フランスーセネガル映画、
La Pirogue
を見てみました。
pirogue とは、小型の船のことです。
https://www.youtube.com/watch?v=Tbg140PT2Hk
『サンバ』の原作小説も、
映画 Hope も、
アフリカからヨーロッパを目指すときの過酷さを描いていました。
『海は燃えている』もそうでした。
今回の La Pirogue も、
そうした作品の1本です。
ダカール郊外の海岸沿いの村。
この村の男たち、とりわけ若者たちは、
ここにいて希望を抱くことができません。
で、
小舟で7日かかるカナリア諸島(スペイン領)に渡り、
そこからヨーロッパに行って仕事を持つことを夢見ています。
そして一人、また一人と、
海に出てゆきます。
バイは、妻も幼い子供もいて、
小舟に乗るつもりはありませんでした。が、
さまざまな事情が重なり、
結局、30人乗せた小舟に、
彼は船長として乗り込むことになります。
しかしもちろん、
船は簡単に「スペイン」に着けるはずもありません……
映画のクレジットによれば、
2005-2010 の期間に、
アフリカ人が30000人がこうした試みをし、
そのうち5000人が命を落としているそうです。
6人に1人……。
この映画の中でも、何人もが死んでゆきます。
また途中では、
モーターが故障してただ浮かんでいるだけの船とも行き合います。
もう5日も何も食べてないと、彼らは叫ぶのです。が、
バイの船にはもうこれ以上乗れないのです。
バイの知り合いの若者アブーは、
漁師の父を海で失くし、
でも彼はミュージシャンを目指しています。
ジャンベもギターもコラもできます。
しかも彼には、ぱりで待っている仲間がいるのです。
行かせてあげたい……
また、二人の子供を預けて船に(無断で)乗り込んだ女性、ナフィーも、
パリで仕事があるのだと言っています。
彼女は、夫がかつて密航中に死んだにもかかわらず、
この船に乗ったのです。
子供たちのために、働こうとしているのです。
船には、セネガル人だけではなく、
ギニア人たちも乗っています。
ほとんどがイスラム教徒です。
彼らの中には、海を見ること自体初めてで、
帰りたいと泣き続けるものもいます……。
映画の中では、
ウォロフ語が中心ですが、
フランス語も20%くらい出てきます。
おもしろいのは、
フランス語が、
ウォロフ語のセリフの途中に、
まるで言語の変化などないかのように挟まることです。
ちょっと不思議な感じです。
日本語版があれば、
授業で見せるところなんですが。