて、
二人は発砲事件を起こすことになります。
アダムの父親は、ほとんどルーマニア語しか話しません。)

もちろん、ローマにおける教育問題が描かれているわけですが、
単にその現状というだけではなく、
特に老美術教員と補助教員の関係を通して、
教員というものが通時的に想像されるように導いているのが分かります。
そして、
老教員が語る「古典主義とロマン主義」の講義、
つまり秩序と無秩序のせめぎ合い、といったものが、
このローマの高校にも常にあることが、
いわば通奏低音のように示されることになります。

オチがないのは、
『パリ20区』と同様で、
これは、やっぱりそうとしか作れないよねと感じました。